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第3章 七寺英太の革命日記
第53話 格差社会 I know I'm born to lose
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仕事。じつに俺を憂うつにする言葉だ。やらずにすむならそうしたい。
しかし、働かなければ食っていけないし、それにLMのこともある。
あいつに”怠け者”と認定されたら、情報局に捕まってリハビリ施設にぶちこまれ、キツい強制労働をさせられる。
そんな地獄を味わうくらいなら、今の仕事を真面目にこなしてたほうがいい。
気だるい午後。俺は警備会社の制服に身を包み、仲間と共に、下民地区の某所にあるATMの金を回収し始める。
これは危険な仕事だ。いつ反社会的な奴らに襲われるか分からない。
もっとも、俺は学生時代に空手をやってたんだ。貧乏なチンピラなんぞに負けるものか。クソ。
やがて仕事が終わり、俺は居酒屋にシケこむ。カウンター席に座ってビールを飲み、昔の友達を相手に愚痴る。
「なぁ、広田。俺たちどうしてプロの空手家になれなかったんだろうな」
広田はジン・トニックをひとくち飲み、言う。
「運が悪かった。努力が足りなかった。そんなところだ」
「マジでそう思ってんのか」
「まさか……」
「思ってることを素直に言えよ。なぁ?」
「分かってる……」
うんざり顔で広田は語る。
「プロになれなかった本当の理由。それは格差だよ。貧富の格差」
「話してくれ」
「金持ちの子どもは、生まれる前から恵まれてる。親が大金を払って受精卵の遺伝子をいじり、優れた肉体を与えるんだ」
「デザイナー・チャイルドってやつだな」
「うらやましい限りだよ。俺たち貧乏人にはマネできない……」
俺はつまみの焼き鳥を食い、言う。
「で、そういう子どもは優れた教育だって与えてもらえるわけだ。
赤ん坊の時から栄養ある食事を摂り、プロのコーチが運動力を鍛える。もしケガしても安心だ、軽くひねった程度でもすぐ一流病院に行ける。
じゃあ貧乏人は? そんなのあり得ねぇ。お粗末な食事、我流のトレーニング、ケガしたら応急手当して終わり。
医者にかかれるのは、骨折みたいな大ケガをした時だけだ。クソッ……」
ビールを飲み、俺は話し続ける。
「金持ちの子どもは、こうやって生まれた瞬間から勝ち組の道を歩く。そして貧乏人は、逆に負け組の道を歩き続けるってわけだ。
これだけお互いの差があったら、貧乏人が成り上がるなんて不可能じゃねぇか。
その証拠に、オリンピックに出たり科学論文で賞を取ったり、そういうエリートはみーんな金持ちの出身だ。
貧乏人は、どれだけ努力したって金持ちに勝てない」
「だから俺たちはプロの空手家になれなかった……」
コップの中が空になる。俺はホール・スタッフを呼び、追加のビールを頼む。
早く持ってきてくれ、飲まなきゃやってられねぇ!
しかし、働かなければ食っていけないし、それにLMのこともある。
あいつに”怠け者”と認定されたら、情報局に捕まってリハビリ施設にぶちこまれ、キツい強制労働をさせられる。
そんな地獄を味わうくらいなら、今の仕事を真面目にこなしてたほうがいい。
気だるい午後。俺は警備会社の制服に身を包み、仲間と共に、下民地区の某所にあるATMの金を回収し始める。
これは危険な仕事だ。いつ反社会的な奴らに襲われるか分からない。
もっとも、俺は学生時代に空手をやってたんだ。貧乏なチンピラなんぞに負けるものか。クソ。
やがて仕事が終わり、俺は居酒屋にシケこむ。カウンター席に座ってビールを飲み、昔の友達を相手に愚痴る。
「なぁ、広田。俺たちどうしてプロの空手家になれなかったんだろうな」
広田はジン・トニックをひとくち飲み、言う。
「運が悪かった。努力が足りなかった。そんなところだ」
「マジでそう思ってんのか」
「まさか……」
「思ってることを素直に言えよ。なぁ?」
「分かってる……」
うんざり顔で広田は語る。
「プロになれなかった本当の理由。それは格差だよ。貧富の格差」
「話してくれ」
「金持ちの子どもは、生まれる前から恵まれてる。親が大金を払って受精卵の遺伝子をいじり、優れた肉体を与えるんだ」
「デザイナー・チャイルドってやつだな」
「うらやましい限りだよ。俺たち貧乏人にはマネできない……」
俺はつまみの焼き鳥を食い、言う。
「で、そういう子どもは優れた教育だって与えてもらえるわけだ。
赤ん坊の時から栄養ある食事を摂り、プロのコーチが運動力を鍛える。もしケガしても安心だ、軽くひねった程度でもすぐ一流病院に行ける。
じゃあ貧乏人は? そんなのあり得ねぇ。お粗末な食事、我流のトレーニング、ケガしたら応急手当して終わり。
医者にかかれるのは、骨折みたいな大ケガをした時だけだ。クソッ……」
ビールを飲み、俺は話し続ける。
「金持ちの子どもは、こうやって生まれた瞬間から勝ち組の道を歩く。そして貧乏人は、逆に負け組の道を歩き続けるってわけだ。
これだけお互いの差があったら、貧乏人が成り上がるなんて不可能じゃねぇか。
その証拠に、オリンピックに出たり科学論文で賞を取ったり、そういうエリートはみーんな金持ちの出身だ。
貧乏人は、どれだけ努力したって金持ちに勝てない」
「だから俺たちはプロの空手家になれなかった……」
コップの中が空になる。俺はホール・スタッフを呼び、追加のビールを頼む。
早く持ってきてくれ、飲まなきゃやってられねぇ!
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