6 / 6
last birthday 2
しおりを挟む
色んな記憶が頭の中を駆け巡る。
机の上のお菓子を見つけて犯人を探そうとしたこと。
勝斗と直哉に手伝ってもらったこと。
三原さんと田辺さんも手伝ってくれた。クラスメイトも強力してくれた。
そのおかげで色んなことが分かったし、とても楽しかった。そんな時間がずっと続いて欲しかった。今日で終わるのは嫌だった。だからなのか?
俺はその記憶の中に一晴を入れなかったからこんなことになっているのか?
俺は目を逸らしていた現実に目を向ける。
「あ、やっと起きた。おはよう、伊鶴」
薄暗く、窓はカーテンが閉められ、目の前にいる一晴さえうまく見えない。
そして手足には手錠が掛けられ、俺はその場で倒れていた。
「ここは……?なんで俺はこんなことに……」
理解が追いつけず、疑問を口にする。
「伊鶴はあの時私に言ったよね?“好きだ”って。私はまだ準備ができてなかったから“今は難しい”って言った。でも、ようやく準備ができたよ。だから迎えに来たの」
全く意味が分からなかった。準備?一体なんの準備だ?俺を気絶させたのは何故だ?
……一体こいつは何をしようとしているる?
「そうだ。私がいなかったこの1年間、なにか変わったことはなかった?」
「1年間?……誰かの誕生日の時にかならずお菓子が置いてあったな。……それが今なんで…」
「それやったの私なの」
「え、なんで…」
「これも準備だよ。君がクラスメイトと仲良くなれるようにするためのね」
「俺が……クラスメイトと仲良く……?」
「そう。伊鶴が新しいクラスになって最初の日直だっていうのは知ってた。だから伊鶴が一番最初にあれに気づくと思った。それを疑問に思いクラスメイトと共にそれを置いた犯人を見つけようとする。その内クラスメイトとも仲良くなり、この1年間何不自由なく楽しい日々が続いた。
合ってる?」
「う、うん…」
「でも、これは私の中にあった計画。
伊鶴がクラスメイトと仲良くなれば私の計画も上手くいく。まぁ、こんなに綺麗に上手くいくとは思ってもなかったけどね」
「け、計画ってなんだよ…どうしてそんなこと…」
「ん?簡単だよ。全ては伊鶴がしてくれた告白に私が納得のいく返事をするためだよ」
「意味が分かんねぇよ!お前は……一体何がしたいんだ?」
とうとう分からなくなった。目の前にいるこいつは本当にあの片瀬一晴なのか?俺が見ていた一晴は…どこにいったんだ…?
「だからね」
一晴が俺を見下ろすようにしゃがんだ。
「私は伊鶴のしてくれた告白に“最も良い返事”をするためにこの1年間ずっと考えてた。伊鶴をクラスメイトと仲良くさせて、伊鶴をクラスで浮かないようにした。1年間積み上げられたクラスメイトの仲はそれはそれは固い絆で結ばれている。そんな絆で結ばれたクラスが今日で終わる。みーんな良いクラスだったって伊鶴を待ってる。そんな日に君がいなくなったら、さぞ悲しむだろうねぇ」
「…!」
反射的に起き上がろうとする。
だが手首を掴まれ、それ以上起き上がることは出来なくなった。
「ダメだよ、ここにいなきゃ」
光を映さないその瞳に吸い込まれ、自然と力が抜ける。
頭がジンジンと痛む。俺はこれからどうすれば…
「その顔、私すごく好き。
伊鶴が告白してくれた時、私すごく嬉しかった。だから私、一番良い時にあなたを受け入れようって思ったの。今がそう……私を受け止めざるを得ない時。伊鶴が私しか見れない時。
今、すごくドキドキしてる。意味が分からなくて戸惑ってる伊鶴を見るだけで胸が高鳴るの。
ずっと…………愛してあげるね」
そう言い、扉を開く。
「待て!!俺を閉じ込めてどうするんだ!!おい!!」
「大丈夫、どこにも行かないから」
そう言い残し、扉が閉まる。
「待て!!待てよ!!!」
閉ざされた重い扉の向こう側に必死に訴える。だが、声は届かない。
「くそ……くそぉ……!!」
あいつに告白なんてしなければこんなことには……
そうして、今も彼女に囚われたままでいる。
机の上のお菓子を見つけて犯人を探そうとしたこと。
勝斗と直哉に手伝ってもらったこと。
三原さんと田辺さんも手伝ってくれた。クラスメイトも強力してくれた。
そのおかげで色んなことが分かったし、とても楽しかった。そんな時間がずっと続いて欲しかった。今日で終わるのは嫌だった。だからなのか?
俺はその記憶の中に一晴を入れなかったからこんなことになっているのか?
俺は目を逸らしていた現実に目を向ける。
「あ、やっと起きた。おはよう、伊鶴」
薄暗く、窓はカーテンが閉められ、目の前にいる一晴さえうまく見えない。
そして手足には手錠が掛けられ、俺はその場で倒れていた。
「ここは……?なんで俺はこんなことに……」
理解が追いつけず、疑問を口にする。
「伊鶴はあの時私に言ったよね?“好きだ”って。私はまだ準備ができてなかったから“今は難しい”って言った。でも、ようやく準備ができたよ。だから迎えに来たの」
全く意味が分からなかった。準備?一体なんの準備だ?俺を気絶させたのは何故だ?
……一体こいつは何をしようとしているる?
「そうだ。私がいなかったこの1年間、なにか変わったことはなかった?」
「1年間?……誰かの誕生日の時にかならずお菓子が置いてあったな。……それが今なんで…」
「それやったの私なの」
「え、なんで…」
「これも準備だよ。君がクラスメイトと仲良くなれるようにするためのね」
「俺が……クラスメイトと仲良く……?」
「そう。伊鶴が新しいクラスになって最初の日直だっていうのは知ってた。だから伊鶴が一番最初にあれに気づくと思った。それを疑問に思いクラスメイトと共にそれを置いた犯人を見つけようとする。その内クラスメイトとも仲良くなり、この1年間何不自由なく楽しい日々が続いた。
合ってる?」
「う、うん…」
「でも、これは私の中にあった計画。
伊鶴がクラスメイトと仲良くなれば私の計画も上手くいく。まぁ、こんなに綺麗に上手くいくとは思ってもなかったけどね」
「け、計画ってなんだよ…どうしてそんなこと…」
「ん?簡単だよ。全ては伊鶴がしてくれた告白に私が納得のいく返事をするためだよ」
「意味が分かんねぇよ!お前は……一体何がしたいんだ?」
とうとう分からなくなった。目の前にいるこいつは本当にあの片瀬一晴なのか?俺が見ていた一晴は…どこにいったんだ…?
「だからね」
一晴が俺を見下ろすようにしゃがんだ。
「私は伊鶴のしてくれた告白に“最も良い返事”をするためにこの1年間ずっと考えてた。伊鶴をクラスメイトと仲良くさせて、伊鶴をクラスで浮かないようにした。1年間積み上げられたクラスメイトの仲はそれはそれは固い絆で結ばれている。そんな絆で結ばれたクラスが今日で終わる。みーんな良いクラスだったって伊鶴を待ってる。そんな日に君がいなくなったら、さぞ悲しむだろうねぇ」
「…!」
反射的に起き上がろうとする。
だが手首を掴まれ、それ以上起き上がることは出来なくなった。
「ダメだよ、ここにいなきゃ」
光を映さないその瞳に吸い込まれ、自然と力が抜ける。
頭がジンジンと痛む。俺はこれからどうすれば…
「その顔、私すごく好き。
伊鶴が告白してくれた時、私すごく嬉しかった。だから私、一番良い時にあなたを受け入れようって思ったの。今がそう……私を受け止めざるを得ない時。伊鶴が私しか見れない時。
今、すごくドキドキしてる。意味が分からなくて戸惑ってる伊鶴を見るだけで胸が高鳴るの。
ずっと…………愛してあげるね」
そう言い、扉を開く。
「待て!!俺を閉じ込めてどうするんだ!!おい!!」
「大丈夫、どこにも行かないから」
そう言い残し、扉が閉まる。
「待て!!待てよ!!!」
閉ざされた重い扉の向こう側に必死に訴える。だが、声は届かない。
「くそ……くそぉ……!!」
あいつに告白なんてしなければこんなことには……
そうして、今も彼女に囚われたままでいる。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる