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教師2年目
異変
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「……というわけで、非常勤講師であるアンネ先生にクラブがどういったものかをお見せしたくて」
「もちろん、構いませんよ。魔術クラブはうちの学校でも有数の生徒数を誇りますからね」
顧問の言う通り、代が変わって魔術クラブの人数はさらに増えていた。
そして、明らかに女性の割合が増えている。
いや、男性の人数が減って相対的に女性の割合が高くなっているのか。
新入生の代はほとんど男子のクラブ加入は無かったのだろう。
このクラブの現状、イケメンな顧問の囲いと化している状況では入りにくいのも頷けるが。
「こんなことをしているのですねー」
アンも興味がある振りをしているが、どことなく棒読みだ。
魔法に関しては実践が最も練習になると考えているから、的あてくらいしかやっていないクラブの活動には物足りなさを感じるのだろう。
「如何です? アンネ先生も顧問になっていただけませんか?」
「いえ、私は学校に来ること自体も稀ですので……」
「そうですか……。気が変わればいつでもおっしゃってください」
にこやかに話している顧問だが、丸一年たっても笑顔に違和感を覚えてしまう。
魔術クラブで何か起こっているとして、フィオナがいた時といなくなった後で違いが生まれている。
その要因はどこかにあるはずだが、その間に顧問となった先生はその要因として最も考えやすい。
顧問という立場上、影響を与えやすい人物でもある。
だが、ここで問題はその影響がどこまでなのか。
クラブ内にだけ異変が起こっているのならわかりやすかったのだが、新しくクラブに加入する生徒の男女割合に着目すれば、クラブ活動以前に何か行われている公算が高くなってくる。
何を、どのタイミングで行っているのか現状では見当もつかない。
「魔術クラブってあんなに平和的なクラブだったかしら?」
「そういう感想になるよな」
職員寮に戻り、フィオナの部屋で変装を解いたアンが首をかしげる。
学園最強として君臨していたアンは在学中、魔術クラブの人間に手合わせを挑まれることもしばしば。
アンが断らないことをいいことに入れ代わり立ち代わり挑みにきては叩き潰されていた。
それでも諦めず挑んでいくくらいにはぶっ壊れた向上心を持っていたはずだ。
「あのクラブって何のために存在しているの?」
「……顧問に会うため?」
きゃぴきゃぴと顧問を見て騒ぐ女子生徒たちには、良く飽きないものだという感想を抱くライヤ。
クラブの活動内容としては大したことをしていないのでそんな考えにもなってしまう。
「正直言って、私にはあの先生にそんなに魅力があるとは思えないのよね。もちろん、容姿は整っているとは思うけど。あんなに騒がれるほどかしら」
「そうだよねー。それこそ卒業生にはなるけど、容姿だけならカムイ君の方が優れていたんじゃないのかなー?」
フィオナもアンの意見に同調する。
「まぁ、集団心理ってものもあるから一概には言えないけど。ただあの先生が人気があるってだけじゃないと思うのよね……」
「だろ?」
アンにもライヤが感じていた違和感を理解してもらえたみたいだ。
「でも、何が目的なの?」
「いや、だから、それはわからないって言っただろ?」
「てっきりまたライヤが何か隠してるだけだと……」
信用ないな。
「あの先生にハーレム願望があるだけだったらどれだけいいかって話なんだけど。クラブの教室では間違いなく何かの魔法が使われてるんだよな」
「そうね。魔力の動きは私も感じてたわ」
「私もー」
この3人がそろって魔法に関して間違えていることは無いだろう。
「心なしか、あの顧問が話している時に魔力の強さが変わっていた気がしたのよね」
「俺もそう思う。だけど、何の魔法かわからないんだ」
「ユニーク魔法の可能性はあると思う?」
ユニーク魔法。
その名の通り、火・水・光などのように属性として分類される魔法ではなく、個人の特性として発現する魔法のことである。
厄介なのはユニーク魔法であった場合、この世の事象全てが魔法の効果として選択肢に入ることだ。
今回は他人、それも恐らく女性に大きく影響を与えるものだろうと算段がついているのでいいが、仮に戦場で出会えば対策のしようがない。
学園の教師になるほどの実力者であるし、イリーナも少なからず影響されていたことから魔法の影響力はかなり強いものだと考えられる。
「それで、どうするの?」
「とりあえずは顧問の先生の背景を洗うしかないと思う。下手に尾行なんかして見つかったら警戒を強めるだけだしな」
アンからも学園長に依頼し、顧問の経歴を洗い出した3日後。
4人の女子生徒が姿を消した。
「もちろん、構いませんよ。魔術クラブはうちの学校でも有数の生徒数を誇りますからね」
顧問の言う通り、代が変わって魔術クラブの人数はさらに増えていた。
そして、明らかに女性の割合が増えている。
いや、男性の人数が減って相対的に女性の割合が高くなっているのか。
新入生の代はほとんど男子のクラブ加入は無かったのだろう。
このクラブの現状、イケメンな顧問の囲いと化している状況では入りにくいのも頷けるが。
「こんなことをしているのですねー」
アンも興味がある振りをしているが、どことなく棒読みだ。
魔法に関しては実践が最も練習になると考えているから、的あてくらいしかやっていないクラブの活動には物足りなさを感じるのだろう。
「如何です? アンネ先生も顧問になっていただけませんか?」
「いえ、私は学校に来ること自体も稀ですので……」
「そうですか……。気が変わればいつでもおっしゃってください」
にこやかに話している顧問だが、丸一年たっても笑顔に違和感を覚えてしまう。
魔術クラブで何か起こっているとして、フィオナがいた時といなくなった後で違いが生まれている。
その要因はどこかにあるはずだが、その間に顧問となった先生はその要因として最も考えやすい。
顧問という立場上、影響を与えやすい人物でもある。
だが、ここで問題はその影響がどこまでなのか。
クラブ内にだけ異変が起こっているのならわかりやすかったのだが、新しくクラブに加入する生徒の男女割合に着目すれば、クラブ活動以前に何か行われている公算が高くなってくる。
何を、どのタイミングで行っているのか現状では見当もつかない。
「魔術クラブってあんなに平和的なクラブだったかしら?」
「そういう感想になるよな」
職員寮に戻り、フィオナの部屋で変装を解いたアンが首をかしげる。
学園最強として君臨していたアンは在学中、魔術クラブの人間に手合わせを挑まれることもしばしば。
アンが断らないことをいいことに入れ代わり立ち代わり挑みにきては叩き潰されていた。
それでも諦めず挑んでいくくらいにはぶっ壊れた向上心を持っていたはずだ。
「あのクラブって何のために存在しているの?」
「……顧問に会うため?」
きゃぴきゃぴと顧問を見て騒ぐ女子生徒たちには、良く飽きないものだという感想を抱くライヤ。
クラブの活動内容としては大したことをしていないのでそんな考えにもなってしまう。
「正直言って、私にはあの先生にそんなに魅力があるとは思えないのよね。もちろん、容姿は整っているとは思うけど。あんなに騒がれるほどかしら」
「そうだよねー。それこそ卒業生にはなるけど、容姿だけならカムイ君の方が優れていたんじゃないのかなー?」
フィオナもアンの意見に同調する。
「まぁ、集団心理ってものもあるから一概には言えないけど。ただあの先生が人気があるってだけじゃないと思うのよね……」
「だろ?」
アンにもライヤが感じていた違和感を理解してもらえたみたいだ。
「でも、何が目的なの?」
「いや、だから、それはわからないって言っただろ?」
「てっきりまたライヤが何か隠してるだけだと……」
信用ないな。
「あの先生にハーレム願望があるだけだったらどれだけいいかって話なんだけど。クラブの教室では間違いなく何かの魔法が使われてるんだよな」
「そうね。魔力の動きは私も感じてたわ」
「私もー」
この3人がそろって魔法に関して間違えていることは無いだろう。
「心なしか、あの顧問が話している時に魔力の強さが変わっていた気がしたのよね」
「俺もそう思う。だけど、何の魔法かわからないんだ」
「ユニーク魔法の可能性はあると思う?」
ユニーク魔法。
その名の通り、火・水・光などのように属性として分類される魔法ではなく、個人の特性として発現する魔法のことである。
厄介なのはユニーク魔法であった場合、この世の事象全てが魔法の効果として選択肢に入ることだ。
今回は他人、それも恐らく女性に大きく影響を与えるものだろうと算段がついているのでいいが、仮に戦場で出会えば対策のしようがない。
学園の教師になるほどの実力者であるし、イリーナも少なからず影響されていたことから魔法の影響力はかなり強いものだと考えられる。
「それで、どうするの?」
「とりあえずは顧問の先生の背景を洗うしかないと思う。下手に尾行なんかして見つかったら警戒を強めるだけだしな」
アンからも学園長に依頼し、顧問の経歴を洗い出した3日後。
4人の女子生徒が姿を消した。
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