喪女がビッチな悪役令嬢になるとか、無理ゲー過ぎる!

黒塔真実

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第五章

コーデリア姫の行動の謎

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「どうして、コーデリア姫はラファエルについていったのかしら?」

 あんなにラファエルのことを恐れて避けたがっていたのに、呼ばれたからと言ってあっさりついていくなんておかしい。

「それが、最初は、断わっていたのですが、ラファエル殿下がコーデリア姫に何かを耳打ちしたとたん、さっと顔色が変わって、一緒に出て行かれてしまったんです。
 一緒にエリーもついていきましたし、キルアスさんとクラウスもすぐに後を追ったので、大丈夫だとは思いますが……」

 ロミーが顔を曇らせて説明していると、ロイズの宮廷魔術士アーマイノイドがあわただしく走ってきて、コーデリア姫を発見した旨を告げた。


 アーマノイドに案内されて城の中庭に出ると、エリーとクラウス、キルアスの後ろ姿の向こう側に、ラファエルと並んでベンチに座るコーデリア姫が見えた。

 ひとますわ姫の無事な様子にほっとして、キルアスに声をかけ、状況の確認をする。

「見ての通りだよ。ずっとああして長い間、二人で会話しているんだ。
 邪魔しないで欲しいということだから、俺達はこうして見守っているところなんだ」

 見ているうちにコーデリア姫も私達に気づいたようで、視線を送りながらラフェエルに話しかけた。
 それから二人で立ち上がると、あろうことかそのまま手を取り合ってこちらへ向かって歩いてきた。

 まさに世界が引っくり返ったような光景だった。

 戸惑っている間に目の前までやってきたコーデリア姫が、煌めく金色の巻き毛を揺らしながらにっこりと微笑む。

「カーク、丁度良かったわ。あなたに大切な話があるの」

「俺に話?」

 緊張の滲んだ声でカークが問い返す。
 コーデリア姫は隣のラファエルの顔を少し見上げて目くばせしてから、カークに視線を戻し、きっぱりと告げる。

「実は、あなたとの婚約を解消したいの」

「――え?」

 金色の瞳を大きく見張り、カークは心底驚いたような顔をした。

「あなたも私との婚約は不本意だったばずよ。
 私も婚約後のあなたの目に余るような言動に、ここに来てとうとう愛想が尽きたわ。
 だから先日言った通り、他の男性に目を向けることにしたの。
 さし当たってはこのラファエルとお付き合いしようと思っているわ」

 まさに耳を疑うような言葉だった。
 よりによってラファエルとお付き合い……!?

 カークとの婚約破棄は予定していたけど、次の攻略対象がラファエルだなんて有りえない。
 コーデリア姫は一体どうしちゃったの!?
 もしかして洗脳的な魔術でもかけられてしまったとか?

「ずいぶん勝手な女だな!」

 カークは不愉快そうに鼻に皺を寄せ、たてがみのような赤い髪を両手で掻きむしった。
 姫の隣に立つラファエルが神秘的な瞳を細めて皮肉気に言う。

「勝手なのは君だろう? カーク。
 コーディーに対して今まで、かなり冷たい態度を取っていたそうじゃないか?」

「――!?」

「そのことはもういいのよ、ラファエル。
 あとの説明は私一人でしたいから、あなたはもう行ってちょうだい……」

「分かった。ではまた後で会おう」

 ラファエルは柔らかく微笑むと、コーデリア姫の髪に軽く触れてから、緑がかった金髪を靡かせ、風のように去っていった。

 親密そうな二人のやり取りに、私はぽかんと口を開けていた。

 ラファエルの背を見送ったあと、コーデリア姫は腕組みしながら、改めてカークに向き直った。

「カーク、他にも何か言いたいことや聞きたいことがある?」

「……いいや――もう充分だっ!」

 カークは怒りもあらわに吐き捨て、大股でドカドカと歩いてどこかへと消えて行った。

 コーデリア姫はまっ青な瞳をこちらに向ける。

「エル。少し、フィーと二人で話してもいいかしら?」

「見えるところで話すぶんには構わない」

 エルファンス兄様の同意を得ると、

「分かったわ、フィー、向こうのベンチに行きましょう」

 コーデリア姫に手を引かれて、先ほどまでラファエルと並んで座っていたベンチへ移動する。
 促されるままに腰を下ろし、コーデリア姫の顔を呆然と見返した。

「すっかり驚かせてしまったみたいね」

「だって……ラファエルと付き合うだなんて、一体どうしてそんな話になったの?」

 うろたえるあまり、つい責めるような口調になってしまう。

「……まったくだわ。 私もほんのさっきまで、こんなことになるとは夢にも思っていなかったのよ」

「どういうこと?」

 コーデリア姫はどこか達観しているような表情で語りだした。

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