あーきてくっちゃ!

七々扇七緒

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☆1話:建築学科は3人ぼっち?

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 春の訪れを思わせる穏やかな陽の光が、残雪に反射して宝石のような輝きを放っている。桜の開花にはまだ早い4月の1週目、入学式が行われている才華さいか女子高等学校は華やかな雰囲気に包まれていた。

『自分の才能に気付き 自分の才能が華ひらく』を理念に掲げる才華女子高等学校。北海道札幌市の小高い丘に建ち、フランスのパリにあるブルボン宮殿や、イギリスのロンドンにある大英博物館を思わせるような新古典主義建築のファサードが特徴的。いかにも『お嬢様学校』といった印象を受けやすいが、ごく一般的な公立高校と同等の学費で入学することができる人気の高い女子高だ。

 色鮮やかなステンドグラスを透過してくる柔らかな光が満ちた講堂で、少し緊張した面持ちの新入生たちは校長の話に耳を傾けている。

「新入生諸君、私が校長のナターシャ・エリザベス・ナカジマです。ここ、才華女子高等学校には、貴女たちのフューチャーが詰まっています。それもそのはず。ここには、他にはないカリキュラムがベリーベリー多く存在するからです。例えばファッションやアクセサリー、イラストレーションにアート、スウィーツ……そして建築。一般的な高校のカリキュラムに加えて、これ程までスッペシャルでスパークしている学校はございません。ぜひっ!ここで過ごす3年間、ドゥリームを抱き、自分のタレントゥに気付き、何事にもチャレンジするスピリットゥを大切にしてください」

 ミセス・ナカジマは挨拶の最後に丁寧なお辞儀をした後、風格を感じさせる笑顔で新入生を歓迎した。何層にも重なった拍手の音に包まれながら、うららはこれからの未来を思え描き胸を弾ませていた。


――しかし、その僅か2時間後。うららの思い描いていた未来が崩れ落ちるような出来事が起きたのだった。

ブルボン宮殿

大英博物館
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