冤罪をかけて申し訳ないって……謝罪で済む問題だと思ってます？

10話

「そ、そんなぁ……」

　デイビットの表情はとうとう絶望に染まる。
　もやら打つ手が無いことを悟ったからだ。

「こいつを連れて行け」

　国王はもう用はない、とデイビットを連れて行くように近くの使用人へと指示した。
　デイビットは力なく連れて行かれる。

◯

　そして、今回の事件は全て終わった。
　デイビットは公爵家により引き取られ、牢屋に繋がれて日々を希望なく生き続けている。
　また、イザベルも同様だった。

　初めはイザベルは処刑する、という案が出たのだが、結局はデイビットと同じ目に合わせた方がいいのではないか、という話になったからだ。

　イザベルはデイビットの隣の牢屋に繋がれている。

　デイビットを利用し、成り上がろうとしたイザベルは今やどうしようもない牢屋の中でただ天井を見上げているらしい。

　シエスタは学園へと復帰した。

　冤罪は解消され、シエスタの名誉は回復したが、孤立状態のままだった。

　皆、誰一人としてシエスタを信じることなくあっさりと手のひらを返したのだから当然だ。

　今回シエスタへと石を投げたものたちは、後に公爵家によって経済制裁、という名目でしっかりと復讐が果たされることになる。

　ただ、逆にシエスタと上辺だけで繋がっていた友人を一掃することが出来たので、それは良かった点だった。

　シエスタ自身もこの事件から人間関係の大切さを見つめ直し、少数の信頼できる人物だけをそばに置くようになった。