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帰国④

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 イワンはウォルトンを背負って共に独房へと向かった。

 リチャードは私のところへズカズカと近づき、小さな声で言った。

「……期待している。よろしく頼む」

 私の反応を確認すらせず、くるりと背を向けて屯所へと帰った。


 
 これまでの流れを船の上から眺めていた海賊団はというと

「ガーハッハッハー! 久しぶりに海以外で面白れぇもんを見た! 野郎共、俺たちも気合い入れて海に出るぞ!! 」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

「おめぇら、また海に出たけりゃ俺がもっと刺激的な場所へ連れてってやるよ」

 海賊たちの叫び声は、イワンにも届いたことだろう。

(静かにしてって言ったのに)

 そんなことはもう諦めて、私とオリヴァーは手を振って見送った。

「ありがとうございましたー!」

 
 海賊たちと親しげに接する私たちの姿は、アリアに驚きを与えた。

 まさか海賊船が着くなんて、パラスリリーの人々は想像すらしないだろう。

「あなたたち、すごい人たちと航海してたのね」

「見た目は怖いけど、すごく良い人たちだったよ。そういえば、アリアは何でリチャードさんといたの?」

 アリアはこの素朴な疑問に、少し目を泳がせた。

「サクラたちがいない穴埋めをしてたのよ」

「……?」

(こんな夜遅くまで?)

 アリアにしてはどこか歯切れの悪い返答だ。

 
 何となく腑に落ちなかったが、オリヴァーの

「積もる話も多いけど、今日は帰って休もう」

 という言葉によって、アリアと私のおしゃべりモードは落ち着いた。

 

「今日くらいはゆっくり休んで。あたしも疲れたから帰るわー」

 アリアはそそくさと帰った。

 きっと明日も早いのだろう。

 パラスリリーに無事に着き、アリアといつでも話せることに感謝。


 任務を完了できたこと、一時的にではあるがウォルトンの処刑を止められたこと、その達成感に包まれ研究所へと帰るのだった。

(……もしかしたら異世界に来て、私は変われたのかな?)
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