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冒険者編
冒険者編18 成長の印と強きヒーロー
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ゴブリンは俺の存在に気付いたと同時に、
「ぎぇいやああああああ!!」
雄叫びを上げた。そしてこの様子からして
「無知性、か。……リベンジマッチってわけだな。」
そして、俺は地面をけり上位ゴブリンと対面する。
この上位ゴブリンの長所は一度攻撃を放てばそこからの連続攻撃が強力ということだ。
ならば、連続攻撃をさせなければいい。
ゴブリンがその棍棒を振った時、俺は思い切り姿勢を低くしてスライディングをする。
「ふぅ、うまく避けたぞ。」
俺を視界から捉えきれなかったからなのか、ゴブリンは周りをきょろきょろとしている。
無知性であることと、こいつの身長が馬鹿みたいに高いことが功を奏した。
それを意識した俺は、上位のゴブリンとなかなかいい勝負ができていた。
ヒットアンドアウェイだ。
そうして、俺は少しずつだがダメージを与えていった。
着々とゴブリンが弱っているのがわかる。
さぁ、リベンジを完遂させるときだ。
俺は、俺の唯一使える魔術を使って終わらせることにした。
俺の斬撃だったら一生倒せないしな。
ゴブリンの攻撃をよけながら、手のひらに魔力をためる。俺が持っている少ない魔力を掌にこめ、最大限ゴブリンに近づく。
ゴブリンのうなじに手を当て、放つ。
「くらえ!ファイアボール!!」
俺の使える唯一の魔術。ファイアボール。その威力はやはり普通の斬撃よりも強い。
放った瞬間、ゴブリンは倒れ魔石に変わった。
「は、はぁ。か、勝ったぁ。」
そうして俺はその場に仰向けになり、安堵する。
あの時はぼこぼこにされたが、今回は勝つことができたのだ。
俺はここでしっかりと実感した。
俺は強くなっている。これからも俺は強くなれる。
と、
だが、安堵していた俺に鋭い殺気が放たれる。
当たり前だ。さっきのゴブリンの雄叫びは近くの森中に響いただろう。つまり、
「面白い戦いするじゃねえか、坊主。
……だが、もうこれで鬼ごっこは終わりだぜ。」
俺はすぐに立ち上がり、後ずさる。
「どうやら、…そうみたいだな。なぁ、……さっきのゴブリンに勝ったご褒美として逃がしてくれたりしないか?」
どうにか生き残ろうとするが、
「はっはっは!無理だ。何度言ったらわかる。何度も逃げて逃げて、俺からこれだけ逃げたのはお前で初めてかもしれない。だが、もう逃げる手段はないようだな。」
「そう、…だな。だが、無抵抗ではないぞ。」
そういって、俺は剣を構える。
「いいねぇ、じゃ、遠慮なく。」
次の瞬間ドグは地面をけり、俺の目の前にいた。
気づけば振り上げられていた棍棒は俺を殺しに振り下げられる。
どうにか持っている剣で防ぐが、俺の剣は簡単に砕けた。
俺はまたあの時のように吹き飛ばされ、洞窟の壁にたたきつけられる。
俺はどれだけ剣をたたき割られどれだけ洞窟の壁にたたきつけられればいいんだ?
そろそろ飽きてきたぞ。なんて考えられるのは、冗談抜きで目の前に死があるからだろうか。
冷静になっても俺が流血して、吐血して、体が動かない現実は変わらない。
「よく逃げた。何度も言うが俺からこれだけ逃げられた奴はいない。だからそれだけは褒めてやる。来世はネズミに生まれ変わってしっかりその逃げ足をつかえよ。」
あぁ、今から死ぬんだろうか?また、死ぬんだろうか?
前世も現世もこうやって同じように死んでいくのだろうか。
誰か、助けてくれ。
そうして、俺は目をつむった。
「はいはーい、いったん止まろうか。」
洞窟の入り口からその声が聞こえた。俺もドグも、気が付けばそちらを向いていた。
そこにいたのは白いマントをなびかせた赤髪の青年。その白いマントは騎士のような風貌だが、騎士にしては鎧を着ておらず身軽なことが見て取れる。腰には剣を携えて、右手に持った木剣を肩に担いでいる。
洞窟の外から入る月光が、その青年を照らしている。あの姿こそ、まさしくヒーローだ。
「ぎぇいやああああああ!!」
雄叫びを上げた。そしてこの様子からして
「無知性、か。……リベンジマッチってわけだな。」
そして、俺は地面をけり上位ゴブリンと対面する。
この上位ゴブリンの長所は一度攻撃を放てばそこからの連続攻撃が強力ということだ。
ならば、連続攻撃をさせなければいい。
ゴブリンがその棍棒を振った時、俺は思い切り姿勢を低くしてスライディングをする。
「ふぅ、うまく避けたぞ。」
俺を視界から捉えきれなかったからなのか、ゴブリンは周りをきょろきょろとしている。
無知性であることと、こいつの身長が馬鹿みたいに高いことが功を奏した。
それを意識した俺は、上位のゴブリンとなかなかいい勝負ができていた。
ヒットアンドアウェイだ。
そうして、俺は少しずつだがダメージを与えていった。
着々とゴブリンが弱っているのがわかる。
さぁ、リベンジを完遂させるときだ。
俺は、俺の唯一使える魔術を使って終わらせることにした。
俺の斬撃だったら一生倒せないしな。
ゴブリンの攻撃をよけながら、手のひらに魔力をためる。俺が持っている少ない魔力を掌にこめ、最大限ゴブリンに近づく。
ゴブリンのうなじに手を当て、放つ。
「くらえ!ファイアボール!!」
俺の使える唯一の魔術。ファイアボール。その威力はやはり普通の斬撃よりも強い。
放った瞬間、ゴブリンは倒れ魔石に変わった。
「は、はぁ。か、勝ったぁ。」
そうして俺はその場に仰向けになり、安堵する。
あの時はぼこぼこにされたが、今回は勝つことができたのだ。
俺はここでしっかりと実感した。
俺は強くなっている。これからも俺は強くなれる。
と、
だが、安堵していた俺に鋭い殺気が放たれる。
当たり前だ。さっきのゴブリンの雄叫びは近くの森中に響いただろう。つまり、
「面白い戦いするじゃねえか、坊主。
……だが、もうこれで鬼ごっこは終わりだぜ。」
俺はすぐに立ち上がり、後ずさる。
「どうやら、…そうみたいだな。なぁ、……さっきのゴブリンに勝ったご褒美として逃がしてくれたりしないか?」
どうにか生き残ろうとするが、
「はっはっは!無理だ。何度言ったらわかる。何度も逃げて逃げて、俺からこれだけ逃げたのはお前で初めてかもしれない。だが、もう逃げる手段はないようだな。」
「そう、…だな。だが、無抵抗ではないぞ。」
そういって、俺は剣を構える。
「いいねぇ、じゃ、遠慮なく。」
次の瞬間ドグは地面をけり、俺の目の前にいた。
気づけば振り上げられていた棍棒は俺を殺しに振り下げられる。
どうにか持っている剣で防ぐが、俺の剣は簡単に砕けた。
俺はまたあの時のように吹き飛ばされ、洞窟の壁にたたきつけられる。
俺はどれだけ剣をたたき割られどれだけ洞窟の壁にたたきつけられればいいんだ?
そろそろ飽きてきたぞ。なんて考えられるのは、冗談抜きで目の前に死があるからだろうか。
冷静になっても俺が流血して、吐血して、体が動かない現実は変わらない。
「よく逃げた。何度も言うが俺からこれだけ逃げられた奴はいない。だからそれだけは褒めてやる。来世はネズミに生まれ変わってしっかりその逃げ足をつかえよ。」
あぁ、今から死ぬんだろうか?また、死ぬんだろうか?
前世も現世もこうやって同じように死んでいくのだろうか。
誰か、助けてくれ。
そうして、俺は目をつむった。
「はいはーい、いったん止まろうか。」
洞窟の入り口からその声が聞こえた。俺もドグも、気が付けばそちらを向いていた。
そこにいたのは白いマントをなびかせた赤髪の青年。その白いマントは騎士のような風貌だが、騎士にしては鎧を着ておらず身軽なことが見て取れる。腰には剣を携えて、右手に持った木剣を肩に担いでいる。
洞窟の外から入る月光が、その青年を照らしている。あの姿こそ、まさしくヒーローだ。
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