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第四章
約束が果たされた日 ※
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髪の中から顔を上げると、お兄様は切ない眼差しを向けてきた。
視線を交わし合っていると、今までの色んな思い出が――辛かった事や悲しかった事が、次々と溢れ出してきて、胸の中がいっぱいになる。
前世を思い出して不安でたまらなかった時、生まれて初めて愛情を伝えられ、とてもとても嬉しかった事。
神殿に入っていく私を見送る、切なく寂しそうなその姿と、離れていた長い年月の辛い記憶。
四年ぶりにやっと再会した時に、魂の抜けた私に向かって吐露された、絶望的なまでに深い愛情の言葉。
今までは、どんなに傍にいても結ばれる運命には遠くて、お兄様には決して手が届かないみたいで……。
心もすれ違い、悲しくて、泣いて、諦めて、いっそ消えたいと思った事もあった。
だけど、全ては、すでに過ぎ去った過去の事。
そうだ、私達はもう二度と離れなくていいんだ。
色んな苦難や障害を乗り越えて――今初めて、本当の意味で私はお兄様に辿りつけた。
ううん、そうじゃない。エルファンス兄様が努力して私の元までやって来てくれたんだ。
こんな遠くまで、信じられない速さで、ただ私の傍にいてくれるためだけに……。
そうだ、二人で居られるなら、昼間とか夜とか、場所も時間も関係ない。
そこがお城でも宿屋でも道端でも、どんなところでも。
一緒にいられるその場所が、二人だけの世界、楽園なんだ。
そう思って、感動しながら涙をこぼしお兄様の顔を見ていると、上からくるむように大きな手が私の手を握りこんできた。
これから始まる愛の行為の合図のように――
私は正直、死ぬほど緊張して怖かったけれど、その温かさを信じて、何よりもう二度と離れないよう。
一刻も早く二人の絆をこの身体に楔のように打ちつけたくて、自分の全てをエルファンス兄様に委ねる事にした。
私の唇にもう一度キスしてから、エルファンス兄様はいったん身を起こし、先に自分の衣服をすべて脱ぎ捨てた。
今までの私なら羞恥心から、思わず目を反らしてしまっただろう。
だけど現在の高揚した気分の私は、薄闇の中、むしろ瞳をこらしてお兄様の肉体を眺める。
うっとりとその彫刻のように均整の取れた美しさに見惚れていると、さっと上から手が伸びてきて、私の着ているローブを掴んで頭から一気に引き抜いてきた。
さらに性急な手付きで下着も剥ぎ取ったエルファンス兄様は、熱っぽい瞳で私の全身を見下しながら溜め息を漏らす。
「……フィー、お前はまるで美の女神のようだ……」
「……エルファンス兄様……」
「離れている間、毎日、ずっとこの白い肌を夢に見てきた……」
熱に浮かされたようにお兄様は呟き、待ちきれないように私の上にかぶさってくる。
「あっ……!」
と、いきなり首筋を甘く噛まれて、私はぞくぞくとした感覚に思わず身奮いする。
「愛している、フィー。どれほど長くこの日を待ち望んだことか……!」
エルファンス兄様は興奮したように叫ぶと、まるで長年の飢えを満たすかのように私の胸元に貪りついてきた。
「ひやっ……!?」
そして私はそのまま嵐のようなお兄様の甘い責め苦の波にのまれてゆき、純潔を散らされる激痛と、ようやく完全にお兄様の物になれた喜びを同時に味わった。
――そう、私とお兄様はその日、ついに肉体的にも結ばれた――
夕方になり、夜になり、夜中になっても、私はエルファンス兄様の腕の中にいて、ひたすら身体を重ね続けていた。
終わりがないような長い長い夜だった……。
視線を交わし合っていると、今までの色んな思い出が――辛かった事や悲しかった事が、次々と溢れ出してきて、胸の中がいっぱいになる。
前世を思い出して不安でたまらなかった時、生まれて初めて愛情を伝えられ、とてもとても嬉しかった事。
神殿に入っていく私を見送る、切なく寂しそうなその姿と、離れていた長い年月の辛い記憶。
四年ぶりにやっと再会した時に、魂の抜けた私に向かって吐露された、絶望的なまでに深い愛情の言葉。
今までは、どんなに傍にいても結ばれる運命には遠くて、お兄様には決して手が届かないみたいで……。
心もすれ違い、悲しくて、泣いて、諦めて、いっそ消えたいと思った事もあった。
だけど、全ては、すでに過ぎ去った過去の事。
そうだ、私達はもう二度と離れなくていいんだ。
色んな苦難や障害を乗り越えて――今初めて、本当の意味で私はお兄様に辿りつけた。
ううん、そうじゃない。エルファンス兄様が努力して私の元までやって来てくれたんだ。
こんな遠くまで、信じられない速さで、ただ私の傍にいてくれるためだけに……。
そうだ、二人で居られるなら、昼間とか夜とか、場所も時間も関係ない。
そこがお城でも宿屋でも道端でも、どんなところでも。
一緒にいられるその場所が、二人だけの世界、楽園なんだ。
そう思って、感動しながら涙をこぼしお兄様の顔を見ていると、上からくるむように大きな手が私の手を握りこんできた。
これから始まる愛の行為の合図のように――
私は正直、死ぬほど緊張して怖かったけれど、その温かさを信じて、何よりもう二度と離れないよう。
一刻も早く二人の絆をこの身体に楔のように打ちつけたくて、自分の全てをエルファンス兄様に委ねる事にした。
私の唇にもう一度キスしてから、エルファンス兄様はいったん身を起こし、先に自分の衣服をすべて脱ぎ捨てた。
今までの私なら羞恥心から、思わず目を反らしてしまっただろう。
だけど現在の高揚した気分の私は、薄闇の中、むしろ瞳をこらしてお兄様の肉体を眺める。
うっとりとその彫刻のように均整の取れた美しさに見惚れていると、さっと上から手が伸びてきて、私の着ているローブを掴んで頭から一気に引き抜いてきた。
さらに性急な手付きで下着も剥ぎ取ったエルファンス兄様は、熱っぽい瞳で私の全身を見下しながら溜め息を漏らす。
「……フィー、お前はまるで美の女神のようだ……」
「……エルファンス兄様……」
「離れている間、毎日、ずっとこの白い肌を夢に見てきた……」
熱に浮かされたようにお兄様は呟き、待ちきれないように私の上にかぶさってくる。
「あっ……!」
と、いきなり首筋を甘く噛まれて、私はぞくぞくとした感覚に思わず身奮いする。
「愛している、フィー。どれほど長くこの日を待ち望んだことか……!」
エルファンス兄様は興奮したように叫ぶと、まるで長年の飢えを満たすかのように私の胸元に貪りついてきた。
「ひやっ……!?」
そして私はそのまま嵐のようなお兄様の甘い責め苦の波にのまれてゆき、純潔を散らされる激痛と、ようやく完全にお兄様の物になれた喜びを同時に味わった。
――そう、私とお兄様はその日、ついに肉体的にも結ばれた――
夕方になり、夜になり、夜中になっても、私はエルファンス兄様の腕の中にいて、ひたすら身体を重ね続けていた。
終わりがないような長い長い夜だった……。
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