受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-

haruhi8128

文字の大きさ
182 / 328
教師2年目

報い

しおりを挟む
ヨルを連れて地上に出て、家主の帰りを待つ。
既に家にいた使用人たちには事情を説明し終えており、邪魔することがないように戻ってきたフィオナたちに見張ってもらっている。

「ヨル、無理して残らなくていいんだぞ?」
「無理なんてしてないですよ。どうせなら、あいつが処されるところも見たいので」

なんと強い心だろう。
自分が同じ立場に置かれたとして、こんなにも気丈に振る舞えるだろうか。

「こ、これはどういうことなんだな?」

家主のお帰りだ。

「どうも、イベリコ先生」
「ライヤ先生なんだな? なぜうちに……!?」

犯人は同じ学園の教師であるイベリコだった。
以前から学園の生徒と関係を持っているとまことしやかに噂されていたが、ついに決定的なことをやりやがった。

「地下の生徒たちはもう助けた。お前のやったことは許されることじゃない」
「な、なにを言っているんだな!? お前にそんな権限が……!」
「その点は心配しないで。私がいるから」
「あ、アン王女なんだな……?」

ライヤの後ろにいたアンが進み出る。

「私たちの国でよくもまぁ好き放題やっていたようね、イベリコ男爵」
「ご、誤解なんだな! ぼ、僕は決して無理に迫ったりなんてしたことは……!」
「今回までは無かったかもしれないな。そういう話だったから学園も手が出せなかったんだから。だからこそ聞きたい。なぜそこまで慎重に動いていたのにこんなに大胆に動いたんだ?」

王国には売春を禁じるような法はない。
そうでもしないと生きていけない人たちが一定数いて、それを解消できないのもまた事実だからだ。
だからこそ同意もあって、対価も払っているというイベリコには処罰が下らなかった。
だが、今回はまず誘拐、監禁。
そしてヨルへの強姦の罪がある。

「そ、それは……」
「まさかとは思うが、噂が広まって生徒が相手をしてくれなくなったからとかほざくなよ?」
「うっ……?」

図星かよ。

イベリコが学園から帰ってくるまでに2時間ほどあった。
その間にフィオナが集めてきた情報をもとに精査していたのだ。
この頃、イベリコ関連の話が少なくなっていたらしい。
何でも、景気が上向いて生徒が体を売らなければいけないほどの困窮が少なくなったからだとか。
すると、彼は欲求不満になる。
欲を抑えきれなかったのだろう。

「だが、国に捕まりたくはない。そこで考えたのが監禁して向こうからお願いさせることだ。監禁していたのも接待していたと言えば言い訳できるかもな? そして、普段より多くの金を握らせて一丁あがりってとこか?」

たかが2時間考えただけでいきつくような浅はかな考えを実行に移したのも馬鹿だ。

「そのおかげで生徒たちは助かったわけだが……。てめぇ、なんでヨルには手を出したんだよ!」

尚更納得がいかない。
ヨルこそ、年齢的には大人だし身寄りもない。
同意があるまで閉じ込めてけば良かったはずだ。
なぜそこをすっ飛ばしたのか。

「そんなこと答える義理はないんだな! そぉい!」

掛け声一発。
砂塵を巻き上げて身を隠すイベリコ。
腐っても学園教師。
魔法の水準は高い。

ガキィン!

「んなっ……!?」

だが、あくまで一般的な水準に照らせばの話。
砂塵舞う範囲全てをアンが凍らせ、逃げ場をなくす。

「ここにきて逃げなんて許されるわけないだろ?」
「く、くそぅっ!」

剣を抜き、体の前で構える。
でっぷりしたお腹の前では構えにくそうだ。

「ふぬっ!」

そのまま戦うのかと思いきや、その剣を地面につきたてる。

「ぼ、僕の固有魔法は結界なんだな! この剣がある限り、僕に傷を負わせることは出来ないんだな!」
「固有魔法持ちだったのか」

通常、アジャイブ魔術学校の教師は魔法と剣術や格闘術などの両方が高水準にある。
イベリコは明らかに後者を苦手としていたが、固有魔法があるから教師として籍を置けていたのか。

「馬鹿かお前」

バキンッ!

結界の要らしいイベリコの剣が真ん中から折れる。

「それを言わなければもっと時間稼ぎ出来ただろ」

ライヤが剣の下半分を凍らせ、アンがもう半分を加熱する。
強烈な温度差に耐えきれない剣は簡単に折れる。
それこそ、宝剣や魔剣と呼ばれる類のものでないと耐えられないだろう。
そしてそんなものをイベリコが持っているはずもない。

「えっ……?」
「死ね」

ガツンと大きな音が響き、イベリコの首から上がガクンと揺れる。
拳に岩を纏った渾身の一発だ。
威力は折り紙付き。

「死ね……」

続けてアンが足を振り下ろす。
イベリコは顔がひしゃげて声も出せない状態だが、慈悲はない。
振り下ろす先は、股間。
ライヤも思わず耳をふさぎ、視線を逸らす。


それでも。
顔面がひしゃげていたとしても。
悲鳴が聞こえるような気がした。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

処理中です...