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新たなる旅立ち編
第1話 信じていたのに。(2)
しおりを挟む結局国王は、バレリーノの家を敵に回す事により、現在保たれている国内の均衡を崩すことを嫌ったのだろう。
バレリーノが買収した複数の貴族たちも、もしかしたらその決断をさせた要因の一つなのかもしれない。
しかしどちらにしろ、国王は未来より、今を取ったのだ。
国王とは、血縁上は確かに親子の関係性だ。
しかし忙しさにかまけて、親子らしい事をしてもらった覚えは今まで一度もありはしない。
元々国王は、交流が無かった相手である。
そんな相手を信じ、そして俺はその本質を見誤った。
「――陛下、本当にそれでよろしいのですね……?」
最後にそう、王に訪ねた。
すると王は、無表情のまま「意味が分からん事を言われても答えようがない」と応じてくる。
「ならばもう、私が陛下にお話するべき事はありません」
ならもういいや。
これは、そんな風に思った結果の言葉だった。
今、俺の胸には特に絶望などは存在しない。
先程も言ったが、絶望するほど俺は国王を、父を知らないのだ。
だから俺は、ただただ「国のために、良き王になるために」と頑張ってきた今までの自分をアホらしく思っただけだった。
だから。
「多くの貴族の前で虚偽の発言をして混乱を招き、バレリーノを貶めようとした罪により、アルドの王位継承権を剥奪。今後は第二王子のグリントを王太子とする。またアルドには伯爵家への臣籍降下と、一年間の社交界への出入り禁止を申し渡す」
そんな判決が下された時も、大して衝撃などは無かった。
臣籍降下の上で一年間の社交界への出入り禁止は上流階級で生きていく人間にとってはかなり重い措置である。
しかしバレリーノは公爵家令嬢、その名誉を毀損した罪となれば、国外追放になってもおかしくはない。
そうしない事の裏に、俺は国王の「一定の生活水準は保証してやる」と言われている様な気になった。
つまりは温情を掛けてくれているのである。
しかし、そんなものはむしろ邪魔だ。
「――恐れながら陛下、私を罪に問うのでしたら、伯爵位ではなく平民へと落としてください」
俺がそう言った途端、周りが最高潮のざわめきに包まれた。
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