迷宮の中の青春 -Soldiers of Fortune-

夏野かろ

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第1部 すべては経験

第4話 手に入れたもの/Couldn't Get Enough

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 エーザの湖での戦いから数時間後。ギンたちはセラの街に戻り、手に入れたものを売るため、冒険者向けの店に立ち寄っていた。今、ギンたちはカウンターの前にいて、そのカウンターの上には袋が1つ置かれている。カウンターの後ろには、長い銀髪に褐色肌という容姿の女がいる。彼女は話を切り出す。

「袋の薬草は500マーで買うよ。いいだろう?」

 リッチーが答える。

「ピーコー鳥のほうは?」
「肉は……5000マーかな」
「安くねぇか?」
「あれだけ傷んでちゃ、その程度だよ」
「羽は?」
「悪いけど、ダメだね。血で汚れてちゃ、価値無しさ」
「頼む、そこを何とか……」
「ダメダメ、ダメなものはダ~メ」
「くそっ……」
「で、どうすんの? 合計5500マーで手を打つか、それとも別の店で交渉するか」
「おいみんな、どうするよ?」

 ギンは小さくため息しながら言う。「それでOKしようよ」。レーヴとキャンディスは首を縦に振って、ギンの意見に賛同する。女はそれを見て言う。

「じゃ、取引成立~。はいよ、ちょっと待ってな」

 彼女はカウンターの中にある引き出しを開け、お金を出し始める。その間、ギンたちはお互いに顔を見合わせて、「ハァ……」とため息をついたのだった。



 取り引きを終えたギンたちは、その後、ねぐらにしている宿屋へ戻った。今ここは宿屋の一室、2つの粗末なベッドがある部屋にギンたち4人がいて、あれこれと相談をしている。1つのベッドには、上半身を裸にしたギンが腰かけている。その体には何本かの包帯が巻かれ、そのうちの1本には血がにじんでいる。ギンは喋り出す。

「なんか、情けない結果になったよな……」

 レーヴが反論する。

「いや、そんなことないよ! だって、5500マーだよ!? 大金じゃん、2週間は遊んで暮らせるよ!」

 ギンのそばでヒーリングの魔法を使い、彼を治療しているキャンディスが答える。

「残念ですが、レーヴさん。1週間がやっとですよ」
「えー、なんで?」
「だって、ギンさんを治療するのにお金が必要ですから。私の魔法だけではダメでしょう、薬を買わないと」
「そっかー……」

 リッチーがぼやく。

「羽を汚さずにすめばよ、羽だけでも1万は稼げたんだ。それが、こんな結果になっちまってよ……」

 レーヴ、リッチーを非難する。

「リッチーが狙撃に失敗するから……」
「ちょっ、失敗はしてねぇだろ! ちゃんと仕留めたじゃねぇか!」
「でもさぁ、首に当てたから血が飛び散ってさ、だから羽がダメになったんだよ」
「仕方ねぇだろ、狙撃は水物、狙った場所に必ず当たるとは限らねぇんだから」
「どこを狙ったわけ?」
「頭に決まってんだろ」
「馬鹿ー、そんな当てにくいとこ狙ったらあぁなるに決まってんじゃん」
「じゃあどこを狙えばよかったんだよ?」
「胴体でよかったでしょ」
「あんなとこに当てたってどうにもならねぇよ。ギンを助けるには即死させるしかなかった、そのためには頭に当てるしかなかった。あのままいけば当たってたんだ、それなのに、急に動くから……」
「そんなの言い訳じゃんか」
「あー、うるせぇうるせぇ! だいたいお前の魔法がヘボだからこうなったんだろうが、あそこできっちり眠らせときゃあ問題なかったんだ」
「ちょっ、あたしのせいにしないでよ! あたしだって気合い入れて……」

 ギンが発言する。

「やめよう、やめようよみんな。責任のなすりつけ合いはよくない。とにかく、5500マー手に入ったんだ。しばらくはゆっくりして、そうしながら次のことを考えよう」

 ギンの顔は痛みで歪んでいる。キャンディスはそれを見て悲しそうな顔をする。彼女は喋る。

「みなさん、ギンさんの回復を待ちましょうよ。きっと、待っている間に何かいいことがありますから」

 全員が静かになる。しばらくして、リッチーが口を開く。

「……そうだな、少し休もうぜ。頑張ったんだ、休んだってバチは当たらねぇよな」



 その日はこうして終わっていった。
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