あなたが落としたのは……？ 【声劇台本】【三人】

あなたが落としたのは……？

登場人物

冒険者1

冒険者2

湖の精




ーーーー

冒険者1：
お、見えて来た。湖だ！




冒険者2：
えーっと、地図によると、この湖の先の森を抜けて山を二つ越えると魔王城らしいよ。




冒険者1：
ちょうどいいから、ここで休憩しよっか



冒険者2：
そうだね。



冒険者1：
じゃあ、焚き火用の薪を探してくるね



冒険者2：
こっちでテントの設営を……



湖の精：
ちょぉぉぉぉっと待ったぁぁぁ！！



冒険者1：
えっ！？



冒険者2：
なに！？



湖の精：
あんたたち！湖に来たんだから、私の話を聞いていきなさいよ！



冒険者1：
は？



冒険者2：
いや、ちょっと今忙しいんで



湖の精：
なによ！湖よ？『アナタが落としたのは、金の斧？銀の斧？』ってやつを、今からやるのよ！？



冒険者1：
あー……



冒険者2：
別に興味ありませんから




湖の精：
なによなによなによ！！私超有名なのよ！？



冒険者1：
それより早く夕飯作り始めたいし



冒険者2：
暗くなる前にテント設営したいんですけど



湖の精：
撮影してSNSに挙げたらバズること間違いなしなのよ！？




冒険者1：
そういうの別にいいんで



冒険者2：
普段の投稿で結構インプ稼げてるし



湖の精：
う……



冒険者1：
それじゃ



湖の精：
ま、待ちなさいよ！『アナタが落としたのは金の斧？銀の斧？』ってやつ聞いてくれたら、金の斧あげるから！



冒険者1：
すぐ街に帰るなら換金も考えるけど、これから行くのは魔王城だしなー



冒険者2：
結局普通の斧が一番使えるし



湖の精：
今ならなんと、銀の斧も付いてくる！



冒険者1：
いや普通の斧がいいんだけど



冒険者2：
荷物が増えても困ります



湖の精：
じゃ、じゃあ、『アナタが落としたのは、金の五百円玉？銀の五百円玉？……この際両方あげるからっ！



冒険者1：
アンタ、硬貨コレクターか何か？



冒険者2：
知らない人からいきなりお金をもらうのはちょっと……



湖の精：
じゃあ、『アナタが落としたのは、金のコレ？銀のコレ？』



冒険者1：
コレ……あれだ！中に魚味の四角いのが入ってるやつ！結構美味いんだよなぁ。なぁ、これって、金と銀で味が違うんだっけ？



冒険者2：
どうだったっけ……というか、知らない人からいきなり食べ物をいただくのはちょっと



湖の精：
じゃ、じゃあ、『アナタが落としたのは、金のアイフォン？銀のアイフォン？』……まぁ金銀どころか赤とか青とか黒とか白とかあるけど。



冒険者1：
いやいやいやいや！それはすぐに届けた方がいいって！ここで冒険者捕まえて質問してる場合じゃないって！！




冒険者2：
落とし主はきっと今頃血眼になって探してるから！！



湖の精：
え？あ、そうなの？



冒険者1：
そうだよ！！



冒険者2：
だからさっさと警察に行ってください！！




湖の精：
え、でも、質問に応えてもらってない……



冒険者1：
そんなのいいから！



冒険者2：
今タクシー呼んだから、さっさと行って！あ、落とし主を確認しようと思ってもくれぐれもアイフォンの電源は入れないように！水没ししててもまだ復活の可能性があるから！



湖の精：
え？えと、その……




冒険者1：
タクシー来たよ！ほら乗って乗って！



湖の精：
えと……？



冒険者2：
運転手さん、最寄りの警察署まで！！




湖の精：
え、えぇぇぇぇぇ！？