冷徹王太子の愛妾

月密

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三十七話(閲覧注意)

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 少し時間が欲しいと言われたベルティーユは一旦自室へと下がった。ヴェラから衣装替えを促され、そうこうしている内にハンスが呼びに来た。
 向かった先は広間だが、これまで入る機会がないので初めてだ。

「⁉︎」

 扉をハンスに開けて貰い中へと入ると、広間中が花で彩られている。少し開いた窓からは涼やかな風と緋色の夕陽が差し込みそれはとても美しい光景だった。
 ベルティーユに気が付いた彼が此方へ振り返ると、銀色の艶やかな髪がふわりと揺れ夕陽が灰色の瞳を照らし出す。まるで一枚の絵画の様な光景に目を奪われた。

「先程着ていたドレスも良く似合っていたが、それも良いな。綺麗だ」

 扉の前で立ち尽くすベルティーユへと彼がゆっくりと歩いて来る。ほんの僅かな時間だったが
とても長く思えた。

「あ、ありがとう、ございますっ」

 まさか褒めて貰えるなど思っておらず、気の利いた返事が出来ず情けない。取り敢えずどうにかお礼を返すもそれすらぎこちない。色んな意味で恥ずかしくなり身を縮こませた。
 気持ちを落ち着かせる為暫し黙り込み深呼吸をしてみる。彼はその間、辛抱強く待ってくれた。少しだけ平常心を取り戻し、僅かに気持ちに余裕が出来ると俯き加減のまま彼を盗み見た。するとベルティーユ同様にレアンドルもまた正装に着替えていた。先程は彼に見惚れており、衣服にまで気を回せなかったが改めて見て思う……王子様だーーいや、実際彼は王子なのだから当たり前なのだが、要するそれだけ素敵だという意味だ。
 そんな些末な事を考えていると、レアンドルは徐にベルティーユの前に跪き手を差し出して来た。

「俺と一曲、踊って頂けませんか?」

 
 それは、まるで夢の様でーー。

 ハンスがヴァイオリンを弾く中、レアンドルはベルティーユの腰に手を回して身体を寄せた。ぎこちないベルティーユの動きに合わせてゆっくりとステップを踏んでくれているのが分かる。

「すみません、実は私ダンスは余り得意じゃないんです……」

 自分でダンスを強請った癖に、きっと彼は呆れるに違いない。
 幼い頃から一通りの教育は受けて来たが、ダンスだけはどうしても苦手だった。ブルマリアスに来てからはダンスは疎か勉強などもする機会もなくその為余計に上手く踊れる気がしない。何度かクロヴィスに勉強やダンスを学びたいと願い出た事もあったが「君にそんな事は必要ないよ」と毎回断られた。だが何時か素敵な殿方とダンスの一つでも踊りたいと夢見ていた。

「気にする必要はない、そのまま俺に身を任せていればいい。それに此処には俺と君しかいないんだ、恥ずかしがる事はない」

 しなやかに動く彼の肢体に身を任せるが、緊張からか身体に力が必要以上に入り過ぎてしまう。

「もっと力を抜いて……あぁそうだ、上手だ」
「あのっ……」
「余所見をせず、俺だけを見ていろ」

 一瞬足が縺れてしまうが、瞬間ふわりと身体が浮いた。難なくレアンドルがベルティーユの身体を支え、そのまま流れる様にダンスは続く。互いに見つめ合い、一時いっときも目を逸らす事はない。いや吸い込まれそうな灰色の瞳がベルティーユを捕えて離さないという方が正しいかも知れない。
 このままずっと彼と二人、こうしていられたならばどんなに幸せだろうーー。


 暫しダンスを愉しんだ後、ベルティーユはレアンドルの手に引かれ窓際へと移動した。そこで彼はベルティーユを軽々と持ち上げると窓台へと座らせた。大きな窓なので、小柄なベルティーユが一人座ってもかなり場所は余っている。
 レアンドルの意図が分からず目を丸くしていると、丁度良くヴェラが部屋へと入って来た。手には飲み物がある。但し何時もの茶器ではなく、どう見てもお酒にしか見えない。
 ヴェラは小さな円卓のテーブルにそれ等を並べ終えるとハンスと共に部屋から下がって行った。


「苺酒を用意してみたんだ」

 彼は手ずから苺酒をグラスに注いでくれ、それをベルティーユに差し出すが受け取るのを躊躇ってしまう。

「レアンドル様、私お酒は飲んだ事がないので……あの」
「菓子に入っている酒は問題ないのだろう?」
「はい、ですが少し不安です」

 お菓子や料理に含まれているお酒などは少量に過ぎず、やはり直接飲むのとは違う筈だ。万が一酒癖が悪かったら……最悪だ。淑女どころの騒ぎではない。絶対に軽蔑されてしまう。

「そうか、なら試してみればいい」
「え……んッ」

 レアンドルは手にしたグラスに口を付けると、ベルティーユの顎に手を掛ける。上を向かされたと分かった時には既に口付けをされていた。
 指で唇をこじ開けられ口移しで苺酒を流し込まれる。苺の甘酸っぱさと共に酒特有の風味が口の中へと広がっていく。彼は二人で分かち合う様にじっくりと舌を絡ます。

「どうだ、上手いか?」
「よく分からない、です……」

 放れる直前舌で唇を舐められ背筋がぞくりとした。彼を見れば舌舐めずりをしており、妖艶なその姿に胸が煩いくらいに高鳴るのを感じる。

「そうか、それは残念だ」
「なので……その……」
「どうした」
「もう一度……下さい」

 我ながら信じられないくらい大胆で、はしたない。これではまるでベルティーユから誘っている様だ。口に出してから激しく後悔をする。
 何も言わないレアンドルに不安は募り、軽蔑されてしまったのかも……そんな風に思っていると、彼はグラスに残っていた酒を煽ると再びベルティーユに口付けをした。

 
 ドレスのスカートをたくし上げ手に持つ様に言われ従う。その状態で足を大きく開かされ、レアンドルは床に膝をつき秘部に指で触れた。

「もう濡れているな……もしかして、期待していたのか?」
「違いますっ……」

 図星をつかれ、一気に顔に熱が集まる。
 下着の上から敏感な場所を何度も擦り上げられ既に湿っていた下着は、次第に重みを増していき直ぐにびしょびしょになってしまった。

「ああっ……‼︎」

 レアンドルは脚の間に顔を埋めると秘部を舐める。始めは表面だけだったのが、花弁を舌先で開きなかに長い舌がぬるりと挿し入れられた。抜き挿しされて弄られている内に頭がクラクラして段々と身体の力が抜けてくる。

(レアンドル様の舌、気持ちいい……)

 徐々に込み上げてくる快楽に、ベルティーユは持っていたドレスを放すとレアンドルの頭を掴む様にして手を置いた。無意識に押し付ける様にして腰が浮く。

「んっ……だめ、変になっちゃッ……っ‼︎ あぁー‼︎」

 身体がしなりピクリと震えた後、ずるずると力なくその場に寝そべった。

「良い子だ、上手に達せたな」

 優しい声が頭上から聞こえ、髪を撫でられた。耳や額、瞼、頬……最後に唇に口付けられる。

「ベルティーユ……君の中に入りたい」

 熱い彼の息が耳に掛かり、ベルティーユはゆっくりと頷いた。

 

 窓の外は疾うに暗闇に包まれ、広間は無数の洋燈が灯されていた。身体が打つかり合う音と共に水音が響き渡る。時折り冷たい風が頬を掠め、窓が開いていた事を思い出し慌てて手で口元を覆った。レアンドルが人払いをしたとはいえ、これでは洩れ聞こえてしまう。だが興奮し切った顔で夢中になって腰を振っているレアンドルに言う事が出来ずに我慢する。

「ベルティーユッ……くッ、締まるっ……はぁっ、はぁ……」

 気持ちよさそうな彼を見ているだけで、お腹の奥がキュッと疼く。
 ベルティーユは男女の営みに関して大した知識は持ち合わせていない。なのでこんな場所で、こんなはしたない体勢でまぐわうなど想像すら出来なかった……ベッド以外でもする事があるのだと、少し勉強になった。
 座っている所為で繋がっている様子が見て取れる。目を瞑ればいいだけの話だが、つい見てしまう。

(私、今レアンドル様と繋がっている……)

 激しい快楽と羞恥心に心臓が止まりそうになりながらも、無意識に彼にしがみ付く。

「ゔ、はあッ……ベルティーユ、気持ち善いか?」
「奥、そんなトントンしないでっ……だめ、なの……また、きちゃうッ」
「ふっ……ベルティーユは奥が好きなんだな……なら沢山擦ってやらないとなっ」

 ベルティーユの両脚を更に高く持ち上げると、自らの肩に掛ける。その瞬間、グッと彼の陰茎が奥へと押し込まれた。彼は更に腰の打ち付ける速度を上げていく。

「可愛いな……強請っているのか? 君の子宮口がっ俺のモノに、吸い付いてくる……そんなにっ俺の子種が、欲しいのか? 嫌らしいな……はぁっ、はぁ……ベルティーユっ、今直ぐに……君の子宮なか射精してやるからなッ、ぐっ‼︎」
「アっ、アっ、だめッ……深くて、怖いっ、アッ! いやっ、レアンドル、さまッ……あっあ、あぁッー‼︎」

(レアンドル様の、子種が……私の子宮なかに入ってくる……)

 ドクドクと脈打つ彼の陰茎から精液が注がれるのを感じながら、ベルティーユは瞳を伏せた。


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