ひまわりの涙

ゆうぜん

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スノーフレーク

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「こんな所で立ち話してたら倒れるよ。そこにカフェがあるからあそこでゆっくり話そう」
そう言い塔坂は帽子に手をかけ日が当たる場所に足を踏み出す。
俺はその後ろをついて行く。
まさか、塔坂があの話を書いていたなんて思いもしなかった。てっきり年上の人かと思ってた。
カフェに入り涼しい風が体を包み込む。
「お好きな場所へどうぞ」
そう言われ塔坂は一番窓際の席に座った。俺はその向かいに座り、一息つく。
「せっかくだから古海君も何か頼もうよ。僕お昼食べてないんだよね。古海君は?」
「俺は食べてきた」
「そっか。……あ、このサンドイッチ美味しそう」
メニューを隅まで見る塔坂に、俺は若干緊張していた。同じクラスとはいえ話したこともないコイツと本当に台本の話なんて出来るのか?じっと見つめてたのがバレたのか、塔坂はメニューから少し目を覗かせ、
「古海君もサンドイッチ食べたい?」
「いや、いいよ…」
「そう」
塔坂は店員を呼びサンドイッチとメロンソーダを頼んだ。俺は何もいらないと言い外を見つめる。
「古海君。早速で悪いけど名前で呼んでいい?」
「別にいいけど……」
いたずらっぽく笑う塔坂に、俺は顔を引きつらせた。分からない。こいつ、何がしたいんだ?
「璃人。どうしてあの話を読んで僕に台本を書いてほしいなんて言ったんだ?」
急に真面目に話し始めた塔坂に、俺は水を少し飲み、
「あの話……すごい面白かったんだ。探偵が表す感情の仕草が伝わってきて、どんどんのめり込んでいった。俺、読み終わった後全ての謎が解けて、主人公が謎を解く理由が分かって。思わず感動で泣いちゃったんだ。それぐらい面白かったんだ。でもあれは登場人物も多いし1時間っていう決まりの中には入りきらない。でも、もし、この人が俺たちの劇の台本を書いたら一体どんなものを書くんだろうって思って……その、興味が湧いて…」
本人の前でこんな話をするのはなんだかむず痒くなる。塔坂は黙って聞いていたが、少し考え口を開いた。
「そんな感想璃人が初めてだよ。ありがとう。……僕、璃人の話を聞いて思ったんだ。僕にも誰かの役に立つことが出来るんだって。学校もあんまり行けてないし……」
見るからに病弱そうな塔坂は、携帯を見ながら俺に言った。
「2時に定期検診があるからそれまで台本の話をしようか」
「定期検診…?どこか悪いのか?」
「んー、もともと体が弱くてね。この前も熱でずっと寝込んでたから。薬をもらいに行ったりとか」
「…大変だな」
俺はそんな塔坂を横目にジリジリと光が照りつける芝生を眺めていた。
「お待たせしました。サンドイッチとメロンソーダです」
机に置かれるそれらは塔坂が手に取り、なぜかメロンソーダを俺の前に置いた。
「璃人にあげる。何か食べながら話す方が楽しいよ」
そう言い、サンドイッチを頬張る。
「…ありがとう。あとでお金は払うから」
「いいよ。感想と会えたことのお礼だから」
そう聞き俺は少し遠慮気味に塔坂を見た。
どうぞと手ぶりをする。片手にサンドイッチを持ちながら、塔坂は話し始める。
「締め切りって確か25日だったよね?色々話したいからその日に学校に行っていいかな?それから話を考えたい」
「先輩に聞いてみるよ」
「ありがとう。台本は、約1時間の中でおさめなきゃいけないんだよね。こればかりは実際に書いて調整しないと」
「参考になるかと思って前やった台本を持ってきた」
俺は鞄から台本を取り出し塔坂に渡す。
「これ借りてても良い?25日に返すから」
「あぁ、大丈夫だ」
少し笑いながら塔坂は鞄に台本を入れる。
「んー、今決めなきゃいけないことってあんまりないね…」
2個目のサンドイッチを食べながら塔坂は俺に言う。
確かに。台本の話といってもほとんどメールで話してしまったし、会って話してもこれといって話すことはあまりない。
「ねぇ、璃人は前の劇で何の役をやってたの?」
興味津々に聞く塔坂に、俺はストローを口から離す。
「俺は友達の代わりに出ただけだ。そいつの役は主役だったから、俺はそれをやった」
「へぇ、璃人の演技見てみたいな」
「今度学校に行った時先生に聞いてみるよ。確か先生が撮っていてくれてたはずだから」
「それは楽しみだな!」
目を輝かせながら話を聞く塔坂は本当に楽しそうで、まるで今日初めて会ったとは思えないほど、俺もなぜかこの時間を楽しんでいた。勝手に大人しい奴だと思ってたけど、割と喋るやつなんだな。
俺は携帯で時間を確認する。そろそろ2時だ。
「いいのか?そろそろ時間だぞ」
「ん、もうそんな時間か」
塔坂は一欠片を口に運び水を飲む。
「今日はありがとう。話せて良かったよ」
「こっちもだ。なんか…楽しかったし」
驚いたように目を見開く。だがすぐさま笑顔に戻り、鞄から財布を出す。
「僕もだよ」
振り向きざまにそう言った。会計をする塔坂の後ろで俺は先に外に出た。扉を開けた瞬間蒸し暑い風が地面を吹き抜ける。扉の前で待っていると、塔坂が出てきた。
「これ、璃人にもあげるよ。コーヒーの無料券。2枚もらったんだ」
「あ、ありがとう」
差し出された券を受け取り、鞄のポケットに入れる。俺、コーヒー苦手なんだよな。そんなことを思いながら空を見た。
「やっぱり外は暑いや。璃人もバテないうちに帰りなよ。今日は本当にありがとう!」
帽子を被り駆け足で行ってしまった。
俺も早く帰って涼もう。
そうして塔坂との話し合いは終わった。




演劇部で集まる予定の25日。その日はあいにくの雨だった。俺は傘をさしながら学校に歩いて向かった。下駄箱で靴を履き替えていると、後ろから声がした。
「おはよう、璃人。部長さんにはちゃんと言ってくれた?」
傘をたたみながら塔坂は言った。
「あぁ。部長には塔坂のこと話してある。台本も塔坂が書くもので良いって」
「そっか。後でお礼言わないと」
俺達はそのまま無言で会議室へと向かった。塔坂はずっと止まない雨を見ては、時々俯いたりしていた。緊張でもしているのかと思い俺はそっとしておこうと声をかけずに歩いた。
会議室の扉を開け、部屋を見渡す。ほとんどの部員が揃っていた。俺は大佳先輩の元へ行き、塔坂を紹介する。
「先輩、連れてきました」
「ん、部長で3年の大佳 沙入です。これからよろしくね」
「2年2組の塔坂 葵です。こちらこそよろしくお願いします」
二人のやり取りをまじまじと見つめる部員達を横目に俺は一番後ろの席に座った。
やがて瀬川先輩も大佳先輩と塔坂のところへ行き、そのまま話し合いが始まった。
 最初に塔坂の紹介があった。みんな決めてきたであろう台本を投げてでも塔坂に書いてほしいと賛成してくれた。内心不安だったのでそう決まった時は安堵した。
塔坂はなるべく早く台本を書いてくると言った。その為にこの前やった劇を見せてほしいと、大佳先輩はその言葉に会議室のプロジェクターに電源を入れた。
そこからは劇の反省点やら改善点やらが話し合われた。塔坂はずっとその様子を見て、たまにメモをしたりしていた。俺はというと瀬川先輩の攻撃で疲れ果ててしまった。あの場面の切り出しが遅いやらセリフが先になってるとかダメ出しばかりが続いた。心に刺さって疲弊した俺に、瀬川先輩は最後俺のことを見て言った。
「お前、泣く演技上手いんだな」
その言葉に預本が立ち上がる。
「そうなんですよ!俺、代役を探してる時にラストのシーンが出来るやつが良いと思ってコイツに頼んだんです。あの場面、どうしても泣く演技が必要で、俺も苦労してたんですけど、コイツならできるかもって」
「大した自信だな。どうして古海が出来ると思ったんだ?」
預本は俺の方を見て、
「だって璃人は……すぐ泣くんです」
「………は?」
思わず間の抜けた声が出る。
その言い方はやめてくれ!!俺は預本を睨みつけた。
「いや、正確に言うと涙腺がめちゃくちゃ弱いんです。台本を渡した時も隣で泣きながら読んでましたし授業で映画を見ている時も一人でめっちゃ泣いてましたし。コイツなら本番でも泣けるんじゃないかと思いまして」
「なるほど……そういうことだったのね」
大佳先輩が納得したように頷く。そして俺を見て、
「古海君は感受性が豊かなのね。良いことだわ」
さっきもらったダメ出しよりもっと心にくる。涙もろいなんてこんな大勢の前で言われるなんて、恥ずかしいにも程がある。顔を真っ赤にして視線を預本に向ける。
「まあ、なんだ。あの時の古海の泣く演技は他の人からも反響があった。それぐらいお前の演技はすごかったってことだ」
瀬川先輩は真剣な眼差しで俺を見る。自然と会議室の中は拍手で埋め尽くされた。顔を赤くしながらそれでも嬉しいと思ってしまう。素直に喜びながら俺はふと塔坂を見た。一人だけ手に持ったメモ帳に視線を落とすその姿が不思議に思えて俺は自然と落ち着きを取り戻していった。
台本の構成が終わるまで俺達は今日話し合ったところを直すことにした。それぞれが家で練習をする事になり今日の部活は終わった。会議室から出て、鍵を掛ける。後ろで塔坂が俺を呼ぶ。話があるとその場に留まった。
いつのまにか止んだ雨がジメジメと重い空気を漂わせる。
窓から入る風が廊下を駆けて会議室の扉を震わせる。塔坂の言葉を待つ俺はそっと窓を閉めた。中に入った風は廊下をこもらせる。
ふと小さな声が聞こえた。それが塔坂の発した言葉だと気づき、体を正面に向ける。
「璃人。さっきの劇と預本君の言葉で一つ気になったことがあるんだ」
先程まで下を向いていたのがいつのまにか俺の方を見ていた。
「いや……さっきの話し合いでって言った方がいいのかな」
塔坂の言いたい事が分からず俺は眉をひそめる。
「璃人は僕の小説を読んで感動したって、涙を流したって言ったよね。その時は僕も嬉しかったんだ。でもさっき劇を見せてもらって、預本君の言葉を聞いて考えを改めた」
何故だかその言葉が俺の心にずしりと響く。
「君…………涙もろいんじゃないよね?感受性が豊かなのは本当だ。でも、涙は出たものじゃないよね?」
ヒヤリと背筋に汗が流れる。
「君の涙は、。悲しいと思ったり、他人に感情移入した時に。に勝手に出てしまう。違う?」
思わず口が緩む。こもった空気が体にまとわりつき、汗が止まらなくなる。
「涙もろいのは本当だ。直そうと思ってもどうすることもできない。だが、それが勝手に出るものだって?涙が勝手に出るなんて、涙がそんなに容易く出るわけないだろ」
何の言い訳をしているのだろう。どうしてそこまでにこだわるのだろう。答えは簡単だ。だって。
「図星なんでしょ?君は涙を流す事に
恐ろしく冷たい、鋭い声で塔坂は言った。
「それじゃあ…どうしてそう思ったのか聞かせろよ」
半分投げやりで言った。塔坂は先程のメモ帳に目をやり話し始めた。
「最初に違和感を覚えたのは僕の小説の感想を聞いた時だ。あの話に感動する場面なんかなかった。ただただ己の感情と犯人の動機に夢中な探偵の話だった。なのに君はあの話で涙を流した。それは何故だか?君はその犯人の感情を知っているから。感情が一つ無くなる喪失感を君は知っている。だから涙を流した。そう思ったのは今日劇を見たからもあるけど、それ以上に劇の君は分かりやすかった。あの時君は劇の主人公ではなく君自身が驚いていたからだ。涙が出ることに驚いた顔をしていた。その後は主人公に戻ったけど、そのシーンだけ、君は。僕の考えは合ってるかな?」
俯き、黙り続ける。やけに長い髪が表情を隠し、塔坂に見られないように必死に床を見る。そのまま魂が抜けたように弱々しい声で言った。
「どうして……分かったんだ?普通なら……涙もろいで通るだろ……お前自身も、探偵なんだな………」
悔しいような苦しいような表情が長い髪から垣間見える。
「そうだよ。俺は涙がに勝手に出るんだ。俺はそれをだと思ってる。悲しいとか感情移入した時に、そうしなきゃって思うんだ。思った時にはすでに泣いてるんだけど。他人に気づかれるとは思わなかった。すげぇ、驚いた……」
そう言う璃人は自身の胸ぐらを掴み必死に扇ぐ。汗が止まらない。湿った空気が余計に汗をかかせる。
「……そこで提案だ。璃人が癖だと言うそれを今度の劇で使いたい。君がどうして泣く事が癖になったのかは知らないけど、それは演劇にとって素晴らしい武器になると思う」
塔坂は俺の前まで来て行った。
「どうか、僕の台本に君を使わせてくれ」
頭を下げる塔坂に驚き、横を向いた顔はゆっくりとその姿を視界に入れていく。
「俺より、他の人を使えばいい。今日で分かっただろ、まだ入ったばかりの俺じゃあお前の満足のいく演技ができるか分からない。それに……」
頭を下げたままの塔坂を見て、
「俺は…お前の小説を形にできる自信がない」
目を伏せ下を向く。途端、頭に衝撃が走る。
何が起こったのか分からず頭を抑える。
「君は馬鹿か!?君が頼んだんだろう、僕に台本を書いてほしいと!それを僕は引き受けた。いいか、台本通りに動くのは君達じゃない。引き受けた僕が、君達の動きやすいようにするんだ。台本はただの答えが書いてある教科書じゃない。台本も小説も書いた人の魂が込められているんだ。ただ上手に演技しているだけでは、台本に失礼だ。いいか?璃人は台本の意図を読むんだ。僕は演者に分からない事は言わない。やりやすいように調整する。だから、璃人も僕に任せてくれ。台本を引き受けたからには君をあの劇よりもっと動きやすくする。それが僕にできる事だ」
塔坂の覚悟が迷っていた心に響いていく。癖がバレて、どうすればいいか分からなくなった。でも塔坂が台本を書いてくれる。こんな俺を使ってくれる。それが今の俺にはなによりも嬉しくて…
「ごめん……ありがとう……」
自然と涙が溢れる。これは癖なのか、それとも自分自身が流しているのか、分からない。こんな安心感は初めてだ。塔坂は俺の後ろの窓を開けて隣に立つ。まとわりついた空気が循環されていく。汗が、涙が乾いていく。隣でシャッター音がした。携帯を俺に向けてニヤリと笑う塔坂に、俺はさらに顔が赤くなる。
「なに撮ってんだ!!人の泣き顔撮るなんて性格悪いぞお前!早く消せ!」
携帯を後ろに隠し笑いながら廊下を走り回る。やがて階段を下りそのまま塔坂につられるように下駄箱へとたどり着く。息を吐きながら塔坂の鞄を掴む。
「後で……消せよ……」
「そんなに撮られるの嫌?」
「だって……恥ずかしいじゃんかよ」
ふふ、と口から笑いが溢れる。塔坂は携帯を制服のポケットに入れ、靴を履き替える。
「はぁ、面白い。璃人は弄りがいがあって良いね。最高だよ」
「うっせ」
諦めたように俺も靴を履き替える。すっかり晴れた空を見て思い出す。そうだ、塔坂に渡さないとな。
俺は塔坂を見て鞄からファイルを取り出す。
「これ先生から預かってた。渡すのが遅れてごめん」
ファイルを受け取り鞄に入れる。
「ありがとう。じゃ、また今度ね」
「あぁ。台本、期待してるぜ」
塔坂は笑いながら手を振った。それに俺も笑い、後ろを向く。お互い真逆の方へと歩き出す。
スタスタと歩くフリをして振り返る。制服に入れた携帯を取り出し、先程撮った写真を見る。
「璃人は綺麗な泣き顔をするよね……ほんと、ずるいや」
あの背中に何を背負っているのか分からないけど、話ぐらいはしてくれてもいいのにな。
少し寂しくなりながら、水たまりが残り、太陽が明るく照らす地面を歩き出す。
雲の隙間から見える太陽はまるで夏の始まりを告げるように、後光が射し、眩しく輝いていた。
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