ひまわりの涙

ゆうぜん

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スターチス

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じわじわと日差しが照りつけ地面からの熱で思わず立ち止まる。
「ほら、璃人!あと少しだから頑張って!」
階段を登り終えた母さんは遠くから俺を呼ぶ。手を挙げ俺は階段を登る。昨日休んだばかりなのにもう足が限界を迎えていた。
ずるずると体全体を押すように歩き、ようやく母さんに追いつく。
「暑過ぎる……」
その場にしゃがみ、持っていたバケツを置く。
「ほら、文句言ってないで璃人も手伝って」
「……はい」
重い体を立ち上がらせ母さんが持っていた線香に火を付ける。二人で分け、母さんが先に座る。
煙が空へと登り、澄んだ青に消えていく。丸く収まる背中を見て、少し寂しい気持ちが蘇る。ここは、そういう場所だ。
「何度来ても、慣れないわ…」
瞼を開け静かに言う。俺はその言葉に何も言わず場所を変わる。
手を合わせ目の前の墓に目を閉じる。心地よい風が音を立てて通り過ぎる。一緒に運ばれる線香の匂いを感じ、瞼に力が入る。
忘れてはいけない記憶と懐かしい匂いが瞼の裏に浮かび上がる。
この夏が何度来ても思い出させるその風景は今となっては二度と帰ってこなくて、心の隙間にそっと入ってくる。瞼を開け、目の前にある光景が現実なんだと知らせてくる。すっと立ち上がり、バケツを持つ。
「また来るね。お父さん」
そう言い儚い笑顔を見せる母さんの後ろをとぼとぼと歩く。遠くで聞こえるせみの鳴き声がやけにうるさく、俺は急いで階段を降りる。バケツを元の場所に戻し、車に乗る。窓を開け、車内に流れ込む外の風が空気を循環していく。
「さあて、お昼ご飯どこか食べに行こっか」
助手席に座る俺の顔を見て母さんは微笑む。
「俺、オムライスが食べたい」
「ふふ、お母さんも食べたい」
そう言い走り出す車から見える光景は、別れと共に土の匂いがした。



「久しぶり、元気してたー?」
軽いノリでやってきたのはずっと休んでいた塔坂だった。
月曜日。会議室の扉を開こうとした時だった。後ろから足音がし、部員かと思いそのまま扉を開きっぱなしにして入った。途端そんなことを言われたものだから驚いて変な声が出た。
「おわ…!?」
目を丸くして俺を見る塔坂は笑いながら、
「なんだよその反応!面白すぎるよ璃人!」
やがて腹まで抱えて笑い出した。つい恥ずかしさで俺は大きい声を出してしまった。
「笑いすぎだろ!?てか後ろから声をかけるな!びっくりするだろうが!」
ここが会議室で、しかも部員もいることに今更気付いた。後ろを見ると、もうほとんどの人が集まっており俺達のことをまじまじと見ていた。塔坂の笑い声と共に預本の笑い声も部屋に響く。
「ナイス塔坂!いやーあの声は可愛かったぞ、璃人!」
「おい!!何言ってんだ預本!」
そんなやり取りを止めるように大佳先輩は手を叩いた。
「ほら、部活始めるよ!二人とも早く座って!」
「はい…」
俺達は一番後ろの預本の所まで行き座った。
「それでは揃ったので部活を始めます。今日から塔坂君が復帰してくれたので台本の分からないところや修正は彼に聞いてください。塔坂君、劇の方進めてるから途中からだけどいい?」
「大丈夫です!後で璃人から聞くので!」
「おい!」
「ふふ、分かったわ。それじゃあ今日は15ページから!」
大佳先輩の声で一斉に動き出す。俺は鞄から急いで台本を出し、位置に着く。


昼休憩になり塔坂は忘れ物があると言い教室に向かった。そのままそこで弁当を食べることになった。俺は塔坂の後ろの席に座り、塔坂も椅子だけこちらに向けてパンを袋から出す。
「どうだった?塔坂が書いてくれた台本から汲み取れる物をなるべく生かしているつもりなんだけど」
「うん。良いと思う。やっぱり演じてもらうと良いね。話が伝わりやすい」
「そっか」
無言で食べ始める二人。窓からの風が心地よく、他の部活の音も聞こえてくる。
「そういえば昨日神社の近くにいたでしょ?お母さんも一緒だったよね?」
「ん?なんで知ってるんだ?」
「たまたま通りかかったんだ。散歩がてらにコンビニに行こうとして」
「そっか…見られてたか」
塔坂はパンをかじり外を見る。
「もしかして、お父さんに会ってたの?」
その言葉に食べるのをやめ箸を置く。
「あぁ。俺が9歳の時に事故に遭って……」
璃人は僕を見て、
「俺の癖を見抜いた塔坂に……その、話しておきたいことがあるんだ」
少し調子を落としたその声を聞けば分かる。真面目な話だね。僕は璃人を見て言う。
「いいよ。聞いてるから」
「俺がどうしてあれが癖になったか話しておこうと思って。誰にも……言わないで欲しい」
「預本君には話さないの?」
「あぁ……なんていうか、これを話したらアイツ優しいから受け止めてくれるとは思う。けど……」
「心のどこかで遠慮しちゃうんだね。分かった。僕は璃人の癖をだって分からせない為にも絶対に言わないよ。安心して」
「ありがとう。それじゃあ…」


それはある夏の日だった。父さんが仕事へ行き母さんと一緒に家でお昼を食べている時だった。そのニュースはいきなり飛び込んできた。一台の車が歩行者を跳ね、そのまま電柱に激突。何人か巻き込まれ、重症の人が2人いるという。そこまでは悲惨な事故だった。だが、その後入ってきた速報がその場の空気を変えた。
『今入ってきました。深山市在住の会社員、古海 吏一ふるみ りひとさんの死亡が確認されました。古海さんは横断歩道を渡っている時に跳ねられた模様で、もう一人の重症の方も死亡したとの事です。また詳しい事は後ほどお伝えします。救急車が次々と駆けつけ辺りは騒然としてま』
そこでたまらず母さんはテレビの電源を切った。まだ信じられずに立ち尽くす二人。テレビの映像が頭をよぎり、机に突っ伏す。ドサっと音がし、顔を上げると、母さんはその場で泣き崩れていた。むせび泣くその姿に堪らず俺も側に駆けつけ母さんに抱きつく。声が、堪らない思いが涙と一緒に溢れ出る。苦しくて、悲しくて、この感情をどこへ向ければいいのか分からないまま俺達はその場で泣き続けた。
いつのまにか泣き疲れたのか眠ってしまっていた。キョロキョロと辺りを見渡す。窓から入る夕日がカーテンを明るく照らし、暑い風が髪をなびかせ乾いた顔にそっと吹き抜ける。開けられた窓のそばに母さんは立っていた。眩しい夕日に閉じかけた目がその光景を見ようと目を凝らす。
庭を見つめる母さんの表情は、魂が抜けたような、どこか空を見るその瞳にはもう涙は残っていなかった。
「母さん……」
心配で裾を掴み思わず声を掛けた。すると静かにこちらを見て、
「ごめんね……すぐ夕飯準備するから……」
そう言う母さんは俺の手を解くこともしないまま部屋に戻っていく。俺は手を離し母さんの前で手を広げる。力なく開かれた瞳を見て、
「俺が作るから!母さんは座ってて!」
「でも……」
「レシピ本この前見せてもらったから作れるよ!ほら、何が食べたい?」
俺は本を広げ母さんに見せる。ペラペラとめくりながらあるページで手が止まる。俺はそのページに書いてあったものを見る。
「オムライス?分かった!」
トタトタと走りエプロンを着て手を洗う。母さんはゆっくり席に座る。俺を心配そうに見つめる母さんを他所に俺は自信満々に作り始める。


「ごめん、あんまりうまく出来なかった…」
皿に盛りつけられたオムライスは卵が破け、具材もバラバラに切られていた。母さんはスプーンを持ち卵と一緒に口に運ぶ。
「美味しい……」
虚ろな目が開かれる。その言葉に俺は嬉しくなり飛んで喜んだ。途端足が机の角にぶつかり、その場にうずくまる。上から母さんの心配する声が聞こえる。それに俺はへらへらと返し席に着く。
「いただきます!」
大きな口を開けスプーンをごと口に入れる。レシピ通りにやったつもりなのに、色々な味がして俺は食べるごとに疑問を覚えた。それを見ていた母さんは少し笑い、残りを綺麗に食べてくれた。


父さんの目を閉じた姿を見て母さんは顔を寄せ目を閉じる。俺の背中に手を回し、少し笑う。一つ一つの動作に力を感じない。俺は母さんの手を握り同じく目を閉じた。ハッキリと思い浮かぶ声と笑顔に涙が溢れる。今泣いたらダメだ。母さんも泣いてしまうから。俺はなんとか抑え、乱暴に涙を拭く。隣にいる母さんは涙ひとつこぼさずに俺の手を握りそのまま席に着いた。あの日みたいに泣いてしまうと思ってた。言葉では実感がなくても、こうして重い空気と棺に納められた父さんを見たら、やっぱり現実なんだと心の中で理解できた。寂しくてもう会うことも声を聞くこともないと思うと悲しくて。たぶん母さんも同じことを思ってる。でもそれが一切表に出ない。あの時流した涙が乾いて、心にあった家族の形が変わっていく。ゆっくりと過ぎる目の前の光景に、俺は思わず下を向いた。


あれ以来母さんが涙を流すところを見ていない。以前より笑うことも少なくなった。事故から一か月経ってもそれは変わらず度々俺が家事の手伝いをしていた。おかげで料理もある程度出来るようになったし、母さんがありがとうと言ってくれることも増えた。たまに心配そうに見つめると、少し寂しい笑みが返ってきて、俺はそれが嫌だった。母さんにはもっと笑ってほしい。でもそれが簡単に出来ることじゃないってことも分かってる。俺はどうにか笑ってほしくて、その日から無理にでも笑うようにした。
ーー大切な人を突然失ったショックは、心から涙が枯れてしまうほどだった。涙のストックが残っていなくて、どんなに悲しいことやつらい思いをしても一切涙が出なかった。だから代わりに俺が泣いた。道で転んだ時、悲しいお話を聞いた時、悲しいと、痛いと思った時、あの光景が思い浮かんで自然と涙が出た。余計母さんを心配させてしまう。そんなのは分かっている。でもその時の俺は母さんの代わりに泣けば、いつか心に涙が溜まって本当の気持ちが聞けるんじゃないかと思っていた。枯れた涙が出てくるんじゃないかと思った。だから母さんの代わりに泣くことを決めた。
そんな生活をしていたある日、俺は一つの違和感を覚えた。授業中に映画を見ていた。みんな静かに見ている。なのに俺だけ目からポロポロと涙が出ていた。止まらない涙に俺は思わず机に突っ伏し頭を整理する。この涙はなんだ?いつからこんな涙が出るようになった?心は悲しんでなどいなかった。それなのに止まらない涙に俺は動揺した。母さんの代わりに泣くことが染み付いて、俺は些細な事にも涙が出るようになった。それは感情を追い越し気付けば目から出ていた。もう代わりに泣くというレベルではなく、ただの涙脆い人になっていた。その時だった。
涙が癖になったのは。悲しいという感情が涙となって出ていく。母さんが泣き枯れたあの日、涙と一緒に心までもが乾いてしまった。俺は反対に心に悲しみがあるから涙が出る。溢れ出るその気持ちはいつからか当たり前になって、自分でも制御出来なくなった。
それを見た母さんは俺に言った。
「いつもありがとう」
その言葉は、もう俺の求めるありがとうではなかった。笑って泣いて母さんにいっぱい迷惑を掛けた。なのに母さんは変わらず寂しい笑みをする。どうすれば母さんは本当の笑顔を取り戻してくれる?あの日の悲しみから解放されて、また涙が流せるようになる?もう分からなくなった。涙が癖に変わったのに気付いたあの日。俺は堪らず誰もいない家で泣き喚いた。父さんを失った悲しみは心にずっと残ってる。なのにもう本心から悲しいと言えない。俺もあの日からを失っていた。これはどこから出る涙なのか、もうわからない。自然と、目から、口から、思いが溢れる。母さんを笑顔にしたい、苦しい思いから少しでも母さんを引き剥がしたい。そういう願いがあるから頑張れたのに……
涙が癖になったら意味がないじゃないか……
行き場をなくした声が頭の中にも反響する。涙が溢れる。声が枯れていく。やがて俺は疲れて床に倒れた。喉が痛くて、心も張り裂けそうなのに、心に溜まった涙は溢れてきて、また頬を伝って落ちていく。窓から見える夕焼けがあの日を思い出し、俺はそっと目を閉じた。どうか……母さんが心から笑える日が来ますように……
目の前が暗くなる。最後まで、涙は出続けたままだった。


「俺は涙を流すことが当たり前になっている。母さんの為に泣こうとして、でもそれは母さんから涙を奪っていることで。俺が泣かなければ母さんも少しは笑ってくれるのかな。もう……分からないんだ。なんのために泣くのか……」
そう言いながら涙を流す横顔を、僕はただ見ていた。璃人が抱える思いが、涙となって溢れる。その事にもう驚いてはいなかった。
僕は立ち上がり、璃人の横に立つ。外を見る顔はこちらを向かず、ただ夏の風が髪を揺らしている。
「璃人。璃人が涙を癖だって言ってくれたあの日、僕は君の顔を写真に撮って怒られた事があったよね?」
僕は言葉を続ける。
「あの時僕は君の泣き顔が綺麗だと思ったから思わず写真を撮ったんだ。後から他人の顔を突然撮るなんて何やってんだって思ったけど、涙を癖だって言った人がここまで綺麗な顔をするわけがないと今分かった。あの時見せた顔は、君のの顔だったんだ。僕に言われて、どこかスッキリした顔をしていた。君はお母さんでも他人のためでもなく、"自分のために泣いたんだ"。それに璃人自身が気づいていなかっただけなんだ。だから涙を流す璃人が綺麗に見えたんだ」
肩に手を置き無理矢理顔を向けさせる。僕が遠くから見ていた君の顔は、本物じゃなかった。でも、
「君は……もう、本当の表情に気付いてるじゃん」
あの時と同じ、綺麗な泣き顔。遠くから見ていたあの顔とは違う。自分の心に正直な顔だ。
「俺が……他人でもなく母さんでもなく自分の為に泣いていた……ずっと分からなかった。この涙がどこから流れてるのか、もしかしたら俺はもう本当の悲しみが分からないのかもって思ってた。でも、本当に……俺は、自分のために泣けてるんだ。また……心から涙が流せるなんて……」
溢れ出る涙が頬を伝い、ポロポロと流れる。それを見て心がグッとなる。璃人がどれだけ心から泣けていなかったのか。それに気づかずにいたのか。今、それに気づいて泣く璃人はあの時のように綺麗な顔で、僕まで涙が出そうだった。
「璃人。今度は自分のために、そして自分が伝えたい思いをお母さんに伝えなきゃ。そのためにまずは目の前のことを頑張ろう」
柔らかい笑みが璃人の体を軽くしていく。良かった。璃人が嬉しそうな顔をする。僕もたまらず笑みがこぼれる。
大事なことを言うのを忘れていた。僕は腕時計を璃人に見せて、
「で。僕達完全に遅刻だけど、どう言い訳しようか」
予定より針が15分も過ぎていた。見る見るうちに璃人の顔が青ざめていく。
「先に言えよ!!てか、分かってたならなんで言わないんだよ!?」
「こんな話してるのに時間なんて気にしてたらダメかと思って」
「……ッ、急ぐぞ!!」
「あ、待ってよ璃人!」
広げた弁当を仕舞い、教室を飛び出す。後ろから笑いながら走る塔坂に俺も思わず笑ってしまう。怒られると分かっているのに何故か二人だったら悪くないなと思ってしまう。
夏の風が走る二人を包み込む。体を吹き抜け廊下を駆けていく。やがて教室から放たれた窓から外に出る。手すりの涙の跡が乾いていく。夏の空は、どこまでも青かった。
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