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教師2年目
近づく嵐
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それから少し、ミリアリアの王国訪問の日程も決まり、王城はにわかに慌ただしくなっていた。
「なのにお前は何してるんだ?」
「ライヤ分の補給よ」
「いや、そんな『当然でしょ』って空気で言われても……」
だが、そんな中働いていない偉い人がここに1人。
「ちゃんと休みは貰ってるわよ」
「休みとか一応貰えるシステムなんだ……」
「お客様が来た時にすぐにブチギレないようにって休養貰ったの」
「理由がエグイ……」
お休みの許可を出したのが誰か知らないが、心労が心配だ。
「頼むから、顔を合わせるなり宣戦布告とかやめてくれよ? 友好的な国同士の交流なんだからな」
「わかってるわよ。だから、こうしてリラックスできるようにしてるのよ」
「さいですか……」
今日も今日とて玄関のドアがぶち破られたわけだが、何を思ったかアンは布団の中のライヤに掛布団越しに覆いかぶさっている。
「ちょっと重……」
「あ?」
「いや、なんでもないです……」
仰向きに寝てる時に人1人上に乗ったら重いと思うのは当然だと思うのだが、そんな当然のことを主張する自由はライヤにはないらしい。
そして布団越しとはいえ、全身が触れ合っているわけであり、柔らかい感触が伝わってきて非常に居心地が悪い。
「このままじゃ起きれないんですけど……」
「いいじゃない、起きなくて」
「アンは寒くないのか?」
「このくらいなら平気よ」
なぜ布団に入ってこようとはしないのか。
アンに関しては布団を引っぺがすばかりで入ろうとして来たことはなかったが、フィオナとヨルは度々挑戦している。
ライヤは固辞しているが、彼女であるアンが入ってくれる分にはやぶさかではない。
「だって恥ずかしいじゃない……」
ぼやーっとそんなことを考えていたら、口に出していないのにそんな返答が返ってきた。
どんなところで以心伝心してんだ。
「いや、何もしないよ……。何もしないは嘘だけど。取り返しのつかないことはしない。あそこでにやついてるやつもいるし」
「え?」
頭がパンク寸前だったらしいアンは気付いていなかったが、ぶち破ったドアの向こうからヨルが覗いていた。
気付いたアンはボボボッと顔を赤くする。
「い、いつから!?」
「そりゃ隣に住んでるんだからドアぶち破ってたりしてたら音で起きるに決まってるだろ……」
至極当然である。
「……今度からドア壊すのやめる……」
「是非そうしてくれ」
今までどうお願いしても直してくれなかった家への訪問方法を遂に改めてくれる時が来た。
ヨル様様である。
「だから、合鍵をちょうだい?」
「俺の一存じゃできない。そこらへんは先輩の権限だ」
「あの女ね……」
少し考え込んだ後、苦渋の決断、というように渋面を見せるアン。
「どうした?」
「いえ、なんでもないわ。これも長期的に見れば遥かにプラス。そうよ、アン。1日くらい……」
何か自分と会話してる……。
次の休日。
ライヤはフィオナと腕を組んで街を歩いていた。
「なのにお前は何してるんだ?」
「ライヤ分の補給よ」
「いや、そんな『当然でしょ』って空気で言われても……」
だが、そんな中働いていない偉い人がここに1人。
「ちゃんと休みは貰ってるわよ」
「休みとか一応貰えるシステムなんだ……」
「お客様が来た時にすぐにブチギレないようにって休養貰ったの」
「理由がエグイ……」
お休みの許可を出したのが誰か知らないが、心労が心配だ。
「頼むから、顔を合わせるなり宣戦布告とかやめてくれよ? 友好的な国同士の交流なんだからな」
「わかってるわよ。だから、こうしてリラックスできるようにしてるのよ」
「さいですか……」
今日も今日とて玄関のドアがぶち破られたわけだが、何を思ったかアンは布団の中のライヤに掛布団越しに覆いかぶさっている。
「ちょっと重……」
「あ?」
「いや、なんでもないです……」
仰向きに寝てる時に人1人上に乗ったら重いと思うのは当然だと思うのだが、そんな当然のことを主張する自由はライヤにはないらしい。
そして布団越しとはいえ、全身が触れ合っているわけであり、柔らかい感触が伝わってきて非常に居心地が悪い。
「このままじゃ起きれないんですけど……」
「いいじゃない、起きなくて」
「アンは寒くないのか?」
「このくらいなら平気よ」
なぜ布団に入ってこようとはしないのか。
アンに関しては布団を引っぺがすばかりで入ろうとして来たことはなかったが、フィオナとヨルは度々挑戦している。
ライヤは固辞しているが、彼女であるアンが入ってくれる分にはやぶさかではない。
「だって恥ずかしいじゃない……」
ぼやーっとそんなことを考えていたら、口に出していないのにそんな返答が返ってきた。
どんなところで以心伝心してんだ。
「いや、何もしないよ……。何もしないは嘘だけど。取り返しのつかないことはしない。あそこでにやついてるやつもいるし」
「え?」
頭がパンク寸前だったらしいアンは気付いていなかったが、ぶち破ったドアの向こうからヨルが覗いていた。
気付いたアンはボボボッと顔を赤くする。
「い、いつから!?」
「そりゃ隣に住んでるんだからドアぶち破ってたりしてたら音で起きるに決まってるだろ……」
至極当然である。
「……今度からドア壊すのやめる……」
「是非そうしてくれ」
今までどうお願いしても直してくれなかった家への訪問方法を遂に改めてくれる時が来た。
ヨル様様である。
「だから、合鍵をちょうだい?」
「俺の一存じゃできない。そこらへんは先輩の権限だ」
「あの女ね……」
少し考え込んだ後、苦渋の決断、というように渋面を見せるアン。
「どうした?」
「いえ、なんでもないわ。これも長期的に見れば遥かにプラス。そうよ、アン。1日くらい……」
何か自分と会話してる……。
次の休日。
ライヤはフィオナと腕を組んで街を歩いていた。
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