真実の愛は体を売って手に入れる所存

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立身出世

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 ジュンが大ニュースだと言って浮かれている。

「本日は、大パウガル共和国からサリアン様がおいでになります!」


 大パウガル共和国?

 サリアン?

 全くピンと来ないが、外国の要人でも来るのか?


「サリアン様はかつてオーケルマン様のお妾様でございました。当時はオユン様というお名前で、オーケルマン様の寵愛を一心に集めていたお方だそうです。私が王宮に仕える前なので、一度もお会いしたことはありませんが……」

 会ったこともないのに、ジュンは目をキラキラ輝かせている。

 なんかムカッとするなあ。

 あれだ!

 可愛い弟をサリアンってヤツにとられた気分なんだ。


「会ったこともないのに、どうして詳しいんだ?」

「サリアン様はオーケルマン様の計らいで、大パウガル共和国へと移りられました。大パウガル共和国で外交官として働くためです。オーケルマン様のお妾様の中で、最も立派な地位に就いた方として、使用人の間でも語り継がれているんです!」

 サクセスストーリーってわけか。

 上手く立ち回れば、オーケルマンの権力を借りて高い地位に昇格できるんだな。

 もちろん、就職先はオーケルマンが持つコネに限定されるが、王宮内での飼い殺しを回避するなんて賢い人だ。

 俺も会ってみたくなった。



 大パウガル共和国からの使節団は、宰相オーケルマンや外務大臣クロンバリが迎えた。

 彼らは王様にも謁見するらしい。


 俺の立場では、同席することも、使節団がロマーリア王国を訪れた目的を知ることすらできない。

 だからジュンにサリアンが通された部屋を教えてもらった。

 失礼極まりないが、本人に直接話しを聞いてみよう。



 サリアンの部屋の前。

 俺は深呼吸をしてからノックした。

「今、よろしいでしょうか?」


「入れ」

 凛とした低音ボイス。

 俺たちはオーケルマンの趣味に合わせて、声色を甘ったるく高くしている。

 サリアンのようないかにも男らしい声は、オーケルマンの妾のイメージ像からかけ離れている。


「失礼します」

 サリアンは俺を見て、目を大きく開いた。

 やっぱりまずかったか?

 一応男性の正装で来たけど、俺が会って良い人じゃないのか?


 今更後悔する俺にかけられた言葉は

「美しい」

 だった。


 サリアンの方がずっと気品があって知的なイケメンだ。

 不覚にもハンスを思い出した。

 ハンスと違うのは、サリアンは自身の武器をよく分かっていて、効果的に使っているところだ。


 俺に座るように促した時、初めましての握手を交わした時、サリアンの仕草は細部までこだわっていた。

 神は細部に宿るとはよく言ったものだ。

 この人はあらゆる人を魅了するお色気の神様だ。


「それで? 俺に何の用かな?」

 ほらまただ。

 サリアンは声のトーンも首をかしげる角度も、全て計算している。


「俺も宰相の妾なんです。あっ、俺も、っておかしいですね。サリアン様は大成功されて……」

 サリアンは自身のことだけでなく、俺のことも見透かしている

「だから、どうやって宰相を意のままに操れるか探りに来たんだね?」

「操りたいというか、まあ、そんな感じになっちゃうんですかね……」


 完全に手のひらで転がされてる。

 まずは世間話で、サリアンのペースに飲まれないようにしないと……!
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