受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-

haruhi8128

文字の大きさ
174 / 328
教師2年目

小学校の思い出

しおりを挟む
連絡がつかなくなったのは1年生1人、2年生2人、4年生1人。
そのうち4年生の生徒がAクラスの貴族だったため連絡がつかなくなったことを不審に思った保護者からの連絡で発覚した。
調べてみたら、他の3人も行方が分からなくなっていたのだ。
当然、すぐに職員会議が招集された。

「生徒たちについて何か手掛かりはありませんか?」

普段はずっと柔らかい笑みを浮かべている学園長も今回ばかりはその笑みを消している。

「恐らくですが、行方が知れなくなったのは下校後の家路でしょう。いくらなんでもそこまでは……」

貴族の子女はそのほとんどが馬車で登下校をしている。
だが、貴族と言ってもその経済力はまちまちだ。
行方知らずになった女子生徒の家はお抱えの馬車を1台しか持っておらず、その馬車を親たちが使う予定があったらしくその日は徒歩での家路となっていたらしい。
計画的な犯行であればその貴族とつながりのある人たちが捜査線上に上がるが、それが決まったのは前日の夜だとのこと。
あまりにも迅速すぎる。

「これは学園の手には負えません。軍に依頼するしかなさそうですね」
「待っていただきたい! そんなことをすれば我が校の威光が……!」
「これで生徒が無事に帰らなかった時の方が威光を傷つけるでしょう。今できるのは、なりふり構わず生徒の安全を確保することです」

現状、教師たちに出来ることはあまりない。


「どう思う?」
「とりあえず、女子生徒ばかりなのが気がかりですね。悪い方向の想像がしやすいので……」

職員会議からの帰り道。
ヨルとの意見交換。

「その可能性は高いだろうな。まぁ、俺たちが知らないだけで他に利用用途があるのかもしれないけど。どちらにせよろくでもないことは確かだろう。

「ライヤさんでもどうにか出来ないんですか?」
「無理だろ。それこそ軍が人数かけて捜索して、聞き込みとかまで含めてやるのが現状だと正解に近いんじゃないか? 一個人に出来ることなんて、他に行方不明者が増えないように気を付けることくらいだろ」

そのまま2人は郊外へと見回りに出かけた。
いくらヨルが「デートだー!」とはしゃいでいたと言っても見回り自体はちゃんと行っていた。
だが、学園から同心円状に拡がっていく生徒の帰路を全て見張ることなどできるはずもなく。

翌々日、新たに2人の行方が分からなくなったことが発覚した。




「暗部ではどういう扱いになってるんですか?」
「一応、調査はしているけど他の事項より優先度は低いわ。他国の情勢を探るのが優先にはなるから……」
「そんなところでしょうね。仕方ない」

仕事モードのフィオナと対策を協議する。

「流石に貴族の子女に被害者が出なかったから戦闘を起こしてでもというわけではなさそうです。その代わり、平民の女子生徒は一層の警戒が必要になるでしょう」
「だけど、それも難しいでしょう? いくら軍を動かしても全員を送り届けることは出来ないもの」
「そうですね。ですが、最後の1人なら行けると思うんです」
「……どういうこと?」
「集団下校っていう手法があって……」

同じ方向の高学年と一緒に帰ってもらい、各家を回った後に引率役の家を最後にするというものだ。
その引率役が男子であればなお良いし、この手法なら各集団に1人軍の人間を入れておけばかなり安全になるだろう。

「生徒に相当な負担がかかるんじゃないかしら」
「それは当然なんですけど、平民と同じ方向に帰るのは同じく平民で。言い方は悪いですけど、平民でお金が必要でない奴なんていないんです」
「報酬を出すってこと?」
「もちろん、高額には出来ないですけど。毎日の報酬となればかなりありがたいだろうと思います。引率役にはそれなりの実力が必要なので審査のようなものはするでしょうけど」
「なるほど……」

考え込むフィオナ。
問題は登校だ。
朝は帰路なんかよりも遥かに時間がない。
上級生に迎えに行ってもらうのが不可能な生徒もいるだろう。
そんな生徒が狙われる可能性はゼロではない。
現状、帰りの時間帯でしか起きていないが朝行われても不思議ではないのだ。

「一応、学園長には進言しておきましたから、後は上の判断ですね。軍がこれを呑んでくれるかどうか……」
「怪しいですね……」

軍の変なプライドが勝るかどうか……。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...