11 / 39
11.ちょっとしたお散歩(ルシア視点)
しおりを挟む
カイオが仕事へと行ってしまった。
家の中には私一人。昨日はとても心細かったけれど、昼にはカイオが帰ってきてくれると思うと、今日の私には何の不安もない。思い切り自由を満喫しなければ。
朝食に使った食器を片付けて、二枚の毛布とライムンドの模型を持って二階の部屋へ行き、ライムンドをチェストの上に飾る。それから……
暇すぎる。することがない。掃除や洗濯をしようと思ったけれど、慣れないことをして失敗すればカイオに馬鹿にされそうだし、彼を心配させたくもない。
本当に私は何もできない。魔法も使えないし。
私は昨日火傷した人差し指を見た。あんなにずきずきと痛かったのに、カイオが魔法を使ったらあっという間に治ってしまった。
シャワーの大きなタンクにだって一瞬で水を満杯にすることができるカイオ。そして、彼は得意な風魔法で私の髪の毛を乾かしてくれた。
幼い時から訓練に明け暮れ、命がけで竜に挑み、竜から相棒だと認められた誇り高い竜騎士。王にさえ膝を屈することなく、誰も彼を縛ることはできない。その魂さえ自由な存在。
カイオと私とは本当に正反対。何でもできるカイオと、何もできない私。
でも、落ち込んではいられない。家政婦さんがこの家にやって来たら、みっちりと家事を教えてもらうの。そして、完璧に家事をこなしてカイオに『恐れ入った』と言わせてみせるから。
私は手を握り締めてそう誓った。
一昨日までは朝の祈りをしていた時間だけど、聖乙女を辞めた今はそんなこともしなくていい。
何をしても自由なはずなのに、何もすることがない。
ふと窓の外に目をやると、色とりどりの綺麗な花が咲いている花壇が見えた。私が借りることにした二階の部屋は玄関と反対側に窓があるので、あれは裏庭だと思う。
一階に降りて玄関に行ってみる。ドアノブを回し軽く押すと難なくドアが開いた。そっと一歩足を踏み出す。神殿に入ってからは庭にさえ一人で出たことがなかったから、裏庭へ行くのも私にとってはちょっとした冒険だ。
完全に外へ出てドアノブを持つ手を離すと、後ろでドアが閉まる音がした。
私はそのまま壁を伝って裏庭へ行く。
「綺麗!」
神殿のように広い庭ではないけれど、小さな花壇の花は十分に見応えがあった。カイオは独身寮に住んでいたらしいので、花壇の世話をする人が他にいるのだろう。
その人に花の育て方も習うことができたら、とても素敵だし、カイオを驚かせることができるかなと思う。
しばらく花を見ていると、蝶が二匹仲良く飛んできた。つかず離れず飛ぶ蝶はとても楽しそうだ。私はその様子を時が過ぎるのも忘れてじっと見ていた。
初めての一人だけの外出は家の敷地内の裏庭までだったけれど、とても楽しかった。
カイオが帰ってくるまでに家の中に戻れば、一人で外に出たことはばれないから大丈夫。
そう思っていたのに、玄関のドアが開かない。閉まった時自動で施錠されてしまったらしい。
魔法認証方式の鍵なので、登録されていない私には解錠できない。登録してもらおうにも、私には魔力が全く無い。
どうしよう。カイオはおとなしく待っていろと言ったのに、外へ出たことを知られたら怒られてしまう。
何回がドアを叩いたけれどびくともしない。それより叩いた手が痛い。
心細くて泣きそうになってしまう。
「どうかしましたか? 貴女は昨日基地内の雑貨屋で会ったカイオさんの婚約者の方ではないですか?」
私に声をかけてくれたのは、臨月のようにお腹が大きい女性だった。確かジャイル先輩という人の奥さんだ。
「いいえ、私はカイオさんの婚約者というわけではなくて、ただの居候なのです。それで、裏庭を見たいと外に出たら、ドアが勝手に閉まって開かないの」
そう言うと、その女性はふっと笑った。その様子も可愛らしい。
「このドアは自動で鍵がかかってしまいますからね。カイオさんはお仕事なの?」
「はい。でもお昼には帰るらしいです」
「それなら、カイオさんが帰ってくるまで私たちの家で待ちませんか? 自分で焼いた茶菓子があるの」
「行きます!」
手作りの茶菓子はぜひ食べてみたいです。
ジャイル先輩の家はすぐ隣だった。間取りはカイオの家と同じように見える。近所には十五軒ほど同じような家が建っていて、全ての竜騎士の一家がここら辺りに住んでいるらしい。
「お邪魔します」
「今は私だけだから気を使わないでね。さぁ、どうぞ」
殺風景なカイオの家と違い、玄関には可愛らしい小物があちこちに飾られていた。これも奥さんの手作りに違いない。こんなものまで作ることができる奥さんが羨ましい。こんな可愛いものが作れるようになったら、カイオはどんな顔をするのだろう。
「こっちよ」
奥さんの手招きに従って進むと、思った以上に落ち着いた雰囲気の応接室に通されるた。
私が革張りのソファに座ると、奥さんは手際よく茶を入れてくれて、手作りのお菓子が入ったかごをテーブルの上に置いた。この奥さんは私よりかなり若いのに、本当に何でもできる。羨ましい限りだ。
「私の夫とカイオさんは好敵手でもあり、良き友でもあるの。だから、カイオさんが結婚すれば家族同士で交流できると楽しみにしていたの。カイオさんの奥様になる方がこんな優しそうな女性で良かったわ。だって、他の竜騎士の奥様は結構年上なので、話が微妙に合わなくて」
ただの居候だと伝えたのだけど、もう婚約者と断定されてしまっている。カイオが婚約者だと私を紹介したので、無理もないか。
「奥様はお幾つなんですか?」
絶対に若いわよね。
「私は今十九歳なの。昨年十八歳で結婚したのよ。夫は二十六歳で七歳上。うちの人が二十一歳で竜騎士になった時には最速で竜騎士になったと騒がれたのに、昨年カイオさんが十九歳で竜騎士になったから、あっさり抜かれてしまって、夫は少し落ち込んでいたのよ」
はぁ、この奥さんは私より五歳も年下なのね。それで、もうすぐ子どもが産まれると。
羨ましくなんかないからね。
「竜騎士の妻って、思った以上に大変なのよ。自由に基地の外に出てはいけないの。だって、もし妻が人質にされて竜騎士に破壊活動を命じられたら困るでしょう。竜騎士が低空を超音速で飛ぶだけで甚大な被害が出るらしいの。王宮だって瓦礫になってしまうのだって。それに、緊急発進は何ものにも優先されるから、記念日だって一緒に過ごせないかもしれない。赤ちゃんだって一人で産む覚悟をしておかなければね。それに、いつ殉職するかもしれないって、夫から言われているの」
「とても大変なのですね。竜騎士はもっと自由だと思っていました」
何ものにも縛られることなく、空を自由に飛ぶことができるから、竜騎士は誰よりも自由だと思っていた。
「竜騎士は本当に大変な職業だと思うの。でも、私は竜騎士のあの人が好き。それに、竜騎士は国王陛下の前でも礼を取らなくてもいいのよ。竜を得るというのはそういうこと。その意味では本当に彼らは自由だわ。竜騎士が膝を折ることがあるとすれば、それは聖乙女のルシア様ぐらいではないかしら」
「はい? なぜ?」
急に私の名前が出て驚いた。それにしてもこの年になって乙女は恥ずかしいわ。何とかならないものかしら。
「カイオさんの武器は全てルシア様が祝福したらしいのだけど、うちの人は『あれは反則だ』って怒っているわ。自分のものと明らかに性能が違うらしいの。だから早く矢や長剣が劣化すればいい。そうしたら新しいものを支給されてルシア様に祝福してもらえるからと言っているの」
「あの、カイオさんの武器の性能は皆さんのに比べて勝っているのでしょうか?」
私はカイオの武器を祝福した時のことを思い出していた。
とうとう私より年下の竜騎士が誕生したと聞いて、ちょっとイラっとしたのよね。だから、彼の矢を円形に綺麗に並べて、中央でくるくる回りながら祝福してやったわ。立ち会いの神官からはふざけるなと怒られたっけ。
もしかして、あの武器が高性能なの? 世の中わからないものね。
「その通りよ。あのルシア様が祝福したのよ。凄いに決まっているじゃない」
えっと、それって本当に私のことかしら?
家の中には私一人。昨日はとても心細かったけれど、昼にはカイオが帰ってきてくれると思うと、今日の私には何の不安もない。思い切り自由を満喫しなければ。
朝食に使った食器を片付けて、二枚の毛布とライムンドの模型を持って二階の部屋へ行き、ライムンドをチェストの上に飾る。それから……
暇すぎる。することがない。掃除や洗濯をしようと思ったけれど、慣れないことをして失敗すればカイオに馬鹿にされそうだし、彼を心配させたくもない。
本当に私は何もできない。魔法も使えないし。
私は昨日火傷した人差し指を見た。あんなにずきずきと痛かったのに、カイオが魔法を使ったらあっという間に治ってしまった。
シャワーの大きなタンクにだって一瞬で水を満杯にすることができるカイオ。そして、彼は得意な風魔法で私の髪の毛を乾かしてくれた。
幼い時から訓練に明け暮れ、命がけで竜に挑み、竜から相棒だと認められた誇り高い竜騎士。王にさえ膝を屈することなく、誰も彼を縛ることはできない。その魂さえ自由な存在。
カイオと私とは本当に正反対。何でもできるカイオと、何もできない私。
でも、落ち込んではいられない。家政婦さんがこの家にやって来たら、みっちりと家事を教えてもらうの。そして、完璧に家事をこなしてカイオに『恐れ入った』と言わせてみせるから。
私は手を握り締めてそう誓った。
一昨日までは朝の祈りをしていた時間だけど、聖乙女を辞めた今はそんなこともしなくていい。
何をしても自由なはずなのに、何もすることがない。
ふと窓の外に目をやると、色とりどりの綺麗な花が咲いている花壇が見えた。私が借りることにした二階の部屋は玄関と反対側に窓があるので、あれは裏庭だと思う。
一階に降りて玄関に行ってみる。ドアノブを回し軽く押すと難なくドアが開いた。そっと一歩足を踏み出す。神殿に入ってからは庭にさえ一人で出たことがなかったから、裏庭へ行くのも私にとってはちょっとした冒険だ。
完全に外へ出てドアノブを持つ手を離すと、後ろでドアが閉まる音がした。
私はそのまま壁を伝って裏庭へ行く。
「綺麗!」
神殿のように広い庭ではないけれど、小さな花壇の花は十分に見応えがあった。カイオは独身寮に住んでいたらしいので、花壇の世話をする人が他にいるのだろう。
その人に花の育て方も習うことができたら、とても素敵だし、カイオを驚かせることができるかなと思う。
しばらく花を見ていると、蝶が二匹仲良く飛んできた。つかず離れず飛ぶ蝶はとても楽しそうだ。私はその様子を時が過ぎるのも忘れてじっと見ていた。
初めての一人だけの外出は家の敷地内の裏庭までだったけれど、とても楽しかった。
カイオが帰ってくるまでに家の中に戻れば、一人で外に出たことはばれないから大丈夫。
そう思っていたのに、玄関のドアが開かない。閉まった時自動で施錠されてしまったらしい。
魔法認証方式の鍵なので、登録されていない私には解錠できない。登録してもらおうにも、私には魔力が全く無い。
どうしよう。カイオはおとなしく待っていろと言ったのに、外へ出たことを知られたら怒られてしまう。
何回がドアを叩いたけれどびくともしない。それより叩いた手が痛い。
心細くて泣きそうになってしまう。
「どうかしましたか? 貴女は昨日基地内の雑貨屋で会ったカイオさんの婚約者の方ではないですか?」
私に声をかけてくれたのは、臨月のようにお腹が大きい女性だった。確かジャイル先輩という人の奥さんだ。
「いいえ、私はカイオさんの婚約者というわけではなくて、ただの居候なのです。それで、裏庭を見たいと外に出たら、ドアが勝手に閉まって開かないの」
そう言うと、その女性はふっと笑った。その様子も可愛らしい。
「このドアは自動で鍵がかかってしまいますからね。カイオさんはお仕事なの?」
「はい。でもお昼には帰るらしいです」
「それなら、カイオさんが帰ってくるまで私たちの家で待ちませんか? 自分で焼いた茶菓子があるの」
「行きます!」
手作りの茶菓子はぜひ食べてみたいです。
ジャイル先輩の家はすぐ隣だった。間取りはカイオの家と同じように見える。近所には十五軒ほど同じような家が建っていて、全ての竜騎士の一家がここら辺りに住んでいるらしい。
「お邪魔します」
「今は私だけだから気を使わないでね。さぁ、どうぞ」
殺風景なカイオの家と違い、玄関には可愛らしい小物があちこちに飾られていた。これも奥さんの手作りに違いない。こんなものまで作ることができる奥さんが羨ましい。こんな可愛いものが作れるようになったら、カイオはどんな顔をするのだろう。
「こっちよ」
奥さんの手招きに従って進むと、思った以上に落ち着いた雰囲気の応接室に通されるた。
私が革張りのソファに座ると、奥さんは手際よく茶を入れてくれて、手作りのお菓子が入ったかごをテーブルの上に置いた。この奥さんは私よりかなり若いのに、本当に何でもできる。羨ましい限りだ。
「私の夫とカイオさんは好敵手でもあり、良き友でもあるの。だから、カイオさんが結婚すれば家族同士で交流できると楽しみにしていたの。カイオさんの奥様になる方がこんな優しそうな女性で良かったわ。だって、他の竜騎士の奥様は結構年上なので、話が微妙に合わなくて」
ただの居候だと伝えたのだけど、もう婚約者と断定されてしまっている。カイオが婚約者だと私を紹介したので、無理もないか。
「奥様はお幾つなんですか?」
絶対に若いわよね。
「私は今十九歳なの。昨年十八歳で結婚したのよ。夫は二十六歳で七歳上。うちの人が二十一歳で竜騎士になった時には最速で竜騎士になったと騒がれたのに、昨年カイオさんが十九歳で竜騎士になったから、あっさり抜かれてしまって、夫は少し落ち込んでいたのよ」
はぁ、この奥さんは私より五歳も年下なのね。それで、もうすぐ子どもが産まれると。
羨ましくなんかないからね。
「竜騎士の妻って、思った以上に大変なのよ。自由に基地の外に出てはいけないの。だって、もし妻が人質にされて竜騎士に破壊活動を命じられたら困るでしょう。竜騎士が低空を超音速で飛ぶだけで甚大な被害が出るらしいの。王宮だって瓦礫になってしまうのだって。それに、緊急発進は何ものにも優先されるから、記念日だって一緒に過ごせないかもしれない。赤ちゃんだって一人で産む覚悟をしておかなければね。それに、いつ殉職するかもしれないって、夫から言われているの」
「とても大変なのですね。竜騎士はもっと自由だと思っていました」
何ものにも縛られることなく、空を自由に飛ぶことができるから、竜騎士は誰よりも自由だと思っていた。
「竜騎士は本当に大変な職業だと思うの。でも、私は竜騎士のあの人が好き。それに、竜騎士は国王陛下の前でも礼を取らなくてもいいのよ。竜を得るというのはそういうこと。その意味では本当に彼らは自由だわ。竜騎士が膝を折ることがあるとすれば、それは聖乙女のルシア様ぐらいではないかしら」
「はい? なぜ?」
急に私の名前が出て驚いた。それにしてもこの年になって乙女は恥ずかしいわ。何とかならないものかしら。
「カイオさんの武器は全てルシア様が祝福したらしいのだけど、うちの人は『あれは反則だ』って怒っているわ。自分のものと明らかに性能が違うらしいの。だから早く矢や長剣が劣化すればいい。そうしたら新しいものを支給されてルシア様に祝福してもらえるからと言っているの」
「あの、カイオさんの武器の性能は皆さんのに比べて勝っているのでしょうか?」
私はカイオの武器を祝福した時のことを思い出していた。
とうとう私より年下の竜騎士が誕生したと聞いて、ちょっとイラっとしたのよね。だから、彼の矢を円形に綺麗に並べて、中央でくるくる回りながら祝福してやったわ。立ち会いの神官からはふざけるなと怒られたっけ。
もしかして、あの武器が高性能なの? 世の中わからないものね。
「その通りよ。あのルシア様が祝福したのよ。凄いに決まっているじゃない」
えっと、それって本当に私のことかしら?
15
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる