ひまわりの涙

ゆうぜん

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オーニソガラム

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俺はここで何をやっているんだろう。ふと、そう思った。体育館の2階脇から俺に光が当たる。途端、目の前の観客はステージに立つ俺の方に顔を向ける。
頼まれて出た劇で、自分が上手く演じられているかも分からない。
……それなのに。
俺の目からは涙が流れていた。
「俺は諦めない。彼女を救うためならどんなことだってやってみせる!!
俺は……こんな世界でやっと守りたい奴が出来たんだ!だから……お前を絶対にここで倒さなきゃいけない」
倒れた相手にまたがり、剣を突き刺す。
「ぐは…!」
涙は依然流れ続け、俺は下を向きながらふらふらと立ち上がる。
大きく息を吸い、目を見開く。
「うおおおおおお!!!!」
息の続く限り咆哮ほうこうをする。声は全体に響き渡り、見ていた観客はステージに釘付けになる。

そうして、幕は閉じた。




幕が閉じてもなお聞こえる拍手に少し口が緩む。
息を整え、涙を乱暴に拭く。
「お前やっぱ演劇部入ろうぜ。演技上手いのにもったいないぜ」
足元で倒れていた先輩がむくむくと起き上がり言った。
「…ありがとうございます」
「二人共、お疲れ様!特に古海ふるみ君!君のお陰で劇は大成功だよ!こんなにお客さんを盛り上げてくれるんだ。ぜひ!入部して欲しいな!」
脇から部長と他の演劇部員が出てくる。
初めてやったにしては上手くいった方だと思うし、俺自身も何かやり遂げた感覚があった。だから、
「まだまだ分からないことばかりですけど、俺で良ければお願いします」
「ありがとう!また頑張ろうね」
「……はい」
喜んでくれる人がいて、自分の演技を見てくれる人がいる。頼まれて出た演劇部の劇だったけど、結構面白い。
それに………俺のもここならなんとかなりそうだ。
「ただ今を持ちまして、学校説明会を終わりたいと思います。生徒は速やかに教室に戻って下さい」
放送と共に俺達も舞台裏へ行く。 
ステージの照明が消え、そこにあったピンと張り詰めた空気はもうなかった。舞台を作っていた観客の視線、照明、演者。すべてがなくなったそこは、まるで時が止まったように静かで、俺は少し寂しくなった。
こうして、俺の初舞台は幕を閉じた。





初舞台から数日後、その反響は学校中に広まっていた。
元々演劇部の劇は注目度が高く、俺も学校説明会で始めて見たときは感動したぐらいだ。部員の演技が上手いのはもちろん、小道具から照明、脚本までもが見てる人を圧倒する。それなのに大会に出たことがないというのが実にもったいない。この学校だけで見れる唯一の演劇部なのだ。だから劇に出てくれと言われたとき俺は正直不安だった。自分が圧倒されたあのステージに立って欲しいと言われるなんて…
だが、いざ稽古を始めると、あの演劇の凄さが分かった。みんなが生き生きしていて、劇の成功よりも楽しむことを大事にしている。その姿勢に俺は改めて圧倒された。
あの後演劇部の集まりがあり、そこで初めて俺は部員になった。
他の部活と比べて俺を含めて13人と少人数なのが驚きだ。俺のことを優しく受け入れてくれた先輩方には感謝しかない。これから頑張らないと。
俺は逸る気持ちを抑え誰もいない廊下を進む。校舎の3階。一番奥の会議室が演劇部の部室となっている。扉を開け挨拶をする。まだ全員揃っていないのか、部長とその他数えられるくらいしか来ていない。俺はそのまま扉に近い席に鞄を置き、椅子に座る。部長が俺のところへ来て1枚の紙を机に置いた。
「この前は本当にありがとう。お陰で劇を楽しく終えられたわ。こうして古海君が部員として入ってきてくれたこと、誘ってくれた預本あずもと君には感謝しないとね。……それはそれとして。劇が終わってすぐで悪いけど、古海君にも手伝って欲しいことがあるの」
「手伝ってほしいこと…?」
「うん。私達は劇が終わればすぐに次のことを考えるんだけど、今、文化祭でやる劇の脚本をどうするか悩んでいるの。いつもは脚本を書いてくれる子がいるからその子に頼んでるんだけど、今回その子が腕を骨折して脚本が書けなくなってしまったの。だから良い題材を探すのを手伝ってほしいんだけど、良いかな?」
「大丈夫ですよ。俺も少しでも役に立ちたいです」
「ありがとう!それで、詳しいことはこの紙に書いてあるから、読んでね。分からないことがあればなんでも聞いて」
「分かりました」
俺は紙を見ながら考える。
劇の時間は約1時間。この前の劇より長いな。その中で出来るぐらいの話か。ファンタジーや歴史物、ジャンルは問わない。ただし表現が難しいものは避けること。これは探すのが大変そうだな…
俺は部長の顔を見て、
「すみません、家で調べてみてもいいですか?」
「大丈夫だよ。期間はそこに書いてある通り7月25日まで。1週間ぐらいしかないけど、良い作品を期待してるよ」
「はい。頑張ります」
俺はプリントを鞄に入れ、席を立つ。
会議室を後にし、階段を降りる。ゆっくりと歩きながら俺は台本について考える。
初めてステージに立った時は、国同士が争いその中で主人公が戦いに巻き込まれていく話だった。あれは確かに面白かった。演じている自分も観客の目線もいつの間にか劇の中に飲み込まれていた。演じる側が作品に気持ちを乗せやすく、かつ見てくれる人が分かりやすい題材となるとかなり選ぶのが大変そうだ。俺が知ってる話はどれも教科書に載ってるものばかりで正直役に立ちそうにない。今から読んで見つけるしかなさそうだ。
下駄箱で靴を履いていると、先生が名前を呼びながら俺の方へと走ってきた。
「いやぁ、良かった。もう帰ったかと思った…」
「どうしたんですか?俺に何か…」
「そうそう!これをコイツに渡して欲しいんだ。クラスの誰も行ってくれる人がいなくてな。お前だったら頼めるかと思って。住所は紙に書いてあるから。んじゃ、頼んだぞ!」
「え、ちょ…!」
よほど忙しいのか用件だけ伝えてそそくさと行ってしまった。残された俺は渡されたファイルを見た。そこには課題やプリントが入っていた。一体誰に渡せば…
俺は言われた通りに紙を見つけ、目を通す。
"塔坂 葵とうさか あおい。俺と同じクラスであまり学校に来ていない。来たかと思えばすぐ帰ってしまう。友達といる所は見たことがない。いつも一人だ。話しかけても喋らないのだと誰かが言っていたのを思い出す。そんな奴に俺がこれを渡しに行くのか…いや、渡されたから行くしかないのだけれど。
俺はファイルを鞄にしまい、自転車に乗る。それよりも前に俺は台本をどうにかしないと。台本が決まってからでも渡すのは遅くないはずだ。思い切りペダルを漕ぎ、家路を急ぐ。



部屋の明かりをつけ、パソコンを開く。部長にもらった紙を横目にパスワードを打つ。
やりたいことが見つかって俺は心が弾んでいた。誰かの役に立って、褒められて、それが嬉しい。初めて演劇をやって、あの時から次は何ができるんだろうとずっと考えていた。劇の楽しさを知り、気持ちは目の前の事だけでいっぱいだった。読み込み中の画面から目を逸らし、俺は少しぐらい役に立つだろうと思いこの前やった劇の台本を手に取る。

劇の主役を演じるはずだった俺の友達、預本 空あずもと そらが本番2週間前に風邪を引き、声が思うように出せなくなってしまった。俺が出る劇の代わりをやってくれとしつこく頼まれたのが始まりだった。頼まれたら断れない俺の性格を知っていてそんな事を言ったのか分からないが、俺は渋々引き受けた。劇なんて幼稚園ぶりで、どうやれば分からずにいた時、教えてくれたのが部長の大佳 沙入おおか さいり先輩と、副部長の瀬川 友也せがわ ともや先輩だ。今回、瀬川先輩が主人公の敵ということで特に先輩から教わることが多かった。練習でも感じたが、瀬川先輩は役に入るとスイッチが入ったように表情が一瞬で変わる。自分の役を本気で演じる姿に俺は必死についていこうと、預本にも教わりながらなんとか本番をやり抜いた。その感覚を思い出す。あれで満足していては今度の劇はきっと役に立たない。俺は自分に喝を入れ、マウスに手を置き、調べ始める。


小説を読まない俺は、適当に小説サイトを見ていた。ランキング上位の作品を読み、それが劇にできるか考える。それの繰り返しで、気付いた時にはまぶたが半分閉じていた。ふと時計を見ると、11時を回っていた。あと一つぐらい見てから終わりにしようとある作品をクリックする。あらすじからしてミステリーか。寝ぼけた頭を横に振り画面に集中する。

その小説は、1ページ読むごとに俺の頭を冴えさせた。短編ながら色々な展開が用意されており、最後には全てが繋がっていく。謎が謎を呼び、それを解決する探偵は展開ごとに様々な感情に揺さぶられる。ミステリーであり、感情の物語でもある。怒涛の展開と、探偵が必死に犯人の感情を探る姿に俺はいつのまにか涙を流していた。まさかこんな話に出会えるとは。もはや眠気は覚め、時間のことも忘れていた。そこでふと気づく。
"この人に台本を書いてもらえないだろうか。"そんな考えが頭をぎる。俺は乱暴に涙を拭き、文字を打つ。
この話は面白かった。でもこれを劇にするのは絶対に時間が足りない。この人が書く話を、俺は劇にしたい。きっとこれから書く話は俺の演じたい物の想像を遥かに超えてくれる。一つの話を読んだだけでこれだけ衝撃を受けたんだ。きっとこの人が台本を書けばあれ以上のものが出来る。俺はなぜかそう確信していた。
返事が来るかは分からないが俺は作者にメールを送った。さすがにここまで来て眠気が限界を迎えた。俺はそのまま力尽き、パソコンの電源が入ったまま寝てしまった。



ドアのノックの音で目が覚めた。キーボードの上に乗っていた腕を上げ、俺は時間を確認する。7時半を過ぎていた。この時間はとっくに家を出ている時間だ。俺は急いで身支度を始める。あれ、そういえばノックの音がしたのにそれ以来外からは音が聞こえない。不思議に思い静かにドアを開ける。そこには少し怒った顔の母さんが立っていた。
「この時間になっても降りてこないから何かと思えば…アラームかけ忘れたでしょ?それに…」
母さんは俺の頬を引っ張って、
「こんなところにキーボードの跡まで付けて。それじゃあ外に出たら恥ずかしいわ。さっさと顔洗ってきなさい」
俺は頰に手を当て急いで廊下を走る。階段を降り、そのまま洗面所に向かう。鏡で見るその顔は確かにくっきりと跡が付いていた。水で流しながら頬を何度も叩いたり引っ張ったりする。時間がないことを頭に入れ少々不格好でもこれで行くしかないと渋々諦める。リビングへと続く扉を開け、冷蔵庫から紙パックの牛乳を取り出す。それを飲みながら、ふとバッグを部屋に置き忘れたことに気づく。慌てて後ろを向くと、いつのまにか降りてきたのか、母さんがバッグの中身を整理していた。
「お弁当入れておくから。くれぐれも慌てて弁当の中身をぐちゃぐちゃにしないでね」
「……ありがとっ!」
飲み終わった牛乳をゴミ箱に入れ、バッグを持ち、自転車の鍵を取る。玄関まで付いてきた母さんは慌てる俺に、
「今日も頑張ってね。気をつけるのよ」
と、優しくも少し寂しい笑みをこぼす。
それを見て俺はどこか悲しくなりながら満開の笑顔で手を振る。
「行ってきます」
扉が閉まるまでその顔を崩さない母さんに、俺は背を向け自転車にまたがる。携帯で時間を確認する。よし、まだ40分だ。ここから学校までは飛ばしたとしても20分かかるから、ギリギリになるな。ペダルを漕ぎ、日が照りつける道を走り出す。


「あっはっはっはっ!!なんだその顔は!」
息を切らし扉を開けると、預本の笑い声が教室だけでなく脳まで響いた。うるさいその声にうつむきながら俺は席に座る。間に合ったのは良いが、来るまでに汗をかき過ぎて少しバテていた。自転車で風はきても太陽の光だけはどうにもならない。俺は窓から顔を出しうなだれながら息を整える。
「おい、どうした。寝坊か?」
風邪でまだ本調子ではないその声は、教室の中でも目立っていた。やっぱり風邪を引いても声は響くんだな、と感心しながら俺はそのままの体勢で答える。
「あぁ。昨日台本に使えそうな話を探しててそのまま寝ちゃったんだ。アラームをかけ忘れたから朝から大変で……もう汗かきまくりだ…」
「それはご苦労だな。さぞ時間のなかったであろう璃人あきとくんにここで一つお知らせだ」
俺は目線だけを預本に向ける。
「今日、急遽部活をやると大佳先輩からメールがあった。急いでたお前は見ていないだろ?」
預本の言葉に、俺は携帯を取り出し確認する。本当だ。しかも、台本についての話だって?なにか変更点でもあるのだろうか。何にせよ今日は終業式だけやって帰りだから部活があっても大丈夫だ。
チャイムの音が鳴る。預本がひらひらと手を振り席に向かう。
「部活までにはその顔直せよ」
小さい声でそう言い、わかってるよと小声で返した。
そんなに直ってないか…後で鏡を見てこよう。汗が引いてきた体を教室に戻し、顎に手を乗せる。
教室の扉が開き、授業が始まる。



昼過ぎの放課後、俺たちはクーラーの入った会議室で大佳先輩の話を聞いていた。
「今日の朝、河野内こうのうち先生に電話があったらしい。それが、うちの演劇部の台本を書きたいという人からだったそうなの。先生は一旦考えてまた掛け直すと話したらしいのだけど、誰か心当たりはない?」
ザワザワと話し出す部員達。台本を書きたいだって?演劇部か顧問の先生しか知らない情報をなぜ赤の他人が知っているのだ?
……待て。俺はそこまで考えて一つ心当たりがあった。それは…
「先輩……たぶんそれ俺のせいだと思います」
大佳先輩は驚いた顔をし、俺の方を見る。
「古海君が?一体どうして?」
部員の目線が集まる中、俺は昨日あったことを話した。まさかこんなに早く返事がもらえるとは思わなかった。いや、まだ決まったわけではないけれど。でもかなりの確率でその人だ。
大佳先輩は俺の話を聞き、こう言った。
「なるほどね。古海君からの誘いを受けるということはつまり台本を書くということ。その人と会って話をしてみないとね。古海君。こうなったからにはあなたがその人に直接話を聞いてきて。先生から電話をかけ直してもらうから。いいわね?」
「はい。分かりました」
台本決めがこんなことになるなんて。俺は少し戸惑いながら、会議室を後にした。

河野内先生はその日の夕方、電話をかけてくれた。だが、あいにく電話はかからず、また明日掛け直すと言っていた。俺もメールで聞いてみよう。本当にあの人からの返事だったのか知りたいし。
璃人あきと。なにをぼーっとしてるの」
「え?」
納豆をかき混ぜながら母さんは俺のことをじっと見つめる。
「楽しいことは良いことだわ。璃人にもやりたいことが見つかって良かった。応援してるから」
優しい笑みが、俺の心をぎゅっと掴む。
心配させないようにと笑顔で言う。
「演劇部面白いよ。母さんにも見てほしい」
「……いつも、ありがとうね」
その言葉に俺は弱い。急いでご飯をかきこみ、茶碗を水につける。
「ごちそうさま!」
そう言い部屋へと駆け込む。その意味が分かるのか、母さんはそっと俺から目を逸らした。分かってる。分かってるんだ。この態度は母さんの前ではしてはいけない。でも、我慢できないんだ。
俺は自分の部屋のドアを閉め、そのままズルズルと座り込む。
母さんがありがとうと言う時は決まってあの表情をする。優しくて、でも寂しい笑顔。母さんの前では明るくいなくちゃいけないのに…
俺はとめどなく溢れる涙をどうすることもできず、ただ自分を責めた。



後日、あの小説を書いた作者からメールが届いた。
"この前は突然電話をしてごめんなさい。驚いたと思う。でも、どうしても台本を書いてほしい理由が気になったんだ。直接会える日に、また話をしたい。そうだな、今度の月曜日はどう?都合が悪ければ言ってくれて構わないから。返事を待っています"
文面を読み終えた俺はすぐさま返信をした。ちょうど夏休み入った俺は特にやることがなく、暇なので、むしろ日にちを決めてくれるのはありがたかった。思ったよりも早く返事が返ってきた。
"返事ありがとう。それじゃあ、深山みやま第一病院の前の公園で待ち合わせはどうかな?"
深山みやま第一病院?割と近いところを決めてきたな。なんだか不思議に思いながら、俺は返信をした。




その日は記録的な猛暑日で、外にいるだけで汗をかきそうなぐらいだった。待ち合わせの公園で俺は事前に聞いていた特徴の人を探す。麦わら帽子で、白いポロシャツを着ているというその男性は、すぐ分かった。炎天下の中、ひっそりと木陰で猫を触る彼に、俺は見覚えがあった。その人に近づき、俺は名前を言う。
「お前……もしかして…塔坂とうさかか?」
俺の声に驚いた猫は逃げ出し、彼はあっと声を漏らす。そのまま立ち上がり、俺を見る。
「こんにちは、古海君。あの小説の作者、塔坂 葵とうさか  あおいです」
白い肌、澄んだ青の瞳、華奢な体。初めてまじまじと見る彼は、この暑い日に溶けてなくなってしまいそうな儚さを感じた。
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