自堕落魔女とホットコーヒー

藤枝ゆみ太

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第一章

自堕落魔女のアパート暮らし

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 町を走る車の中で、二人は空腹を覚えていた。

 まあ無理もない。朝から慣れない手続き手続きの連続で、気付けば昼を軽く回っていたのだ。

 ぐにゅ。二人のお腹が鳴り止まない。

「お腹減ったねぇ。ねぇ、今日はもう疲れちゃったし、何か食べてこうよ」

「うん、ここらへんは何があるの?」

「ここらへんは食べ物屋さんならあちこち色々あるよ。僕お寿司が良いなぁ。あ、でもみいちゃんはなまもの、苦手なんだったっけ」

「得意ではないけど嫌いってほどでもないから寿司で大丈夫だよ」

「本当?やったーっ」

 相方はウキウキしながら、近くにあった回転寿司屋の駐車場に入って行く。

「お寿司だーい好きっ」

「ははっ、本当寿司好きだよねぇ」

「うん、お寿司なら毎日でもいいよ。お金がもたないけどね」

 二人はテーブルにつくと、タッチパネルで寿司を頼む。

 相方はまんべんなく色々頼んでは食べているが、みいは大体イカ、ネギトロの軍艦、(茹でた)エビをローテーションで頼んでいた。

「……みいちゃん、やっぱ他のとこで食べた方が良かったかなぁ……」

「え?何で?」

「だって、僕ばっかり色々食べてるのに、みいちゃんはイカとかばっかで、何か僕申し訳ないよ……」

「そんなこと無いよ。ほら、コーンも食べるし」

「そうだけどさぁ。でも何かさぁ……」

「それに、好きで同じの食べてるんだからそこ気にすること無いってば」

「うーん、本当?」

「本当だってば」

「そかぁ。なら良いんだけどさ」

 相方も気にしてるんだなぁと思いつつ、結局基本その寿司ローテーションで腹一杯寿司を食べた。

 相当のお茶も飲んだので、腹からちゃぽんっ、と音がなる。

「いやぁ、満足満足♪久々に食べたよー」

「私も、今日はエビが個人的にヒットだったかも」

 満腹の二人はアパートまで車を飛ばし、重たい腹を抱えながら帰宅した。

 この秋からお世話になるアパートは、以前目を付けていた物件が他の客にタッチの差で取られてしまい、それで慌てて探して決めた場所なのだ。

 持っていかれた物件と同じ地域でペット可の、そんな物件だった。

 室内も綺麗にクリーニングされていて清潔感があり、結果的にだが思ったより良い物件に巡り会えたと言う感じだった。

「ここもなぁ。車の通りが激しいから、そこがネックだよねぇ。僕、ここまで車が通るとは思いもしなかったもん」

「確かに。住んでみなきゃ分からない事ってあるよね。私はぶっちゃけ下水の臭いも気になる……」

「あ、確かにー」

 人の多い地域ってこんなもんなのだろうか。

 実家にいた頃は、こういう臭いとか騒音とかで悩む事も無かっただけに、みいはこれが都会なのかと思う事が多々ある。

 相方から言わせれば、ここは都会なんかじゃ無いよと一蹴されるのだろうが、田舎から出て来たみいからしたら、盛っているこの町は都会で間違いなかった。

「さて、明日に備えて早寝しなきゃね」

「だね。風呂って寝よう」

「はーい。あー、でも仕事嫌だなぁ」

 相方は嘆きながらバスルームへと消えて行く。

 明日から、みいにとっても本格的な新生活の始まりだ。

「よし、頑張るぞー!」








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