3 / 5
3話
しおりを挟む「何よこれ……!」
私は憤慨していた。
私は今、聖女としての仕事の一つである、聖水を作る仕事をしている。
しかしこの内容がとても酷かったのだ。
ただ金属の器に入れられた水に手をつけて魔力を注ぎ続けるだけ。
しかも両手をつけるので、そんなことをしていたら他に何も出来ない。
加えて座ることも出来ないので、三時間以上経過した今、私は魔力にも足にも限界が来ていた。
「あーもう! やってらんない!」
私は投げ出した。
こんな地味な仕事をやれる筈がない。
そもそも、こんなのそこらの聖女がやればいい話じゃないか。
そこらを通りかかった修道女に命令する。
「ねぇそこのあんた。聖水作っておきなさい!」
「え?」
「面倒くさいからこんなことやってられないわ! 雑用はあんたの仕事なんだから、やっておきなさいよ!」
「いえ……それは出来ません」
「は? 私に逆らうの?」
「違います。聖水を作るのは聖女にしか許されていないんです。ですから修道女の私では……」
「チッ! 使えないわね!」
私は舌打ちをして聖水作りをやめた。
修道女が慌てて私を引き止める。
「お待ちください! どこへ行かれるんですか」
「飽きたからやめるわ」
「そんな! 聖水は医療の現場でも使われています! それが供給出来ないと──」
「うるさい!」
私は修道女の頬を思いっきりひっぱたいた。
「公爵令嬢の私に口答えするんしゃないわよ! 私が命令すればあんたはすぐに処刑出来るんだからね!」
「す、すみません!」
修道女は必死に頭を下げて謝る。
私はその姿を見て優越感に浸った。
結局教会の者といえど権力には跪くのだ。
「あー、いい気分だわ。帰ろっと」
頭を下げさせていい気分になったので、私は家に帰ることにした。
今日は頑張って疲れたし、また明日頑張ろう。
馬車に乗って私は家に帰る。
そして家につくと、お父様に部屋まで来るように呼ばれた。
(お父様が呼んでる? なんで……?)
疑問に思いながらも私はお父様の部屋へと向かう。
扉を開けると、そこには厳しい表情のお父様が椅子に座っていた。
「お父様、何でしょうか」
「お前、代理の聖女をクビにしたとは本当か?」
クビにしたか? 何故そんなことを聞くのだ。
私は不思議だったが答えた。
「はい、クビにしました。口答えして面倒だったよで」
その言葉を聞いた瞬間、お父様が激怒した。
「このバカ者が! なんてことをしてくれたんだ!」
147
あなたにおすすめの小説
王子が元聖女と離縁したら城が傾いた。
七辻ゆゆ
ファンタジー
王子は庶民の聖女と結婚してやったが、関係はいつまで経っても清いまま。何度寝室に入り込もうとしても、強力な結界に阻まれた。
妻の務めを果たさない彼女にもはや我慢も限界。王子は愛する人を妻に差し替えるべく、元聖女の妻に離縁を言い渡した。
芋くさ聖女は捨てられた先で冷徹公爵に拾われました ~後になって私の力に気付いたってもう遅い! 私は新しい居場所を見つけました~
日之影ソラ
ファンタジー
アルカンティア王国の聖女として務めを果たしてたヘスティアは、突然国王から追放勧告を受けてしまう。ヘスティアの言葉は国王には届かず、王女が新しい聖女となってしまったことで用済みとされてしまった。
田舎生まれで地位や権力に関わらず平等に力を振るう彼女を快く思っておらず、民衆からの支持がこれ以上増える前に追い出してしまいたかったようだ。
成すすべなく追い出されることになったヘスティアは、荷物をまとめて大聖堂を出ようとする。そこへ現れたのは、冷徹で有名な公爵様だった。
「行くところがないならうちにこないか? 君の力が必要なんだ」
彼の一声に頷き、冷徹公爵の領地へ赴くことに。どんなことをされるのかと内心緊張していたが、実際に話してみると優しい人で……
一方王都では、真の聖女であるヘスティアがいなくなったことで、少しずつ歯車がズレ始めていた。
国王や王女は気づいていない。
自分たちが失った者の大きさと、手に入れてしまった力の正体に。
小説家になろうでも短編として投稿してます。
【完結】聖女の私を処刑できると思いました?ふふ、残念でした♪
鈴菜
恋愛
あらゆる傷と病を癒やし、呪いを祓う能力を持つリュミエラは聖女として崇められ、来年の春には第一王子と結婚する筈だった。
「偽聖女リュミエラ、お前を処刑する!」
だが、そんな未来は突然崩壊する。王子が真実の愛に目覚め、リュミエラは聖女の力を失い、代わりに妹が真の聖女として現れたのだ。
濡れ衣を着せられ、あれよあれよと処刑台に立たされたリュミエラは絶対絶命かに思われたが…
「残念でした♪処刑なんてされてあげません。」
聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。
「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」
と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。
【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!
隣のカキ
ファンタジー
私は魔法が使える。そのせいで故郷の村では魔女と迫害され、悲しい思いをたくさんした。でも、村を出てからは聖女となり活躍しています。私の唯一の味方であったお母さん。またすぐに会いに行きますからね。あと村人、テメぇらはブッ叩く。
※三章からバトル多めです。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。
孤島送りになった聖女は、新生活を楽しみます
天宮有
恋愛
聖女の私ミレッサは、アールド国を聖女の力で平和にしていた。
それなのに国王は、平和なのは私が人々を生贄に力をつけているからと罪を捏造する。
公爵令嬢リノスを新しい聖女にしたいようで、私は孤島送りとなってしまう。
島から出られない呪いを受けてから、転移魔法で私は孤島に飛ばさていた。
その後――孤島で新しい生活を楽しんでいると、アールド国の惨状を知る。
私の罪が捏造だと判明して国王は苦しんでいるようだけど、戻る気はなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる