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四十七話
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目前には古城が見える。シーラが話すには騎士団は今この古城にて籠城しているという。今遠征に出ているのは騎士団の半数であり残っていた騎士団は国王からの裏切りにより襲撃を受け、此方へと逃げ込んだそうだ。
ベルティーユとシーラは木陰に身を潜め周囲の様子を伺っているが、人気は皆無だが逆に静か過ぎて不気味だ。
「追手も来てないわね……他に兵もいないみたいだけど。念の為、暗くなるのを待った方が良さそうね」
シーラの言葉に頷いた時だった、背後から物音が聞こえ振り返るとそこには数人の兵士の姿があった。
「っーー」
「何してるのよ!」
驚愕し声すら出ずに思わず尻餅を付いた。すると直ぐ様シーラがベルティーユの腕を掴み起き上がらせるとその勢いのまま走り出した。
「待てっ‼︎」
「どっちだ」
「白金髪の娘は殺すな‼︎」
何やら兵士等が叫んでいるのが聞こえるが、内容迄理解する余裕はない。草木を掻き分け不安定な地面を蹴り上げ死に物狂いで古城を目指しベルティーユ達は駆けた。草木が途切れると視界には砂地が広がる。後は此処を駆け抜ければ古城に辿り着くのにーー目前に見えているのにこんなにも遠いとは思わなかった。ふとベルティーユは気付いてしまった。腕を掴んでいるシーラの手が震えている事を。
『見つかったら確実に殺されるわ、私が』
『貴女は殺されないから安心して?ーーもし仮に見張りに見つかって私が殺される様な事があっても、貴女を全然恨んだりしないから』
そうだ……もし捕まりでもしたら彼女は殺されてしまう。それなら私がーー。
「ダメッ‼︎ 何の為に私が、命懸けで助け出したと思ってるのよ‼︎」
一瞬駆ける脚を遅めたが、それに気付いたシーラがベルティーユの腕を掴む手に更に力を込めた。
「ですがこのままでは……」
「私の頑張りを無駄にしないでっ、お願い……」
「シーラ……シーラッ⁉︎」
「っ‼︎」
そうこうしている内に何時の間にか兵士の一人が背後まで迫って来ていた。すると彼女はベルティーユの身体を力の限り前へと押し出した。
「シーラッ‼︎」
「ベルティーユ様、私……貴女に会えて、良かった……行って‼︎ 行ってッー‼︎‼︎」
シーラは踵を返すと向かって来た兵士に全体重をかけ体当たりをした。そして次の瞬間、後ろから来た別の兵士に……斬られた。
「シーラっ‼︎‼︎」
走らなくてはと頭では分かっている。でも、でもっーー。
それは数秒の出来事だったが、ベルティーユには酷く長くゆっくりと彼女の身体が地べたに倒れた様に見えた。血飛沫が散り砂煙が舞い上がり彼女の身体に纏わり付き、汚した。
ダメ、彼女を見捨てて、これ以上走れないーー。
背後に兵士等が迫り来る中、ベルティーユの脚は止まり掛けたが……。
「え……」
「ベルティーユ」
フワリと身体が浮いた。気付いた時には彼の肩に担がれていた。
時同じくして古城の門が開き、数人の騎士団員等が現れ兵士等へと攻撃を開始する。そして瞬く間に兵士等を一掃した。
「っ‼︎」
ゆっくりと下ろして貰ったベルティーユはシーラの元へと急ぐが、此方へと近付いて来る人影に思わず脚が止まる。
「ロラン、様……」
彼はシーラの前に蹲み込むと顔を覗き込み頭を撫でた。そして彼女の身体を抱き上げる。
「シーラっ……」
「彼女は、俺が連れて行く」
感情が抜け落ちた顔のロランは踵を返し去って行く。反射的に後を追いかけ様としたが、彼に腕を掴まれ制止させられる。振り返り彼を見上げたベルティーユの口からは悲鳴に似た声が洩れた。
「レアンドル様ッ、私っ……」
ベルティーユの意識はそこで途切れ、力なく崩れ落ちた。
ベルティーユとシーラは木陰に身を潜め周囲の様子を伺っているが、人気は皆無だが逆に静か過ぎて不気味だ。
「追手も来てないわね……他に兵もいないみたいだけど。念の為、暗くなるのを待った方が良さそうね」
シーラの言葉に頷いた時だった、背後から物音が聞こえ振り返るとそこには数人の兵士の姿があった。
「っーー」
「何してるのよ!」
驚愕し声すら出ずに思わず尻餅を付いた。すると直ぐ様シーラがベルティーユの腕を掴み起き上がらせるとその勢いのまま走り出した。
「待てっ‼︎」
「どっちだ」
「白金髪の娘は殺すな‼︎」
何やら兵士等が叫んでいるのが聞こえるが、内容迄理解する余裕はない。草木を掻き分け不安定な地面を蹴り上げ死に物狂いで古城を目指しベルティーユ達は駆けた。草木が途切れると視界には砂地が広がる。後は此処を駆け抜ければ古城に辿り着くのにーー目前に見えているのにこんなにも遠いとは思わなかった。ふとベルティーユは気付いてしまった。腕を掴んでいるシーラの手が震えている事を。
『見つかったら確実に殺されるわ、私が』
『貴女は殺されないから安心して?ーーもし仮に見張りに見つかって私が殺される様な事があっても、貴女を全然恨んだりしないから』
そうだ……もし捕まりでもしたら彼女は殺されてしまう。それなら私がーー。
「ダメッ‼︎ 何の為に私が、命懸けで助け出したと思ってるのよ‼︎」
一瞬駆ける脚を遅めたが、それに気付いたシーラがベルティーユの腕を掴む手に更に力を込めた。
「ですがこのままでは……」
「私の頑張りを無駄にしないでっ、お願い……」
「シーラ……シーラッ⁉︎」
「っ‼︎」
そうこうしている内に何時の間にか兵士の一人が背後まで迫って来ていた。すると彼女はベルティーユの身体を力の限り前へと押し出した。
「シーラッ‼︎」
「ベルティーユ様、私……貴女に会えて、良かった……行って‼︎ 行ってッー‼︎‼︎」
シーラは踵を返すと向かって来た兵士に全体重をかけ体当たりをした。そして次の瞬間、後ろから来た別の兵士に……斬られた。
「シーラっ‼︎‼︎」
走らなくてはと頭では分かっている。でも、でもっーー。
それは数秒の出来事だったが、ベルティーユには酷く長くゆっくりと彼女の身体が地べたに倒れた様に見えた。血飛沫が散り砂煙が舞い上がり彼女の身体に纏わり付き、汚した。
ダメ、彼女を見捨てて、これ以上走れないーー。
背後に兵士等が迫り来る中、ベルティーユの脚は止まり掛けたが……。
「え……」
「ベルティーユ」
フワリと身体が浮いた。気付いた時には彼の肩に担がれていた。
時同じくして古城の門が開き、数人の騎士団員等が現れ兵士等へと攻撃を開始する。そして瞬く間に兵士等を一掃した。
「っ‼︎」
ゆっくりと下ろして貰ったベルティーユはシーラの元へと急ぐが、此方へと近付いて来る人影に思わず脚が止まる。
「ロラン、様……」
彼はシーラの前に蹲み込むと顔を覗き込み頭を撫でた。そして彼女の身体を抱き上げる。
「シーラっ……」
「彼女は、俺が連れて行く」
感情が抜け落ちた顔のロランは踵を返し去って行く。反射的に後を追いかけ様としたが、彼に腕を掴まれ制止させられる。振り返り彼を見上げたベルティーユの口からは悲鳴に似た声が洩れた。
「レアンドル様ッ、私っ……」
ベルティーユの意識はそこで途切れ、力なく崩れ落ちた。
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