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第2章 2084年
第45話 プライドの問題 Fool(s)
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インターネットにいくつも存在する、各種ゲームの攻略サイト。それらの中には、パスワードが必要な閉鎖区画を持つものがある。
そういう所の秘密掲示板に書きこまれるネタは、たいていが違法なシロモノだ。規約違反の裏技だの、チート・ツールの売買だの、うかつに手を出せば火傷する。
ところで、やりとりされるネタの中には、特定プレイヤーの個人情報も含まれる。
穏便なものを挙げるなら、その人物のレベルや装備、よくログインする時間や好みの狩り場。
危険なものはキリがない。住所や本名、電話番号、職場や学校の名前や所在地、挙句の果てにはクレジット・カード等の債務状況まで。
いったい誰がこんな情報を調べ、ネットに流しているのだろう? それはわからないが、こういったことは確実に言える。
その1。現代社会においては、本人が知らないうちに本人の個人情報がやり取りされる。
その2。こういった情報漏洩を防ぐことはできない。なぜなら、企業や諜報機関はあらゆる方法で個人情報を集め、時には違法を承知で利用するから。
さて。今、ベアとタイガーは、あるサイトの閉鎖区画に来ている。
アバターの装いは、両人どちらもスウェットだ。正体を隠すため、顔にガイ・フォークスの仮面を着けている。
彼らは歩き回り、あちこちの秘密掲示板を見ていく。
やがてある一つの前で足を止める。タイガーが小声で内容を読み上げる。
「グリニング・パンプキンズ。リーダー、セブン。
最近はデッド・シティでの目撃情報が多く、そこに潜伏している可能性が高い……」
不安げにベアが聞く。
「マジネタかな?」
「そりゃガセの可能性は否定できねぇよ。でも、ビビってたらなんもできねぇ。信じてみようぜ」
「うーん……」
「実際、表の掲示板でも噂になってるじゃねぇか。セブンはデッド・シティで殺し合いに明け暮れてるって」
「へぇ。でもさ、どうしてセブンはわざわざデッド・シティに行くんだ?
自分は狙われてる身だって分かってるんだろ? だったらPK可能ダンジョンに行かず、おとなしく禁止ダンジョンで遊んでればいいのに……」
侮蔑の笑いを浮かべ、タイガーは話す。
「プライドの問題だろ。セブンはきっとこう思ってるさ。
”クラッシュ・シティの支配者たる俺が、ビビって禁止ダンジョンに行くなんてあり得ない。
あえて可能ダンジョンに行き、襲ってくる奴らを返り討ちにしてやる”」
「バカな奴……」
「まぁどう遊ぶかは個人の自由だ。あいつが戦いをお望みなら、付き合ってやろうぜ」
「了解」
二人は掲示板を後にする。
数日後、ベア、タイガー、ポールの3人はデッド・シティを訪れた。言うまでもないがPK可能ダンジョン、しかも多発区域だ。
ゴースト・キラーのような常時ステルスのモンスターも存在し、普通に探索するだけでも気が抜けない。
もちろんベアたちは入念に準備してきている。
最上級のモバイル・ジャマーを宙に浮かべ、バッグに大量の回復アイテムを詰めこみ、各種スキルもこのダンジョンのために調整してある。
興奮した様子のポールが話す。
「戦場に行く兵士って、こんな気分なんですかね?」
タイガーが返す。
「バカ、こりゃゲームだ! 現実に比べりゃよっぽどヌルいよ」
「それでもですよ、俺らはこれからPKにいくわけです。殺しをするわけです。武者震いっていうか、やっぱテンションあがりますよ。
ベアさんだって緊張してるじゃないですか」
「はは……。そりゃあね……」
本音を言えばベアは怖いのだ。果たして生きて帰れるのか? 首尾よくセブンを仕留められるか?
タイガーが不敵な笑いを浮かべ、励ますように言う。
「ほら、いこうぜ! モタモタせずにさ! 敵はデッド・シティにあり!」
彼は勢いよく一歩を踏み出す。シティの中へ進んでいく。
そういう所の秘密掲示板に書きこまれるネタは、たいていが違法なシロモノだ。規約違反の裏技だの、チート・ツールの売買だの、うかつに手を出せば火傷する。
ところで、やりとりされるネタの中には、特定プレイヤーの個人情報も含まれる。
穏便なものを挙げるなら、その人物のレベルや装備、よくログインする時間や好みの狩り場。
危険なものはキリがない。住所や本名、電話番号、職場や学校の名前や所在地、挙句の果てにはクレジット・カード等の債務状況まで。
いったい誰がこんな情報を調べ、ネットに流しているのだろう? それはわからないが、こういったことは確実に言える。
その1。現代社会においては、本人が知らないうちに本人の個人情報がやり取りされる。
その2。こういった情報漏洩を防ぐことはできない。なぜなら、企業や諜報機関はあらゆる方法で個人情報を集め、時には違法を承知で利用するから。
さて。今、ベアとタイガーは、あるサイトの閉鎖区画に来ている。
アバターの装いは、両人どちらもスウェットだ。正体を隠すため、顔にガイ・フォークスの仮面を着けている。
彼らは歩き回り、あちこちの秘密掲示板を見ていく。
やがてある一つの前で足を止める。タイガーが小声で内容を読み上げる。
「グリニング・パンプキンズ。リーダー、セブン。
最近はデッド・シティでの目撃情報が多く、そこに潜伏している可能性が高い……」
不安げにベアが聞く。
「マジネタかな?」
「そりゃガセの可能性は否定できねぇよ。でも、ビビってたらなんもできねぇ。信じてみようぜ」
「うーん……」
「実際、表の掲示板でも噂になってるじゃねぇか。セブンはデッド・シティで殺し合いに明け暮れてるって」
「へぇ。でもさ、どうしてセブンはわざわざデッド・シティに行くんだ?
自分は狙われてる身だって分かってるんだろ? だったらPK可能ダンジョンに行かず、おとなしく禁止ダンジョンで遊んでればいいのに……」
侮蔑の笑いを浮かべ、タイガーは話す。
「プライドの問題だろ。セブンはきっとこう思ってるさ。
”クラッシュ・シティの支配者たる俺が、ビビって禁止ダンジョンに行くなんてあり得ない。
あえて可能ダンジョンに行き、襲ってくる奴らを返り討ちにしてやる”」
「バカな奴……」
「まぁどう遊ぶかは個人の自由だ。あいつが戦いをお望みなら、付き合ってやろうぜ」
「了解」
二人は掲示板を後にする。
数日後、ベア、タイガー、ポールの3人はデッド・シティを訪れた。言うまでもないがPK可能ダンジョン、しかも多発区域だ。
ゴースト・キラーのような常時ステルスのモンスターも存在し、普通に探索するだけでも気が抜けない。
もちろんベアたちは入念に準備してきている。
最上級のモバイル・ジャマーを宙に浮かべ、バッグに大量の回復アイテムを詰めこみ、各種スキルもこのダンジョンのために調整してある。
興奮した様子のポールが話す。
「戦場に行く兵士って、こんな気分なんですかね?」
タイガーが返す。
「バカ、こりゃゲームだ! 現実に比べりゃよっぽどヌルいよ」
「それでもですよ、俺らはこれからPKにいくわけです。殺しをするわけです。武者震いっていうか、やっぱテンションあがりますよ。
ベアさんだって緊張してるじゃないですか」
「はは……。そりゃあね……」
本音を言えばベアは怖いのだ。果たして生きて帰れるのか? 首尾よくセブンを仕留められるか?
タイガーが不敵な笑いを浮かべ、励ますように言う。
「ほら、いこうぜ! モタモタせずにさ! 敵はデッド・シティにあり!」
彼は勢いよく一歩を踏み出す。シティの中へ進んでいく。
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