真実の愛は体を売って手に入れる所存

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星降りの夜

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 フレデリクに言われた通り、俺は湖畔に向かった。

 ハンスは来ているだろうか。

 病み上がりだからもう寝てしまったんじゃないか。

 夜は冷えるし無理はして欲しくないが、一体何が見られるんだ?


 湖畔には夜空を眺めるハンスがいた。

「ハンス!」

「お前も来たのか。昼間は部屋にいないようだったから、今日は会えないかと思っていた」

 ハンスは俺みたいに思い切り喜んだりしないけど、嬉しい時と怒った時の表情は割と分かりやすい。

 今、俺たちは同じ感情を共有している。


 俺は意味もなくハンスの体をペタペタ触った。

 筋肉で締まった安定感に、なんか安心するんだよな。


「体の調子は?」

「おかげで明日からは騎士団に復帰できそうだ。跡が残るだけで、傷口も問題ない」


 ハンスは俺を抱き締めて、俺の肩に額を擦り付けた。

 これだけキツく抱き締められるなら、元気になったってことだ。

 ハンスの体に腕を回し、ずっと疑問だったことを聞いてみた。


「フレディさんが」

 ハンスの体がピクっと動いた。

「二人だけの時に他の男の名を出すのは、どういうつもりだ?」

 ますます抱きしめる強さが増した。


 もしかして妬いてるのか?

「仕方ないだろ。どうしても話すのに必要な登場人物なんだ。それともハンスは、俺が昼間、何をしてたのか気にならないのか?」

 力が緩んで、上半身が自由に動けるようになった。

 互いの腰に手を添え、向かい合ったまま本題に戻った。


「フレディさんが大好きだっていうお嬢様が、かくかくしかじか……」

「それはあいつの作り話だ。魔女は想像上の怪物で、エミリアを傷つけないために即興でこしらえたのだろう」

「えぇ!? 全部嘘だったの!? 呪いだとか言って、すげぇ苦しそうにしたのに」

 フレデリクの演技にまんまと騙された。


「エミリアは騙されたってことか……。純粋にフレディさんを想ってたのに、可哀想だ」

「そうとも言い切れない。結果としてエミリアは縁談に前向きになったのだ。あいつの女癖の悪さは褒められたものではないが、ご婦人に決して後悔させない気配りだけは一流だ」


 フレデリクとの別れを決めたエミリアは笑って、俺にありがとうと言っていた。

 エミリアの人生を考えたら、フレデリクが身を引くのが一番だったのかな。


「あいつは人の心が移り変わるものだとよく知っている。エミリアは一時の恋慕で暴走したことを見抜いていたのだろう」

 軽度の人間不信と女遊びが止められないのは、根っこの部分では同じだったりして。

 フレデリクなりの誠意が、エミリアの幸せに繋がればいいなあ。


「フレディさんって悪い人じゃないよな。チャラついてるけど、人のことはよく見てるのかも」

「ハハッ。あいつは信頼できる部下だ。だが、あいつに入れ揚げる女の気持ちは分からん」


 いつもだったら

「今日はもう遅い。気をつけて帰れ」

 と言う時間だ。

 今日はもっといてもいいのか?


「そういえば、フレディさんがエミリアと約束してたんだ。今夜――」

 一斉に辺りが明るくなった。

 警察に包囲された犯人かよ!

 もしかして密会が見つかった……?

 にしてもこの世界にこれほどの光源があるとは……。


「上を見ろ」

 見上げた夜空では、大量の流星が次から次へと現れては消えるを繰り返していた。
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