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第1章 下流階級で低収入の俺が本気出したら無双してしまった

第28話 チンケな情報戦 Killing time

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 ドアが開ききると同時に踏みこむ。四方から凄まじい量の弾丸が飛んでくる。
 バリアで無力化しつつあたりを確認、右に見える柱の陰へ走りこむ。

 呼吸を整えながらレーダーを見ると、マサキングは別の柱に隠れたらしい。やや不満な展開だが、まぁとりあえず良しとしよう。
 俺はこの部屋のマップを立体映像で呼び出す。ふむ……学校の体育館に似ているな。上部にキャットウォークがあるところまでそっくりだ。

 あちらこちらには数本の柱が立ち、天井を支えている。そして最奥、現実でいえば演壇なんかが置かれている所に、☆のマークが輝いている。
 だったら☆を守る幹部がいるはずだ。まずはそいつの正体を確かめる。俺は有声の通常回線で言う。 

「おい! 誰かいるのは分かってんだ、答えろ!」

 最奥から聞きなれたマヌケ声が返ってくる。 

「クソ野郎、来やがったな……!」
「セブン。やっぱりお前が指揮官か」
「当ッたり前だろ! バーバリアン、返り討ちにしてやるからかかってこい! 逃げ隠れするな!」
「んなん、いちいち言われなくても……」

 適当に返事して考える。セブンの正確な位置はどこだ? 奴の声の反射具合から割り出せればいいんだが、情報が少なすぎて無理だ。
 しょうがねぇ、もう少しお喋りに付き合おう。

「セブン、実はちょっと謝ろうと思ってよ」
「はぁ?」
「いやー、何度も何度も殺してすまねぇ。いくらゲームといったって、さすがにこれは……」

 乾いた発砲音がパン、パンと鳴り響き、俺の近くに何発かの弾丸が飛んでくる。セブンの怒鳴り声がこだまする。

「ナメてんじゃねぇぞクソが! 出てこい、ビビり! チキン!」
「こんな状況で誰が行くか」
「てめぇ!」

 パン、パン! さらに弾が飛んでくる。俺にとってはありがたい、そうやってセブンが攻撃するほど、所在地を割り出しやすくなる。
 俺はチャット回線を開いてマサキングと話す。

(今ので奴の位置が分かった。おそらく、上のキャットウォークに陣取ってる)
(へぇ……。で、どうする?)
(俺はバリアを張って上フロアを攻める。お前はこのまま地上を進み、援護してくれ)
(あいよ!)

 会話を打ち切り、フェアレーターを握りなおす。バリアの残量を確認する。
 98パーセントってところか。これだけあれば大丈夫だろう、しかし、もし途中でゼロになったら……どうする?

 ふん。その時はその時さ。どうにでもなれ。
 今は覚悟を決めて突撃するだけよ!
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