自堕落魔女とホットコーヒー

藤枝ゆみ太

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序章

自堕落魔女のお引っ越し

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 はぁ……

 開口一番ため息が出てしまうのは、役所での手続きの多さと、その面倒くささのたまものだと思う。

 住み慣れた埼玉県の田舎から、全く別の土地へと行くのだってストレスなのに、さらにこんな面倒くさすぎる手続きときたもんだ。

 そりゃため息だってついて出るだろうと、待合室のベンチに腰掛けた女性は思っていた。

「……」

 隣をちらりと見ると、相方がうつらうつらしている。

 そんな姿をぼーっと見ていると、 やっと順番がまわってくる。

「38番のみいさーん」

「あ、はい」

 呼ばれた窓口へ行き、 各種手続きを済ませる。

 もうこれで何度目か分からない手続きだ。

「はい、ありがとうございます。あ、みいさんは魔女ですか。では、警察でも専用手続きお願いします」

「あ、でも魔女の仕事してないんですけど……」

「すみません、決まりですのでー」

 窓口のお姉さんはにっこりしながら次の番号を呼び出した。





*****





「警察にも行かなきゃだよ」

 役所を出て車に乗り込んだみいは、憂鬱ゆううつそうに呟いた。

「そうだねぇ。でも元々行かなきゃいけない場所だったからね。都合良かったんじゃない?」

 運転席に座る相方はそう言って、さくさく警察へと向かって走り出した。

「そうなんだけどさ、なんだか怒涛どとうの手続きのオンパレードで疲れちゃって」

「まあねぇ、ここまで多いとは僕も思わなかったよ。手続きって面倒くさくていやになっちゃうよね」

「うん……」

「はい、着いたよ」

「はやっ」

「意外と近かったね。今日はあとここだけだから、頑張ろ」

 警察の建物に入り、ここでもまた二人は手続きを行い、みいはさらに専用手続きをしに、別の窓口へと向かった。

 専用窓口には獣人じゅうじんまじない士のおじさんが手続き中だったのでベンチでしばし待つ。

「えーと、三番のみいさんですね。魔法系ジョブのカード提示お願いします」

「はい」

 財布から取り出したジョブカードを渡すと、係りのお兄さんは頷いてパソコンをいじりだした。

「はい、確認しました。ではこちらの水晶玉に手をかざしてください」

 みいは言われるがままに手をかざすと、水晶玉は仄かに光るとすぐに元に戻る。

 カードと水晶玉の二つで魔法系統の確認をするのだろう。

「はい、確かに。ではみいさんの千葉での魔法系ジョブカード【魔女】をお作りしますね」

「はい」

 みいは財布に新たなジョブカードをしまい、相方と合流した。

「終わった?」

「うん」

「じゃあ行こっか」

 二人は警察から出ると、車に乗り込み町を走り出した。

 これから暮らす、実家の町より少しだけ賑やかな町だ。

「ここで暮らすんだね……」

 みいは流れる町並みを見ながら、そう小さく呟いたのだった。





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