16 / 55
第1部 すべては経験
第10話-1 セール品/Cheap Is Dear
しおりを挟む
翌日、朝、宿の一室。予定通り、ギンたちは作戦会議を始めた。まずギンが喋る。
「毒よけの装備品は当然買うとして、他に何がいるかな?」
キャンディスが答える。
「レーヴさんの魔法力を強めるアイテムなど、必要ではないでしょうか」
「そりゃあ、なんでさ?」
「固いウロコに守られたリザードには、剣より魔法が効くからですよ」
レーヴ、冒険者向けの野暮なショルダー・バッグから何かを取り出しながら言う。
「実はさ、こないだの冒険のお金でこういうのを買ったんだけど」
彼女はテーブルの上に何かを置く。それは長方形の薄い金属板で、不思議な模様が描かれており、上のほうには小さな赤いジェム(gem, 宝石)が埋め込まれている。
「じゃーん、マジック・アンプリファイアー(magic amplifier, 魔法増幅器)、略してマジック・アンプ! これはねー、魔法を使う時、威力を高めてくれるんだよー」
マジック・アンプ。それを見て、カールが声をかける。
「レーヴくん、それ、ちょっと見せてもらってもいいかい?」
「はい、どーぞ」
カールはそれをじっくり眺める。そして言う。
「これ、いくらしたんだい?」
「特別セール価格で2万マー! この性能で2万は安いですよね?」
「……あー、その……」
カールは言葉を選びながら返事を続ける。
「これは、私が思うに……相場1万5000」
「……えーっ!?」
「ジェムの質がイマイチなんだ。純度が低い。初心者向けとしてはまぁまぁの性能だけど、しかし、これで2万とは……」
「そんなぁ……」
リッチー、思わず口を挟む。
「お前さぁ、セールって言葉に弱すぎなんだよ。世の中、安かろう悪かろうなんだぜ? 買い物は気をつけねーと」
「くぅっ、リッチーには言われたくない! リッチーだって、ぼったくり価格でなまくらナイフ買ったことあるじゃん!」
「うるせぇよ!」
「頭ったま来た、あの商人、許さないんだから!」
「返品しに行くのか?」
「当たり前でしょ!」
「たぶんとっくにトンズラして、どっか別の街に行ってると思うぞ」
「えぇ~!」
ギンがなだめに入る。
「まぁまぁ、落ち着いて、レーヴ。まったくダメなアイテムってわけじゃないんだから。カールさん、これ、使えることは使えますよね?」
「うーん、まぁそうだが……」
「買っちゃったものはしょうがないですから、とりあえずこれで間に合わせようって思いますよ」
「私としては、あまりそれはお勧めできないが……」
カールは買い替えを主張したものの、予算の都合もあり、結局はこれを使うことで話がまとまった。レーヴはぼやきながらそれをバッグにしまう。
「はぁ、おいしい話には気をつけないとなぁ……。それで、ギン、後は何が必要?」
「俺はこれで大丈夫だと思うけど……。カールさん、何か意見ありますか?」
「いや、特にないよ。後は買いに行くだけだ」
「それじゃ、お昼ご飯を食べたら行きましょう。みんなもそれでいい?」
特に異議は出なかった。こういうわけで、その日の午後は買い物をすることに決まった。
冒険者として生きるなら、日常生活でも気を抜いてはいけない。
「毒よけの装備品は当然買うとして、他に何がいるかな?」
キャンディスが答える。
「レーヴさんの魔法力を強めるアイテムなど、必要ではないでしょうか」
「そりゃあ、なんでさ?」
「固いウロコに守られたリザードには、剣より魔法が効くからですよ」
レーヴ、冒険者向けの野暮なショルダー・バッグから何かを取り出しながら言う。
「実はさ、こないだの冒険のお金でこういうのを買ったんだけど」
彼女はテーブルの上に何かを置く。それは長方形の薄い金属板で、不思議な模様が描かれており、上のほうには小さな赤いジェム(gem, 宝石)が埋め込まれている。
「じゃーん、マジック・アンプリファイアー(magic amplifier, 魔法増幅器)、略してマジック・アンプ! これはねー、魔法を使う時、威力を高めてくれるんだよー」
マジック・アンプ。それを見て、カールが声をかける。
「レーヴくん、それ、ちょっと見せてもらってもいいかい?」
「はい、どーぞ」
カールはそれをじっくり眺める。そして言う。
「これ、いくらしたんだい?」
「特別セール価格で2万マー! この性能で2万は安いですよね?」
「……あー、その……」
カールは言葉を選びながら返事を続ける。
「これは、私が思うに……相場1万5000」
「……えーっ!?」
「ジェムの質がイマイチなんだ。純度が低い。初心者向けとしてはまぁまぁの性能だけど、しかし、これで2万とは……」
「そんなぁ……」
リッチー、思わず口を挟む。
「お前さぁ、セールって言葉に弱すぎなんだよ。世の中、安かろう悪かろうなんだぜ? 買い物は気をつけねーと」
「くぅっ、リッチーには言われたくない! リッチーだって、ぼったくり価格でなまくらナイフ買ったことあるじゃん!」
「うるせぇよ!」
「頭ったま来た、あの商人、許さないんだから!」
「返品しに行くのか?」
「当たり前でしょ!」
「たぶんとっくにトンズラして、どっか別の街に行ってると思うぞ」
「えぇ~!」
ギンがなだめに入る。
「まぁまぁ、落ち着いて、レーヴ。まったくダメなアイテムってわけじゃないんだから。カールさん、これ、使えることは使えますよね?」
「うーん、まぁそうだが……」
「買っちゃったものはしょうがないですから、とりあえずこれで間に合わせようって思いますよ」
「私としては、あまりそれはお勧めできないが……」
カールは買い替えを主張したものの、予算の都合もあり、結局はこれを使うことで話がまとまった。レーヴはぼやきながらそれをバッグにしまう。
「はぁ、おいしい話には気をつけないとなぁ……。それで、ギン、後は何が必要?」
「俺はこれで大丈夫だと思うけど……。カールさん、何か意見ありますか?」
「いや、特にないよ。後は買いに行くだけだ」
「それじゃ、お昼ご飯を食べたら行きましょう。みんなもそれでいい?」
特に異議は出なかった。こういうわけで、その日の午後は買い物をすることに決まった。
冒険者として生きるなら、日常生活でも気を抜いてはいけない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる