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第一章
小遣い稼ぎも楽じゃない
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「実はさぁ、働こうかなって思ってて」
冬のとある日。週末とあってみいも相方も昼近くまで寝て、やっとノロノロ起き出したそんな日だ。
朝昼兼用の食事を終え、こたつでのんびりしていた相方に、みいはそう声をかけた。
「うーん」
相方は渋いうなり声で考え込んでしまった。
「どう思う?」
「うーん、僕としては休んでてもらっていいとは思うんだよね。だってほら、みいちゃん地元で17年も働きづめだったわけだし。それなのに、見知らぬ土地まで来て、また働かせちゃうのは申し訳ないよう」
「うーん、そうかなぁ」
「うん、みいちゃんには好きなことしながらさ、ゆっくり休んでて欲しいんだぁ」
「う、うん」
相方の申し出はありがたい。
相方は沸点が低い。みいがこんなことで?と思うような小さな事で怒られたり責められたりして、泣きながら喧嘩したりと衝突もするが、でもおそらくそれ以上にみいに甘い気がする。
甘やかされてる自覚がある。
仕事に関してもそうだ。地元にいた頃は働きづめだったのは確かなので、休んでいていいんだよと言ってもらえるのは、とてもとてもありがたかった。
しかし、それだと活動資金が心もとないんだよなぁ……
残念かな、好きなことをするにも、それなりに銭がいるもんだ。
みいはそんな思いを噛み殺しながら、相方ににこっと笑ってみせた。
*****
相方は日々の疲れから、食事を終えると布団の上でゴロゴロしている間にコテッと眠ってしまった。
そんな様子を見ながら、みいはこの間百均で買った端切れをこたつの上に並べてみた。
可愛い柄の端切れ達は、いかにも女子受けしそうだ。
なかなか稼げないとなると、いっそのこと内職なんてどうだろう。
幸い、少しだが裁縫も出来る。
会社を辞めた退職金でちゃんとしたミシンも手に入れていたので、売れる布小物でも作れないかと考えていたのだ。
「よし」
みいは端切れ達を小さく切ると、手のひらサイズの小さな巾着を作った。
アロマオイルで香り付けしたハーブを袋に入れ、その袋を巾着の中に詰め込みリボンで縛る。
「出来た。ミニミニ匂い袋」
手のひらに収まるサイズだから、鞄につけても良いし、がさばらないから使いやすいだろう。車に置くのも良いかもしれない。
ほのかに香るのは、定番のラベンダーだ。
「よしよし、もう少し量産しよう」
なかなかの出来に気を良くしたみいは、夕方近くまでせっせと匂い袋の作成にせいを出したのだった。
*****
「行ってきまーす」
「行ってらっしゃい」
のんびりした週末を終え、みいは相方を送り出したその足で家事をバタバタとこなした。
一息ついてこたつにあたると、自然とため息が漏れてしまう。
「……はぁ」
ため息の理由は分かっている。みいは、ズボンのポケットから取り出した小銭を見つめ、またため息。
「少ないとは思ってたけど、まさかここまでとは……」
その小銭は、みいが作った匂い袋の売上金だった。
「とほほ……。これじゃあ赤字だわ……」
悔し涙を飲み込みながら、小銭を貯金箱へと投下した。
「これじゃだめだ。なんかほかにないもんだろうか」
コーヒーをすすりながら悩むが、良い案はしばらくの間浮かんでこなかった。
冬のとある日。週末とあってみいも相方も昼近くまで寝て、やっとノロノロ起き出したそんな日だ。
朝昼兼用の食事を終え、こたつでのんびりしていた相方に、みいはそう声をかけた。
「うーん」
相方は渋いうなり声で考え込んでしまった。
「どう思う?」
「うーん、僕としては休んでてもらっていいとは思うんだよね。だってほら、みいちゃん地元で17年も働きづめだったわけだし。それなのに、見知らぬ土地まで来て、また働かせちゃうのは申し訳ないよう」
「うーん、そうかなぁ」
「うん、みいちゃんには好きなことしながらさ、ゆっくり休んでて欲しいんだぁ」
「う、うん」
相方の申し出はありがたい。
相方は沸点が低い。みいがこんなことで?と思うような小さな事で怒られたり責められたりして、泣きながら喧嘩したりと衝突もするが、でもおそらくそれ以上にみいに甘い気がする。
甘やかされてる自覚がある。
仕事に関してもそうだ。地元にいた頃は働きづめだったのは確かなので、休んでいていいんだよと言ってもらえるのは、とてもとてもありがたかった。
しかし、それだと活動資金が心もとないんだよなぁ……
残念かな、好きなことをするにも、それなりに銭がいるもんだ。
みいはそんな思いを噛み殺しながら、相方ににこっと笑ってみせた。
*****
相方は日々の疲れから、食事を終えると布団の上でゴロゴロしている間にコテッと眠ってしまった。
そんな様子を見ながら、みいはこの間百均で買った端切れをこたつの上に並べてみた。
可愛い柄の端切れ達は、いかにも女子受けしそうだ。
なかなか稼げないとなると、いっそのこと内職なんてどうだろう。
幸い、少しだが裁縫も出来る。
会社を辞めた退職金でちゃんとしたミシンも手に入れていたので、売れる布小物でも作れないかと考えていたのだ。
「よし」
みいは端切れ達を小さく切ると、手のひらサイズの小さな巾着を作った。
アロマオイルで香り付けしたハーブを袋に入れ、その袋を巾着の中に詰め込みリボンで縛る。
「出来た。ミニミニ匂い袋」
手のひらに収まるサイズだから、鞄につけても良いし、がさばらないから使いやすいだろう。車に置くのも良いかもしれない。
ほのかに香るのは、定番のラベンダーだ。
「よしよし、もう少し量産しよう」
なかなかの出来に気を良くしたみいは、夕方近くまでせっせと匂い袋の作成にせいを出したのだった。
*****
「行ってきまーす」
「行ってらっしゃい」
のんびりした週末を終え、みいは相方を送り出したその足で家事をバタバタとこなした。
一息ついてこたつにあたると、自然とため息が漏れてしまう。
「……はぁ」
ため息の理由は分かっている。みいは、ズボンのポケットから取り出した小銭を見つめ、またため息。
「少ないとは思ってたけど、まさかここまでとは……」
その小銭は、みいが作った匂い袋の売上金だった。
「とほほ……。これじゃあ赤字だわ……」
悔し涙を飲み込みながら、小銭を貯金箱へと投下した。
「これじゃだめだ。なんかほかにないもんだろうか」
コーヒーをすすりながら悩むが、良い案はしばらくの間浮かんでこなかった。
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