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第1部 すべては経験
第11話-3 仲間の助け/Persona non grata
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リザードを仕留めるまで、あと一歩。止めを放つべく、全員が身構える。リザードの本能が間近に迫った死を予感する。「死」。その恐怖を強く感じた瞬間、リザードは行動に出る。
「グオォーーーッ! グォォォォォッ! グォォォォォォォォォォォッ!」
すさまじい雄たけびがあたりにとどろく。リザードはなおも叫ぶ。
「グォーッ! グォッ、グォォォォォォォォォォォォォォォォッ!」
リッチーが思わず恐怖する。
「このっ、驚かせやがって……!」
リザードに負けじとカールが叫ぶ。
「様子が変だ、みんな、今すぐ決着をつけよう!」
彼は左手にアイス・ダガーを生み出す。ほぼ同時に、レーヴもアイス・ダガーを撃つ態勢に入る。彼女のそばにいるキャンディスが言う。
「私がショック(shock, 衝撃を与えて目まいや怯みを引き起こす)の魔法を撃って、リザードの動きを止めます。だから、その隙に……」
「うん、わかった!」
キャンディスの右手に魔法力が集中し、光球を作り出す。彼女は普段よりも多くの魔法力をそれに注ぎこむ、光球の輝きが増していく。
「当ててみせます!」
野球のボールを投げる時のように、彼女は光球を投げる。光球は疾風のように空中を走り、リザードに命中する。「グォッ……!」、激しい衝撃がリザードを襲い、脳震とうを発生させて、雄たけびを続けることを妨害する。チャンス到来、キャンディスは大きく叫ぶ。
「みなさん、今です!」
その声を合図に全員が行動を起こす。レーヴとカールはアイス・ダガーを放ち、それに続いてリッチーが矢を撃つ。放たれた物はすべてリザードに命中して、大きなダメージを与える。直後、剣を手にギンが突っこむ。
「うおおぉぉぉぉぉっ!」
剣を振り上げ、突進の勢いに任せて肉薄、全力で剣を振り下ろす。その一撃はリザードのウロコを破壊し、皮膚を斬り裂く。作られた大きな傷口、そこから大量の血が吹き出し、リザードの体力は急速に失われる。
「グォーーーーーーーーーーーッ!」
断末魔の悲鳴を上げたのち、リザードは地面に倒れる。樽入りのビールよりも多くの血が床に流れ出す。しばらくの間、その体はビクビクと動いていた。が、やがてそれも収まって、ピクリとも動かなくなった。間違いなくリザードは死んだのだ。カールがつぶやく。
「ふぅ……。やれやれ、終わりだな」
彼は左手で額の汗をぬぐう。疲労した体は重く感じられる、だが、敵を征服した満足感によって、心は軽くなる。彼はギンへ向かって歩こうとする。その時。
「グォォォォーーーッ!」
部屋の奥、通路へ続く穴、ちょうどカールの背後になっている場所。そこから何者かが姿を現し、カール目がけて突進してきた。「なんだっ!?」、カールは驚いて振り向く。直後、彼はその何者かの蹴りを受けて吹き飛ぶ。
「グォォォォォッーーー!」
それは、高さ3メートルはあるだろうか、特大サイズのポイズン・リザードだった。キャンディスが震える声で言う。
「まさか、あの雄たけびで仲間を呼んだ!?」
彼女の視界の隅に、倒れているカールの姿が映る。あわてて彼女は魔法を撃つ。
「カールさん、しっかり!」
ヒーリングの光球が飛び、カールをいやす。カールの体から少しの痛みが消える、彼は体を起こそうとする。瞬間、発生する激痛。「ぐっ……!」。その様子を見ているレーヴが言う。
「やばいよキャンディス、ありゃ重傷だ!」
「そんな……!」
「ただのヒーリングじゃだめだよ、もっと強い回復魔法じゃないと!」
「でも!」
二人が騒いでいるところへ、リッチーが走ってやって来る。
「おい、二人とも!」
レーヴが返す。
「リッチー!」
「こいつぁーヤクいぜ、どうする!?」
「どうするって、このままじゃ脱出できないよ!」
「当たり前だろ、カールさんほったらかして俺たちだけ帰れるか!」
「でも、あんなデカブツ、あたしたちじゃ勝てないよー!」
レーヴはリザードを指さす。ポイズン・リザードは普段のギンたちでも苦戦する相手、それなのに、新たにやってきたリザードは特大サイズときている。その上、今のギンたちは疲労していて、頼みのカールもほぼ戦闘不能になっている。リッチーの背筋に冷や汗が流れる。
「……それでも、やるしかねぇ」
「まさか、戦うの?」
「あいつを殺る以外の名案があんのかよ!?」
「勝てないよ!」
「うるせぇ! 勝つか負けるか、やってみなけりゃ分からねぇ!」
そう言ったリッチーの声は震えている。リザードのうなり声、「グォォォ……!」。リザードの視線は、前方にいるギンをとらえている。その様子にリッチーたちも気づく。
「もう戦いは始まってるんだ、どのみちやるしかねぇんだよ!」
彼はクロス・ボウを握りしめる。彼のおんぼろなクロス・ボウは、リザードに対して力不足。それは、先ほどの戦いで大したダメージを与えられなかったことによって、証明されている。
勝ち目は薄い。だが、もはや逃げ場はない。リザードを殺すか、リザードに殺されるか、結末はどちらか一つだけ。文字通り「必死」にならなければ生還できない。
勝利への道はどこにある?
「グオォーーーッ! グォォォォォッ! グォォォォォォォォォォォッ!」
すさまじい雄たけびがあたりにとどろく。リザードはなおも叫ぶ。
「グォーッ! グォッ、グォォォォォォォォォォォォォォォォッ!」
リッチーが思わず恐怖する。
「このっ、驚かせやがって……!」
リザードに負けじとカールが叫ぶ。
「様子が変だ、みんな、今すぐ決着をつけよう!」
彼は左手にアイス・ダガーを生み出す。ほぼ同時に、レーヴもアイス・ダガーを撃つ態勢に入る。彼女のそばにいるキャンディスが言う。
「私がショック(shock, 衝撃を与えて目まいや怯みを引き起こす)の魔法を撃って、リザードの動きを止めます。だから、その隙に……」
「うん、わかった!」
キャンディスの右手に魔法力が集中し、光球を作り出す。彼女は普段よりも多くの魔法力をそれに注ぎこむ、光球の輝きが増していく。
「当ててみせます!」
野球のボールを投げる時のように、彼女は光球を投げる。光球は疾風のように空中を走り、リザードに命中する。「グォッ……!」、激しい衝撃がリザードを襲い、脳震とうを発生させて、雄たけびを続けることを妨害する。チャンス到来、キャンディスは大きく叫ぶ。
「みなさん、今です!」
その声を合図に全員が行動を起こす。レーヴとカールはアイス・ダガーを放ち、それに続いてリッチーが矢を撃つ。放たれた物はすべてリザードに命中して、大きなダメージを与える。直後、剣を手にギンが突っこむ。
「うおおぉぉぉぉぉっ!」
剣を振り上げ、突進の勢いに任せて肉薄、全力で剣を振り下ろす。その一撃はリザードのウロコを破壊し、皮膚を斬り裂く。作られた大きな傷口、そこから大量の血が吹き出し、リザードの体力は急速に失われる。
「グォーーーーーーーーーーーッ!」
断末魔の悲鳴を上げたのち、リザードは地面に倒れる。樽入りのビールよりも多くの血が床に流れ出す。しばらくの間、その体はビクビクと動いていた。が、やがてそれも収まって、ピクリとも動かなくなった。間違いなくリザードは死んだのだ。カールがつぶやく。
「ふぅ……。やれやれ、終わりだな」
彼は左手で額の汗をぬぐう。疲労した体は重く感じられる、だが、敵を征服した満足感によって、心は軽くなる。彼はギンへ向かって歩こうとする。その時。
「グォォォォーーーッ!」
部屋の奥、通路へ続く穴、ちょうどカールの背後になっている場所。そこから何者かが姿を現し、カール目がけて突進してきた。「なんだっ!?」、カールは驚いて振り向く。直後、彼はその何者かの蹴りを受けて吹き飛ぶ。
「グォォォォォッーーー!」
それは、高さ3メートルはあるだろうか、特大サイズのポイズン・リザードだった。キャンディスが震える声で言う。
「まさか、あの雄たけびで仲間を呼んだ!?」
彼女の視界の隅に、倒れているカールの姿が映る。あわてて彼女は魔法を撃つ。
「カールさん、しっかり!」
ヒーリングの光球が飛び、カールをいやす。カールの体から少しの痛みが消える、彼は体を起こそうとする。瞬間、発生する激痛。「ぐっ……!」。その様子を見ているレーヴが言う。
「やばいよキャンディス、ありゃ重傷だ!」
「そんな……!」
「ただのヒーリングじゃだめだよ、もっと強い回復魔法じゃないと!」
「でも!」
二人が騒いでいるところへ、リッチーが走ってやって来る。
「おい、二人とも!」
レーヴが返す。
「リッチー!」
「こいつぁーヤクいぜ、どうする!?」
「どうするって、このままじゃ脱出できないよ!」
「当たり前だろ、カールさんほったらかして俺たちだけ帰れるか!」
「でも、あんなデカブツ、あたしたちじゃ勝てないよー!」
レーヴはリザードを指さす。ポイズン・リザードは普段のギンたちでも苦戦する相手、それなのに、新たにやってきたリザードは特大サイズときている。その上、今のギンたちは疲労していて、頼みのカールもほぼ戦闘不能になっている。リッチーの背筋に冷や汗が流れる。
「……それでも、やるしかねぇ」
「まさか、戦うの?」
「あいつを殺る以外の名案があんのかよ!?」
「勝てないよ!」
「うるせぇ! 勝つか負けるか、やってみなけりゃ分からねぇ!」
そう言ったリッチーの声は震えている。リザードのうなり声、「グォォォ……!」。リザードの視線は、前方にいるギンをとらえている。その様子にリッチーたちも気づく。
「もう戦いは始まってるんだ、どのみちやるしかねぇんだよ!」
彼はクロス・ボウを握りしめる。彼のおんぼろなクロス・ボウは、リザードに対して力不足。それは、先ほどの戦いで大したダメージを与えられなかったことによって、証明されている。
勝ち目は薄い。だが、もはや逃げ場はない。リザードを殺すか、リザードに殺されるか、結末はどちらか一つだけ。文字通り「必死」にならなければ生還できない。
勝利への道はどこにある?
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