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第二章 死ねよ初心者狩り
第3話 限定品
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真剣な眼差しを俺に向け、トモエは語る。
「悔しい話だけどさ、うちは強いプレイヤーがいないもんで、襲われても反撃できないんだ」
「それで俺に、用心棒みたいな感じで入ってほしい、と?」
「まぁそうだ」
「えー、嫌ですよ……。だってこれ、サブキャラですもん」
「サブキャラ? マジで?」
「はい。メインの奴は、大きな子猫ってギルドにいます」
「えっあそこ!?」
びっくりするのも無理はないか。大きな子猫って、このアルファ・サーバーじゃあ二番目にデカいギルドだもんな。ちなみに一番目はマッド・ドッグだ。
どれ、ちょっと説明しておくか。
「俺、あそこが作られた時からのメンバーなんですよ。いわゆる古参ってやつで」
「へぇー……」
「だから、よそのギルドに入るのはちょっと遠慮したいなって。それするとスパイしてるみたいなことになるでしょう、そういうの好きじゃなくて」
「いや、スパイって……。うちをスパイしたってろくな情報はないよ」
「でも疑われるようなことしたくないんです」
「そりゃそういう気持ち分かるけどさ。じゃあ、ちょっとの間だけ、ほんの一時期だけいてくれるってのは?」
「うーん……」
オリヴィエが頭を下げてくる。
「私からもお願いします!」
「そんなことされても……」
「さっきは助けてくれたじゃないですか! だからもう少しだけ付き合ってください、ダメですか?」
「ダメっすね」
「そんなぁ……」
「あのですね、大きな子猫はキング・ドラゴンと条約結んでるんです。お互いに攻撃しない、PKしないっていう条約」
「えっ、そうなんですか」
「うちだけじゃなく、マッド・ドッグだってそうですよ。さすがのキング・ドラゴンだって、一位ギルドと二位にケンカ売るのはやめときたい。そのための条約です」
「それってなんか汚くないですか? だって、キング・ドラゴンって三位ですよね? 一位と二位に攻撃されないなら、残りのギルドはみんな格下、弱い人ばっかり。そしたら初心者狩りでもなんでもやりたい放題ですよ」
「まぁそうなる」
そうなんだよねー。こういうところがキング・ドラゴンの悪評の原因であり、同時に、奴らの頭のいいところだ。弱い者いじめのためなら強い者にぺこぺこ頭を下げる。つまりゴキブリ根性だ。
にしても、このオリヴィエって子は物事がよくわかってなさそうだ。まだ説明が必要かもしれん。
「もし俺がここに入って活動して、ドラゴンの連中をやっつけたとするでしょ。それでさ、何かのはずみに俺の正体がばれる、子猫のメンバーのサブだと判明する。そしたらどうなると思います」
「えーと……」
「ドラゴンと子猫は攻撃し合わない、それなのに、正体を隠してドラゴンのメンバーを襲ったってことになる。俺の勝手な行動のせいでみんなに迷惑がかかるんだ」
「あっ……」
「そういうわけなんで、トモエさん、悪いですが俺はここに加入できません。それじゃ……」
帰るとするか。しかしトモエは呼び止めてくる。
「待って待って、事情は分かった。でも本当マジ頼むよ、ねっ、お願い!」
「んなこと言われても……」
「分かった、じゃあギャラを出すよ。これをあげるからさ、そのかわりに、あいつらを倒すまでギルドに入るってことでどう?」
僕はテーブルの上に置かれたアイテムを見る。
おぉ、ジェムだ。しかもなかなか良さそうなレア物。
「これ、性能はどれくらいですか?」
「聞いて驚け、なんとヘヴン・イレヴンとコラボした時の限定品だ!」
「マジすか!」
大手コンビニ、ヘヴン・イレヴン。しかし、大手という割には展開地域が狭い。つまりね、俺の住んでる県にはないんだよ、ヘヴン・イレヴンのお店……。
だからコラボ・イベントの時は参加できなかった。あの時はさ、お店で合計五千円の買い物をするとこのジェムがもらえたんだ。でもまさかそのためによその県までいくなんて……。だから入手し損ねちゃった。
限定品というだけあって性能はすごい。与えるダメージを十パーセント増加だ。五千のダメージを出したとしたらもう五百が追加されるわけ。どんな状況でも役立つ品だよ、それをくれるとは。
話がここまで来たら断れるわけがない。俺はトモエの申し出にOKの返事を出し、しばらくはアルパカ倶楽部の一員として暮らすことにした。
「悔しい話だけどさ、うちは強いプレイヤーがいないもんで、襲われても反撃できないんだ」
「それで俺に、用心棒みたいな感じで入ってほしい、と?」
「まぁそうだ」
「えー、嫌ですよ……。だってこれ、サブキャラですもん」
「サブキャラ? マジで?」
「はい。メインの奴は、大きな子猫ってギルドにいます」
「えっあそこ!?」
びっくりするのも無理はないか。大きな子猫って、このアルファ・サーバーじゃあ二番目にデカいギルドだもんな。ちなみに一番目はマッド・ドッグだ。
どれ、ちょっと説明しておくか。
「俺、あそこが作られた時からのメンバーなんですよ。いわゆる古参ってやつで」
「へぇー……」
「だから、よそのギルドに入るのはちょっと遠慮したいなって。それするとスパイしてるみたいなことになるでしょう、そういうの好きじゃなくて」
「いや、スパイって……。うちをスパイしたってろくな情報はないよ」
「でも疑われるようなことしたくないんです」
「そりゃそういう気持ち分かるけどさ。じゃあ、ちょっとの間だけ、ほんの一時期だけいてくれるってのは?」
「うーん……」
オリヴィエが頭を下げてくる。
「私からもお願いします!」
「そんなことされても……」
「さっきは助けてくれたじゃないですか! だからもう少しだけ付き合ってください、ダメですか?」
「ダメっすね」
「そんなぁ……」
「あのですね、大きな子猫はキング・ドラゴンと条約結んでるんです。お互いに攻撃しない、PKしないっていう条約」
「えっ、そうなんですか」
「うちだけじゃなく、マッド・ドッグだってそうですよ。さすがのキング・ドラゴンだって、一位ギルドと二位にケンカ売るのはやめときたい。そのための条約です」
「それってなんか汚くないですか? だって、キング・ドラゴンって三位ですよね? 一位と二位に攻撃されないなら、残りのギルドはみんな格下、弱い人ばっかり。そしたら初心者狩りでもなんでもやりたい放題ですよ」
「まぁそうなる」
そうなんだよねー。こういうところがキング・ドラゴンの悪評の原因であり、同時に、奴らの頭のいいところだ。弱い者いじめのためなら強い者にぺこぺこ頭を下げる。つまりゴキブリ根性だ。
にしても、このオリヴィエって子は物事がよくわかってなさそうだ。まだ説明が必要かもしれん。
「もし俺がここに入って活動して、ドラゴンの連中をやっつけたとするでしょ。それでさ、何かのはずみに俺の正体がばれる、子猫のメンバーのサブだと判明する。そしたらどうなると思います」
「えーと……」
「ドラゴンと子猫は攻撃し合わない、それなのに、正体を隠してドラゴンのメンバーを襲ったってことになる。俺の勝手な行動のせいでみんなに迷惑がかかるんだ」
「あっ……」
「そういうわけなんで、トモエさん、悪いですが俺はここに加入できません。それじゃ……」
帰るとするか。しかしトモエは呼び止めてくる。
「待って待って、事情は分かった。でも本当マジ頼むよ、ねっ、お願い!」
「んなこと言われても……」
「分かった、じゃあギャラを出すよ。これをあげるからさ、そのかわりに、あいつらを倒すまでギルドに入るってことでどう?」
僕はテーブルの上に置かれたアイテムを見る。
おぉ、ジェムだ。しかもなかなか良さそうなレア物。
「これ、性能はどれくらいですか?」
「聞いて驚け、なんとヘヴン・イレヴンとコラボした時の限定品だ!」
「マジすか!」
大手コンビニ、ヘヴン・イレヴン。しかし、大手という割には展開地域が狭い。つまりね、俺の住んでる県にはないんだよ、ヘヴン・イレヴンのお店……。
だからコラボ・イベントの時は参加できなかった。あの時はさ、お店で合計五千円の買い物をするとこのジェムがもらえたんだ。でもまさかそのためによその県までいくなんて……。だから入手し損ねちゃった。
限定品というだけあって性能はすごい。与えるダメージを十パーセント増加だ。五千のダメージを出したとしたらもう五百が追加されるわけ。どんな状況でも役立つ品だよ、それをくれるとは。
話がここまで来たら断れるわけがない。俺はトモエの申し出にOKの返事を出し、しばらくはアルパカ倶楽部の一員として暮らすことにした。
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