時空記 壱

アリセ

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第一部 日常の日々の崩壊編 

プロローグ

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         ~壱~
(ココは…何処だ…。)
三人の武将?のような男の姿が見える。一人の猿のような顔の男が言う。
「殿!我らもともに戦いまする!」
殿と呼ばれた男が言う。
「お前らは逃げるのじゃ。」
顔は見えないが、多分一番若い男が言う。
「ですが、殿を置いてにげられません!」
すると、殿は
「二人ともまだ若い。それに、二人共使命があるんだろ」
と語りかける。
「……ッ」
二人は言葉を詰まらせているようだ。殿は、
「此処はわしに任せて逃げるのじゃ。さぁ、最後の舞の始まりよ!!」
そう言い、二人に逃げろと言わんばかりの笑みを見せる。二人は、
「殿っ!!俺は使命を果たします!!殿のご恩、一生忘れません!」
「殿っ!!わしは殿のやりたかったことを必ずッ!必ずッ!果たして見せまする!!」
と鼻声で言う。
「そうか。では、達者でな。」
そして二人は同じ方向ヘ、一人は兵たちの方向ヘそれぞれ馬を駆ける。誰の鼻のすすり音だろうか。その音を最後に俺の意識は途絶えた―。

         ~弐~
「ジジジッ!!!……カチッ」
「ふわぁ…」
カレンダーは20XX年7月31日。この匂い、この部屋の散らかりよう、たしかに俺の部屋。時刻は7時34分。……うん。此処は俺のいるべき時代、現代だ。あの夢は何なんだ?もう見始めてから1ヶ月も経つぞ??…そんなことを考えていると、
「来也ー!!ご飯よーーー!」
と母の声。ここで自己紹介!!

名前 赤夢先 来也
誕生日 8月14日
職業 中学3年生 無類の歴史オタク
好きなこと 歴史的場所の聖地巡礼
将来の夢 考古学者
紹介
受験生のくせして受験勉強を全くしない中3。成績は社会が毎回100点だけど他の教科は50点台。歴史オタクということしか取り柄がない普通の中3。

という感じの俺。まっ、これからよろしく!
ではでは、そろそろ本題へ戻りますか。
「ヘイヘイ。」
そう言って階段を降りると、美味しそうなバターの香り!ドアを開けると…父と母がいた。
「来也、おはよう。」
父と母が言う。俺はおはようと返し、朝ごはんのバターがたっぷり塗られた食パンを食べ始めた。しばらくすると、母が、
「それで?受験勉強は進んでいるの?」
と言い、父もそれに続く。
「お前、またゲームしてたんだろ。いい加減勉強したらどうだ‼」
「……ごちそうさま。」
俺も勉強したい。だけど、だけど、心の中で渦巻く「何か」が俺の思考の邪魔をするんだ…!!!
もうこんな部屋いたくない。俺は朝こんなに美味しそうと思った食パンを残して俺の部屋に戻った。

俺は荷物を整理していた。ハンカチにティッシュ、おやつと着替えをリュックに詰め、愛用の「日本史辞典Pocket」を入れ、準備完了!…あ、一応護身用に図工で使った「小刀」をポケットに入れて今度こそ準備完了!「アイツ」との思い出の帽子を被って俺は階段を降りた。ドアノブに手をかけると、母の声がした。
「来也、どこ行くの?早く帰ってきて受験勉強しなさいよ~。」
俺は無言で家を出た。この家にもう一度足を踏み入れる日はずっと後とも知らずに……

         ~参~
自転車に乗って坂を下る。顔に当たる風が妙に気持ちいい。特に行くあてもないが、なんだか導かれるように体と自転車が連動して動く。着いた先は、見たこともない場所だった。ボロボロの看板を見ると、「旅時浜辺(りょじはまべ)」と書かれている。夏休みなのに客は誰もいない。というか海の家などのお店も何一つ無い。
…明らかに怪しい。寂れた浜辺だったとしても客が一人ぐらいいていいだろう。だが、好奇心が思考を邪魔してくる。
……あぁ~!もう考えたくない!!よし、入ってみよう。危なかったら逃げればいいし。小刀だってあるし。覚悟を決めて浜辺に足を踏み入れる。途端に覚悟が不思議な気持ちに変わる。どんどん奥へ進んでいく。すると、遠くに紫色の物体が現れる。幻覚?そんなことを思いつつ近づいていくと、なかなかの大きさの紫色の渦巻きだった。身の危険を感じる。後ずさりしようとするが、体が動かない。渦巻きが俺を吸い込もうとする。…吸い込まれるものか。俺は足を踏ん張る。が、体が持っていかれそうになる。
「うわあぁァァァあああ!!!」
その叫び声を最後に、俺の意識は完全に途絶えた。
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