双人形ハルカカナタの異世界生活

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人形首が取れる

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部屋から退室した私達は素早く移動しながら、笑いあっていた。


(ははははは!!)

(ははははは!!やった!やったね!!)

(これで自由になれるよ!巨体いい奴!!)


奏那はクルンと回りながら喜んでいた。


(よし!とりあえず、二人だけでゆっくり話し合える場所を探そう!遥の探知魔眼使って見て。)


私は頷いて、探知発動!と念じて見た。すると、頭の中に地図のようなものが浮かび、大量の青い点と赤い点がブワッと広がった。範囲が広すぎたらしい。大量の赤と青のツブツブに鳥肌が立ちそうだ。
うわぁ!!っと叫びながら、範囲を狭くするように念じる。すると、地図はどんどん拡大し、私達の現在入る位置から100メートルくらいの範囲を示し出した。


(できた!念じると出来るみたい。範囲が広いと気持ち悪い映像になるし、特定が難しいから狭い範囲でしか使えないよこれ。とりあえず、人が居ない場所見つけたから付いてきて。)


そう伝えながら、奏那と近場の部屋に入る。
そこは、20畳ほどの広さがあり、大きな本棚にぎっしりと本が詰まっている、小さな古本屋みたいな部屋だった。


(ふぅ、良かった!とにかくさっきの巨体に感謝だね、自由に動けるし!なにより、"この国の敵以外に魔眼攻撃禁止"だっけ?)

(ふふふ!この国の敵以外ってことは、私達自身には魔眼を使ってもいいってことだよね!中身はこの国の敵だし!攻撃する訳じゃないし!)

((ふはははははは!!))


私達は、お互いに向き合い、顔を付き合わせて笑いあった。
人形の顔が無表情であるのに、頭に響く笑い声がシュールでまた笑いがこみ上げる。
ひとしきり笑いあった私達は、奏多の魔眼を使用してみることにした。


(よし、まずは私自身で試してみるね!)


そう言って、首に手を当てようとする奏那を慌てて止める。


(待って待って!怖すぎるわ!まずは、その辺の物で試して見ようよ!)

(あ、そうだね。)


納得したように頷きながら、近くの本棚に手を伸ばした。
すると、本棚丸々一つが瞬く間に消える。


(出来た!)

(おお~!すごい!じゃあ、また出して見て!)


嬉しそうな奏那に、私も喜ぶ。

そして、消した時と同じように、奏那の手を伸ばした先に、また本棚が先程と全く同じ状態で出現する。

それを何度か繰り返し、次は指定した本だけを消せるのかを試した。いくつかの本を消して、指定した本を出現させてゆく。
奏那の感覚では、やはりマジックバックのような物みたいだ。魔眼の中に、物が入った感覚があるようで、消した順番などは関係なく、指定した物を念じると取り出せることがわかった。


(すごい!これで、出来るよ!よし、今度こそやってみる!)

(うん、私からやってみて!)

(おっけー!)


奏那の手が、私の首の後ろに触れた。

その瞬間、私の視界が倒れていき、転がった。


(え?)

(ぎゃぁぁああああ!!)


すごい声で奏那の叫び声が頭に響いた。

なんと、奏那は私の首ごと消してしまったらしい。

どうしようどうしよう!っとパニックになりながら、私の頭を抱きしめてうろうろしている。


(奏那!!落ち着いて!大丈夫だから!かーなーたー!!)


私の声が聞こえないくらい、大声で騒いでいた奏那に、負けないくらいの大声で呼びかける。
しばらくそんな状態が続き、辛抱強く呼びかけていると、やっと奏那が落ち着いてきた。


(ごめん!ごめんね!こんなつもりじゃなかったんだけど、死んでないよね?)

(大丈夫だよ。人形だし。痛みも何にもないよ!)

(よかった。本当にごめんね、今戻すからね。)


慎重に私の頭を持ち上げて、元の位置に持ってくると、ゆっくり手を離した。


(はぁ~~。よかった。戻った。)


奏那は両手、両膝を床につけて、大きくため息を吐いた。


(ははは!まぁ、失敗は成功のもとって言うし、次こそ魔法陣だけを意識して消してみてよ。)


奏那は、ゆっくりと体を起こして、また私の首に手を置いた。


(できた!魔法陣が、魔眼の中に入った感覚がする!)

(おお~!ありがとう!さぁ!次は奏那の番だよ!)


うん、と頷いて、奏那は自分の魔法陣を消した。
これで、私達は自由になった。



しばらくお互いを抱きしめ合い、喜びを分かち合った後は、人形の姿の褒め合いになった。


(奏那は、金色と緑の目だね!可愛いな~~。こんな人形なら、家に飾ってもいいくらい!)

(んふふ。遥も可愛いよ!目は銀色と青だね!お互いオッドアイなんだね!美少女最高!チート能力に、見かけもチートとか!最高!!)


デレデレと照れながら、お互いを褒め合う。


(自分の姿見たいな~。)


うんうん、見たいよね。


(あ、そうだ。爪のところにはまってる魔石で氷の魔法使えるんじゃない?鏡みたいな氷を作り出せないかな?)

(おお~!やってみよう!でも、その前にここにある本さ、全部仕舞って置いて。)

(何に使うの?)

(わかんないけど、あの巨体の部屋から近いってことは何か重要な情報があるんじゃないかと思って。それに、読むことができるみたいだし、暇な時にでも読んでみたい。)

(相変わらず読書が好きだねぇ~。わかった、仕舞っとく。でもさ、聞くことも読むことも出来るのに話すことが出来ないのは不便だね。)


奏那はそう言いながら、次々と本棚ごと消していく。


(うん、それもどうにか出来るんじゃないかと思ってる。この爪の魔石の話は聞いたじゃん?いずれは、魔石職人とかいう人に会って作ってもらえるか頼んでみよう。)


(そうだね!)


全ての本棚を消し終わった奏那と並んで立ち、魔石を使ってみる。
鏡のような氷をイメージして手を前に伸ばす。
すると、綺麗な氷が出現した。
透明度が高く向こう側がはっきりと見える。とても綺麗でうっとりと眺めていたが、自分達の姿を移すことは出来なかった。


(ぐぐぐっ。銀紙が欲しい!!)


奏那は氷の周りをぐるぐる回りながら、悔しそうにしていた。
その姿を眺めながら、ふと奏那から届いた三連ドヤ顔を思い出した。


(あ、私達さ、話だけじゃなくイメージも送り合えるよね?)

(あ!)


そして、お互いを目の前にして、イメージを送りあった。


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