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第一章
味噌汁
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スーパーを出ると、みいは両手のビニール袋をよいしょっ、と持ち直した。
リュックサックを背負って行ったのに、結局入りきらずにこのざまだ。
みいは重たい荷物を床に擦らないよう気にしながら、緩く長い上り坂を歩きだした。
「ふぅ、ふぅ」
行きはすいすい進む下り坂だっが、帰り道は絶望的な光景だ。
「ふぅふぅ」
みいは額に汗をかきながら、よちよちとアパートへ続く道を上って行った。
肌寒い季節だと言うのに、顔面に浮かぶ汗が半端ない。
「ふぅふぅ」
やっとのことでアパートにたどり着き、大荷物を二階に引き上げると、みいは荒い息を整えながら食材を冷蔵庫へ詰め込みだした。
スッカラカンだった冷蔵庫は少しだけ賑わいを見せている。やはり冷蔵庫はつまっていたほうがホッとするものだ。
時刻は午前11時半。さて、これからどうするか……
*****
「とりあえずコーヒーでも飲むか」
みいはインスタントコーヒーを作ると、台所にマグカップをコトンと置く。
水を張った鍋に火をかけ、先程買った長ネギ、油揚げなどを放り込んで行く。
「よし、しばらく煮よう」
マグカップを片手に和室に行き、ホッと一息つきながらスマホをいじくる。
最近こっそりインストールしたバイト探しアプリに目を通してみたりする。こう見ると、色んなバイトがあるものだ。
しかし、車がないから気になったバイトも距離的に無理だ。
最寄り駅も遠すぎるし……
そこで、検索範囲を徒歩でも行ける範囲に絞り直してみた。すると、さっき買い物していたスーパーや、弁当屋などが出てくる。
この付近の募集ははどれもこれもサービス業ばかりだ。みいはうーんと唸る。
実は、工場での製造業しかしたことがなかったのだ。
「う、うーん」
色んな職を経験してきた相方が前に、『僕サービス業はもうこりごり』と言っていたが、じゃあ工場しか知らない人見知りマックスなみいがサービス業など出来るのだろうか。
「無理だ……」
お客さんに怒鳴られる自分の姿が容易に想像出来る。
「うーん、他にないのかなぁ」
そうこうしているうちに時間はたち、鍋の野菜たちは良い感じに火が通ってきた。
顆粒だしを入れ、味噌を溶かす。
最後に豆腐を切り入れれば味噌汁の完成だ。
「うん、うまいっ」
味もばっちり。これなら相方も喜んでくれるだろう。
「とは言うものの、今日もきっと遅くなるんだろうなぁ」
朝出掛ける際はあんなに小憎らしくてイライラした相方だが、長くいないとそれはそれで心細くなるものだ。
異常な仕事時間も心配だし。疲労や睡眠不足で、突然死や事故に遭わないかと心配の種は尽きない。
「仕方ねぇ、好物でも作ってあげるかっ」
そう言って、みいは今日も台所に立つのであった。
リュックサックを背負って行ったのに、結局入りきらずにこのざまだ。
みいは重たい荷物を床に擦らないよう気にしながら、緩く長い上り坂を歩きだした。
「ふぅ、ふぅ」
行きはすいすい進む下り坂だっが、帰り道は絶望的な光景だ。
「ふぅふぅ」
みいは額に汗をかきながら、よちよちとアパートへ続く道を上って行った。
肌寒い季節だと言うのに、顔面に浮かぶ汗が半端ない。
「ふぅふぅ」
やっとのことでアパートにたどり着き、大荷物を二階に引き上げると、みいは荒い息を整えながら食材を冷蔵庫へ詰め込みだした。
スッカラカンだった冷蔵庫は少しだけ賑わいを見せている。やはり冷蔵庫はつまっていたほうがホッとするものだ。
時刻は午前11時半。さて、これからどうするか……
*****
「とりあえずコーヒーでも飲むか」
みいはインスタントコーヒーを作ると、台所にマグカップをコトンと置く。
水を張った鍋に火をかけ、先程買った長ネギ、油揚げなどを放り込んで行く。
「よし、しばらく煮よう」
マグカップを片手に和室に行き、ホッと一息つきながらスマホをいじくる。
最近こっそりインストールしたバイト探しアプリに目を通してみたりする。こう見ると、色んなバイトがあるものだ。
しかし、車がないから気になったバイトも距離的に無理だ。
最寄り駅も遠すぎるし……
そこで、検索範囲を徒歩でも行ける範囲に絞り直してみた。すると、さっき買い物していたスーパーや、弁当屋などが出てくる。
この付近の募集ははどれもこれもサービス業ばかりだ。みいはうーんと唸る。
実は、工場での製造業しかしたことがなかったのだ。
「う、うーん」
色んな職を経験してきた相方が前に、『僕サービス業はもうこりごり』と言っていたが、じゃあ工場しか知らない人見知りマックスなみいがサービス業など出来るのだろうか。
「無理だ……」
お客さんに怒鳴られる自分の姿が容易に想像出来る。
「うーん、他にないのかなぁ」
そうこうしているうちに時間はたち、鍋の野菜たちは良い感じに火が通ってきた。
顆粒だしを入れ、味噌を溶かす。
最後に豆腐を切り入れれば味噌汁の完成だ。
「うん、うまいっ」
味もばっちり。これなら相方も喜んでくれるだろう。
「とは言うものの、今日もきっと遅くなるんだろうなぁ」
朝出掛ける際はあんなに小憎らしくてイライラした相方だが、長くいないとそれはそれで心細くなるものだ。
異常な仕事時間も心配だし。疲労や睡眠不足で、突然死や事故に遭わないかと心配の種は尽きない。
「仕方ねぇ、好物でも作ってあげるかっ」
そう言って、みいは今日も台所に立つのであった。
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