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☆5話:GWは現場へGO!!
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「4人とも、ちょっとこっちにおいで!」
手招きをしているユリナのほうへ向かうと、コンクリートが八分目くらい入っている工業用のゴムバケツが置いてあった。取っ手がロープになっていて、所々にあるキズや灰色の汚れが年季を感じさせる深緑のバケツだ。
「では、一番小柄な海巳ちゃん! このバケツを持ちあげてみてください」
急に指名された海巳は少し戸惑いつつ、「非力じゃないし」とブツブツ呟きながら取っ手のロープを持つ両手に力を込めた。グッと力を込めて持ち上げると、ズシンと腰に重みがのしかかり、足がガニ股になってしまう。
「んんっ!? このバケツ、想像してたよりかなり重いっ!」
「あの馬鹿力のミーちゃんがっ!? 私も持ってみたい!」
海巳からバトンタッチしたうららは、両手にギュッと力を込めてバケツを引き上げた。決して持ち運べないわけではないが、腰にずっしりとした重みが伝わってくる。
「ミーちゃんの言うとおり、想像より全然重いっ!! さっきコンクリート見たときサラサラしてたから、ついついそんなに重くないと思ってたぁ!」
うららに次いで、セリナと志帆もバケツを持ち上げた。
「わぁ~! わたくしも、もっともっと軽いものだと思ってました。これは驚きです~!」
「ほんとだぁ。こんなに重いことを知ると、高い所までコンクリートを運んでくれるポンプ車ってありがたいな~って思うね」
志帆からヒョイっとバケツを受け取ったユリナは、ミキサー車の運転手にバケツを渡した。バケツの中に入っていたコンクリートがポンプ車に入っていく所を見て、再び轟音を鳴らしながらコンクリートを送っているポンプ車を見上げた。
「志帆ちゃん、いい点に気付いたね。さっきみんなに、コンクリートは『水・セメント・砂利・砂』で作られてるって教えたよね。その中の『セメント』って、ピラミッドにも使われてたくらい昔からあるものなんだよ」
想像もできないほど大昔からセメントが使われていたことを知り、4人は目をキラキラ輝かせながらメモを取った。 セメントの歴史は約9千年前、新石器時代に遡ると言われている。
約9千年前のイスラエルにある『イフタフ遺跡』という住居跡、約5千年前の中国にある『大地湾遺跡』という住居跡に、セメントに似た成分の材料が使用されていることが発見されている。また、古代ギリシアや古代ローマの時代でも道路工事でセメントが使われていたり、ローマの現存する建築物であるパンテオンやカラカラ浴場にもローマン・コンクリートと呼ばれるセメントの一種が使用されていたことをユリナから教わった。
「お城の建設もそうだけどさ。クレーン車やポンプ車もない時代の人たちって、よくこんなに重たいものを運んだりできたよなーってしみじみ思うんだよね。コンクリートの歴史を肌で感じてもらうためにも、コンクリートの重みを体感してもらったってわけ。どうかな、コンクリートについて少しずつ分かってきたかな?」
これまで謎で包まれていたコンクリート。身近な存在でありながら長い歴史を持ち、慎ましく存在し続けるその姿は『仙人』のようだと4人は思った。
「コンクリートって、いつの時代も見守ってくれる仙人みたいだねっ!」
「それ、わたくしも思いました~!! みんなのおじいちゃん……いえ、人生の大先輩って感じですねっ」
「うんうん。キャラでいうと、ドラゴン〇ールのカ〇ン様的な!!」
「ウミネコのたとえ、同感~!!」
《――コンクリートを擬人化っっっ!!!!(ユリナ・都先生 心の声)》
「……コホン。よ~し、皆さん!! 次は、実際にコンクリートを打設しているところまで行ってみましょう!!」
イフタフ遺跡
パンテオン
手招きをしているユリナのほうへ向かうと、コンクリートが八分目くらい入っている工業用のゴムバケツが置いてあった。取っ手がロープになっていて、所々にあるキズや灰色の汚れが年季を感じさせる深緑のバケツだ。
「では、一番小柄な海巳ちゃん! このバケツを持ちあげてみてください」
急に指名された海巳は少し戸惑いつつ、「非力じゃないし」とブツブツ呟きながら取っ手のロープを持つ両手に力を込めた。グッと力を込めて持ち上げると、ズシンと腰に重みがのしかかり、足がガニ股になってしまう。
「んんっ!? このバケツ、想像してたよりかなり重いっ!」
「あの馬鹿力のミーちゃんがっ!? 私も持ってみたい!」
海巳からバトンタッチしたうららは、両手にギュッと力を込めてバケツを引き上げた。決して持ち運べないわけではないが、腰にずっしりとした重みが伝わってくる。
「ミーちゃんの言うとおり、想像より全然重いっ!! さっきコンクリート見たときサラサラしてたから、ついついそんなに重くないと思ってたぁ!」
うららに次いで、セリナと志帆もバケツを持ち上げた。
「わぁ~! わたくしも、もっともっと軽いものだと思ってました。これは驚きです~!」
「ほんとだぁ。こんなに重いことを知ると、高い所までコンクリートを運んでくれるポンプ車ってありがたいな~って思うね」
志帆からヒョイっとバケツを受け取ったユリナは、ミキサー車の運転手にバケツを渡した。バケツの中に入っていたコンクリートがポンプ車に入っていく所を見て、再び轟音を鳴らしながらコンクリートを送っているポンプ車を見上げた。
「志帆ちゃん、いい点に気付いたね。さっきみんなに、コンクリートは『水・セメント・砂利・砂』で作られてるって教えたよね。その中の『セメント』って、ピラミッドにも使われてたくらい昔からあるものなんだよ」
想像もできないほど大昔からセメントが使われていたことを知り、4人は目をキラキラ輝かせながらメモを取った。 セメントの歴史は約9千年前、新石器時代に遡ると言われている。
約9千年前のイスラエルにある『イフタフ遺跡』という住居跡、約5千年前の中国にある『大地湾遺跡』という住居跡に、セメントに似た成分の材料が使用されていることが発見されている。また、古代ギリシアや古代ローマの時代でも道路工事でセメントが使われていたり、ローマの現存する建築物であるパンテオンやカラカラ浴場にもローマン・コンクリートと呼ばれるセメントの一種が使用されていたことをユリナから教わった。
「お城の建設もそうだけどさ。クレーン車やポンプ車もない時代の人たちって、よくこんなに重たいものを運んだりできたよなーってしみじみ思うんだよね。コンクリートの歴史を肌で感じてもらうためにも、コンクリートの重みを体感してもらったってわけ。どうかな、コンクリートについて少しずつ分かってきたかな?」
これまで謎で包まれていたコンクリート。身近な存在でありながら長い歴史を持ち、慎ましく存在し続けるその姿は『仙人』のようだと4人は思った。
「コンクリートって、いつの時代も見守ってくれる仙人みたいだねっ!」
「それ、わたくしも思いました~!! みんなのおじいちゃん……いえ、人生の大先輩って感じですねっ」
「うんうん。キャラでいうと、ドラゴン〇ールのカ〇ン様的な!!」
「ウミネコのたとえ、同感~!!」
《――コンクリートを擬人化っっっ!!!!(ユリナ・都先生 心の声)》
「……コホン。よ~し、皆さん!! 次は、実際にコンクリートを打設しているところまで行ってみましょう!!」
イフタフ遺跡
パンテオン
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