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序章 ウノの公式ルール
ウノをやるって、ウソだろ?
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こんなことを君に言うのは、正直、俺自身もどうかと思うんだけど、しかし、生きてると愚痴りたくなる時もあるだろ? 今の俺が、まさにそんな気分なんだな。まぁそういうわけで、思うことを打ち明けてみようと思うのさ。よかったら、少し俺に付き合ってくれよ。君を退屈させないよう、なるべくうまく喋るからさ。
俺の名前は二井見虎吉(にいみ とらきち)っていって、読み辛い名前なんだけど、親がつけてくれた名前だ、文句はやめよう。そんなことより重要なのは、俺が渋谷にある桜葉高校に通う男子生徒で、英語研究会に所属してるってことだ。そしてこの英語研究会って奴が、ちょっとした難物なワケ。少し詳しく語ろう。
つまりね、これは「部活」ではないんだ。研究会、すなわち「同好会」ってわけ。いちおう学校からは存在を認められてるけど、ぶっちゃけ扱いは悪い。当然、予算なんてものは無い。顧問の先生だっていない。まぁそのおかげで、俺や仲間たちはお気楽な毎日を過ごせているんだけどさ。
それでね、話の続きだけど。俺の学校には「部活棟」なる建物があって、いくつかの運動部と大半の文化部がそこに詰め込まれてるんだ。我らが英語研究会は、5階の片隅……つまり、たどり着くのが面倒で、滅多に人が来ない、そんなとこにある。そういうわけだから、当然、先生たちの監視の目なんか届かない。それをいいことに、英語研究会は校則無視でやりたい放題だ。英語なんかロクにやらずに毎日遊んでばかりいる。いや、俺は英語をしたいんだけどね? ホントだよ、嘘じゃないよ。ただ、会長がうるさいもんだから、仕方なく遊んで……。よし、じゃあ次はそのへんの話だ。
英語研究会の会長は、フラニーって名前の女子生徒だ。学年は二年生。イギリスからの帰国子女で、研究会を始めようって言いだした張本人だ。白人の血が少し混じってるらしくて、日本人離れした色白な肌と金髪が特徴的だ。
フラニー会長の本名は「山本ひとみ」って言うんだけど、本人はなぜか、この名前を嫌がってるんだ。彼女は俺たち会員に「あたしのことは”フラニー”と呼びなさい!」って命令する。だから俺も、彼女をフラニーって呼んでる。フラニーという名前の元ネタは何なのか、俺はそれを知らない。会長本人が言うには、お気に入りの小説の主人公の名前から採用したらしい。ふーん。アホっぽそうな会長なんだけど、読書とかするらしいんだ。意外なことだよ、まったく。
さて、そいじゃあボツボツ本題に入ろう。その日、俺が研究会の部屋に入ると、すでに俺以外のみんなが席に座っていた。フラニー会長、その他3人だ。そして部屋中央の丸テーブルには、ウノの箱があった。ウノって、ほら、色とりどりの手札を捨てていって上がりを目指す、例のあれだ。俺はフラニー会長に質問した。
「会長、なんでウノがあるんですか?」
彼女は自信満々に答えた。
「今日はウノをやるからよ!」
俺は思った、(ウノをやるって、ウソだろ?)。しかしみんなの顔を見たら、どいつもこいつもやる気の顔だった。これじゃ、俺1人が反対したところでどうにもならない。そういうわけで、俺もウノに参加することにしたのさ。まったく、こいつら本当、英語なんかやらないんだから。けど、いつものことだ。(文句を言っても始まらない、せいぜい楽しまなくちゃ)、そう思ったね。
いやぁまったく、あの時点じゃ、あんなことになるとは予想もしてなかったさ。
俺の名前は二井見虎吉(にいみ とらきち)っていって、読み辛い名前なんだけど、親がつけてくれた名前だ、文句はやめよう。そんなことより重要なのは、俺が渋谷にある桜葉高校に通う男子生徒で、英語研究会に所属してるってことだ。そしてこの英語研究会って奴が、ちょっとした難物なワケ。少し詳しく語ろう。
つまりね、これは「部活」ではないんだ。研究会、すなわち「同好会」ってわけ。いちおう学校からは存在を認められてるけど、ぶっちゃけ扱いは悪い。当然、予算なんてものは無い。顧問の先生だっていない。まぁそのおかげで、俺や仲間たちはお気楽な毎日を過ごせているんだけどさ。
それでね、話の続きだけど。俺の学校には「部活棟」なる建物があって、いくつかの運動部と大半の文化部がそこに詰め込まれてるんだ。我らが英語研究会は、5階の片隅……つまり、たどり着くのが面倒で、滅多に人が来ない、そんなとこにある。そういうわけだから、当然、先生たちの監視の目なんか届かない。それをいいことに、英語研究会は校則無視でやりたい放題だ。英語なんかロクにやらずに毎日遊んでばかりいる。いや、俺は英語をしたいんだけどね? ホントだよ、嘘じゃないよ。ただ、会長がうるさいもんだから、仕方なく遊んで……。よし、じゃあ次はそのへんの話だ。
英語研究会の会長は、フラニーって名前の女子生徒だ。学年は二年生。イギリスからの帰国子女で、研究会を始めようって言いだした張本人だ。白人の血が少し混じってるらしくて、日本人離れした色白な肌と金髪が特徴的だ。
フラニー会長の本名は「山本ひとみ」って言うんだけど、本人はなぜか、この名前を嫌がってるんだ。彼女は俺たち会員に「あたしのことは”フラニー”と呼びなさい!」って命令する。だから俺も、彼女をフラニーって呼んでる。フラニーという名前の元ネタは何なのか、俺はそれを知らない。会長本人が言うには、お気に入りの小説の主人公の名前から採用したらしい。ふーん。アホっぽそうな会長なんだけど、読書とかするらしいんだ。意外なことだよ、まったく。
さて、そいじゃあボツボツ本題に入ろう。その日、俺が研究会の部屋に入ると、すでに俺以外のみんなが席に座っていた。フラニー会長、その他3人だ。そして部屋中央の丸テーブルには、ウノの箱があった。ウノって、ほら、色とりどりの手札を捨てていって上がりを目指す、例のあれだ。俺はフラニー会長に質問した。
「会長、なんでウノがあるんですか?」
彼女は自信満々に答えた。
「今日はウノをやるからよ!」
俺は思った、(ウノをやるって、ウソだろ?)。しかしみんなの顔を見たら、どいつもこいつもやる気の顔だった。これじゃ、俺1人が反対したところでどうにもならない。そういうわけで、俺もウノに参加することにしたのさ。まったく、こいつら本当、英語なんかやらないんだから。けど、いつものことだ。(文句を言っても始まらない、せいぜい楽しまなくちゃ)、そう思ったね。
いやぁまったく、あの時点じゃ、あんなことになるとは予想もしてなかったさ。
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