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第11章 この社会の平和を守るために

第176話 革命戦団を壊滅せよ Time to rise

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 特別調査室の情報班が働く区画にデンマと理堂が入っていく。釣り人の服を着たままの彼らは入り口を通り、廊下を歩き、森が待つ小さな会議室のドアを開ける。
 椅子に座っている森はすぐさま叱り飛ばす。

「遅いぞ! もっと早く来い!」

 デンマと理堂は「すまん!」「すみません」と謝り、ドアを閉めつつ手近な席に腰かける。二人の姿をじろじろ見ながら森が言う。

「なんなの、その恰好?」

 苦笑いを浮かべたデンマが答える。

「はは、悪りぃ。理堂と二人で釣りをしてたんだ」
「で、緊急連絡を受けて、着替える暇もなくここに来た、と?」
「そゆこと……」
「(やや苦い顔をして、)……まぁ事態が事態だし、今回は許してあげる。
 じゃ、さっそく本題に入るけど。ついさっき、西地区をパトロール中のドローンが不審者数名を発見した」
「不審者ってなんだよ」
「とりあえずこれを見て……」

 森は右耳のソケットの無線機から脳波を飛ばし、机の中央に設置された立方体の機械を起動させる。機械は音もなく仕事を開始し、宙に映像を投影する。
 その映像には、雨によってステルス状態が強制解除されていく治たちの姿がとらえられている。治が水たまりで転ぶ場面を見ながら、理堂が森に聞く。

「何もないところからいきなり出現……。どういうことですか?」
「詳しいことはまだ調査中だ。一つ言えるのは、こいつらはとんでもなくうさん臭いってこと……」

 デンマが言う。

「どうせテロリストだろ。闇マーケットで仕入れたステルス服を使って逃げてる途中、雨に降られて正体がバレた」
「実際その考察の通りでしょうね」
「仮にテロリストだったとしてよぉ……。どうする?」
「冬川室長の考え次第だけど、まぁ十中八九は実力行使で叩きつぶすことになるでしょ」
「めんどくせぇ……」
「私は今から情報班と共に、こいつらの正体を確かめる。いずれ室長から命令が出ると思うから、あんた達はそれまで待機。いつでも動けるよう準備しといて」
「了解」

 理堂もデンマに続いて「了解です」と答え、それから森にたずねる。

「すみません、質問です。もし出撃となった場合、僕はどうなるんですか? また前回と同じく留守番?」
「いや、今回は出撃だ」
「じゃあ僕もついに実戦ですか……」
「安心して、危険なところには配置しないから」
「はい」
「あんたはとりあえず家に帰って休息しなさい。つまらないケガなんかしないよう、じゅうぶん気をつけて」
「了解です」

 事態は動き出した。もう誰にも止められない。



 情報班はその日の夜のうちに仕事を終え、不審者の正体が治たちであることや、彼らが自由回復革命戦団のアジトに潜伏中であることなどを解明した。
 また、以前にチェスナット社(の梅下)から寄せられた通報をもとに調査を行い、治がなにか危険な計画を企んでいる可能性を指摘した。

 森はこれらの情報を冬川に伝え、冬川は熟慮したのちに決断し、命令を発した。

「夜が明けたのち、戦団の壊滅作戦を実行する。全隊員、心して奮闘せよ」

 いよいよ正念場が訪れる。
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