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1話
しおりを挟む伯爵家のオリヴィア・エバンスは『聖女』の代理をしてきた。
理由は本物の聖女であるセレナ・デブリーズ公爵令嬢が聖女の仕事を面倒臭がったためだ。
本物と言っても、家の権力をたてにして無理やり押し通した聖女だが。
無理やりセレナが押し込まれる前は、本来なら私が聖女に選ばれるはずだった。
そういうこともあって、私が聖女の代理として選ばれた。
私としてはいい迷惑だ。
しかもセレナは最初は公務などにはきちんと出ていたが、次第に私に全て任せるようになった。
幸い、私とセレナはそこそこ似ていたので、聖女のベールを被ってしまえば顔はあまり確認できず、バレる心配は無かった。
こうしてセレナは名誉と富だけを取り、私には働かさせて自分は毎晩パーティーへ出席していた。
◯
「あー、あんた、もうクビにするから」
「え?」
セレナは私に突然クビを言い渡した。
「それと教会から追放するわ。理由はもう分かってるでしょ?」
「いえ、全くわかりませんけど……」
「私に成り代わって聖女になろうとしたでしょ?」
「いえ、してないんですけど……」
セレナの荒唐無稽な冤罪に私は困惑する。
セレナはそんな私を見てけらけらと笑った。
「馬鹿ねぇ。理由なんてどうでもいいのよ。私がそういう気分だからそうするのよ。私の偽物で伯爵家のあんたは大人しく聞いとけばいいの」
なるほど、全部思いつきなのか。
「あんた最近ウザかったのよねー。給料上げてくれ、とか。公務くらいは自分で出てくれ、とか。何様のつもりなの?」
全部正当な主張だと思うのだが。
聖女の代役の私の給料は雀の涙程度で、大人一人生活出来ない程に少ないし、公務はセレナが出ないとバレてしまう可能性がある。
「だからクビね。教会からも破門するから、二度と入ってこないでね。じゃあねー」
セレナは私を追い払うような手つきをする。
私は深くため息をついた。
(本当に馬鹿ねこの女は。代役の私がいないと何も出来ないのに……)
まぁいい。私がいないくてセレナが困るなら願ってもないことだ。
私は大人しくクビを受け入れた。
私は一礼して部屋を出ていく。
「わかりました」
後ろから馬鹿にしたような笑い声が聞こえた。
「あはは! 本当に無様ね! ここまで頑張って成果も何もかも奪われるなんて! けど伯爵家のあんたは何の仕返しも出来ないのよ!」
セレナが私を馬鹿にしている。
しかし私は特に気にすることなく部屋出た。
後悔するのはどちらか知っていたからだ。
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