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教師2年目
聖女とお祭り
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「王国は良いところだね!」
案内役という名のお世話係。
「ねぇ、あそこ見に行ってもいい?」
「あぁ」
「アンちゃんも!」
「……」
アンもミリアリアを悲しませた負い目があるのか、ハイテンションなミリアリアに大人しく従っている。
王国側はもっと露骨なアピールを予想していた。
ミリアリア本人の感情はともかく、わざわざ聖女を国外に出しているのだ。
ライヤ個人の能力の評価も王国としては高い。
聖王国からの引き抜きだという予想だった。
「あはは! 美味しいね、これ!」
だが、ミリアリアだけで言えば単純に楽しんでいるように見える。
王国の考え過ぎだろうか。
「どうしたの? 楽しくない……?」
「いや、楽しいよ。久しぶりに会えたし」
「そうだよね!」
不安そうな表情からパッと表情が華やぐ。
綺麗というよりは、可愛い顔立ち。
化粧を勉強したということもあり、あどけない顔立ちを少し大人っぽく見せているミリアリア。
表情がころころ変わることもあり、美貌というよりはその楽しげな雰囲気で人の目を引く。
そしてそこにアンとライヤがいるのを見て、あれが聖女かと人々は察し、その笑顔に癒されるのだ。
「聖女してますねぇ……」
「こう見たらそうだな……。聖王国で言う聖女って枠組みじゃなくても、他の形で人々を支える人にはなってたんだろうな」
人の上に立つには才能がいる。
どういった形であれ、人を従わせるには魅力がいるのだ。
それは強さであったり、美しさであったり。
ミリアリアの場合、愛嬌とでも言うのだろうか。
従わせるという表現ではないかもしれないが、協力を得られて結果的に従えられるような人柄だ。
聖女という単語から受ける印象とミリアリアは合致している。
「私はあぁはなれませんね……」
「まだ気にしてたのか?」
「やっぱり目の前にすると意識しちゃうじゃないですか……」
「ん、どうしたのヨルちゃん? 元気ない?」
「い、いえ! なんでもありません!」
「? そう? ならいいけどね! ねぇ、一緒にあそこ行こう!」
「わわ、待ってくださいー!」
ミリアリアに手を引かれ、連れて行かれるヨル。
ミリアリアのぺぇがふよんふよん揺れているが、なぜかいやらしい感じはしない。
健康的というか、なんだろう。
本人はそれを有効活用していたはずなのに、こうして外ではしゃいでいるのを見ると欲に負けなくて良かったなとも思う。
「で、アン。どう思う?」
「ミリアリアは白ね。もう断定でいいわ。違ったらそれまでよ」
「同意だ。前提として、聖王国が何か仕掛けてくる気があるならという話だけど」
「警戒に越したことは無いわ」
ミリアリアが離れたのをいいことに2人で話す。
「あれ、ヨル先生だ」
聞き覚えのある声が聞こえて、ヨルたちの方を振り返る。
そこにいたのはデラロサ。
向こうからお腹を揺すってマロンが歩いてくるのも見える。
「こちらは……?」
ヨルの手を引くミリアリアに視線を向けるデラロサだが、視線が釘付けになる。
言うまでもなく、ぺぇに。
「こちらは聖王国の聖女様で……」
「失礼しましたぁ!」
流れるような90度の礼。
他国の要人の胸に不躾に視線を向けたのだから当然か。
「なぁに? この子」
「あー、ミリアリア。そいつは俺の生徒だ。少々、視線があれだったかもしれんが、許してやってくれ」
「いいよー。慣れてるしね!」
胸を張るミリアリア。
だからその動きでまた視線を集めるだろって。
いやらしさはなくともでかいんだから。
「あれ……? 生徒……?」
「え、言ってなかったか? 俺先生なんだよ」
「聞いてないよ!?」
「覚えてないではなく?」
「うん! 聞いてない!」
「そうかぁ……」
真偽はともかく、認識したのは今で間違いないようだ。
「あ、でもなんか聞いたこともある気が……」
まぁ、絶対に聞いたことあるだろうけど。
「ほえー、聖女様だぁー」
「2人だけか? ゲイルは?」
「なんか用事があるってー」
ゲイルが来れないので2人で祭りを楽しんでいたようだ。
「先生は何してるのー?」
「俺は聖女の案内役だよ。アンとヨルもだ」
「へぇー、すごいねぇー」
相変わらずのんびりしているマロン。
癒されるな。
「ねぇ、ライヤ!」
「なんだ?」
「私、ライヤが先生してるところ見たいな!」
「今は夏休みだから無理でーす」
「じゃあ、学校始まるまでいる!」
「は!? 1か月以上あるぞ!? 予定とかあるだろ!?」
「お願いする!」
ふんすと胸を張るミリアリア。
根拠のない自信が凄い。
あとその胸張るのやめてって。
デラロサが視線向けちゃってまた自己嫌悪に陥っちゃってるから!
案内役という名のお世話係。
「ねぇ、あそこ見に行ってもいい?」
「あぁ」
「アンちゃんも!」
「……」
アンもミリアリアを悲しませた負い目があるのか、ハイテンションなミリアリアに大人しく従っている。
王国側はもっと露骨なアピールを予想していた。
ミリアリア本人の感情はともかく、わざわざ聖女を国外に出しているのだ。
ライヤ個人の能力の評価も王国としては高い。
聖王国からの引き抜きだという予想だった。
「あはは! 美味しいね、これ!」
だが、ミリアリアだけで言えば単純に楽しんでいるように見える。
王国の考え過ぎだろうか。
「どうしたの? 楽しくない……?」
「いや、楽しいよ。久しぶりに会えたし」
「そうだよね!」
不安そうな表情からパッと表情が華やぐ。
綺麗というよりは、可愛い顔立ち。
化粧を勉強したということもあり、あどけない顔立ちを少し大人っぽく見せているミリアリア。
表情がころころ変わることもあり、美貌というよりはその楽しげな雰囲気で人の目を引く。
そしてそこにアンとライヤがいるのを見て、あれが聖女かと人々は察し、その笑顔に癒されるのだ。
「聖女してますねぇ……」
「こう見たらそうだな……。聖王国で言う聖女って枠組みじゃなくても、他の形で人々を支える人にはなってたんだろうな」
人の上に立つには才能がいる。
どういった形であれ、人を従わせるには魅力がいるのだ。
それは強さであったり、美しさであったり。
ミリアリアの場合、愛嬌とでも言うのだろうか。
従わせるという表現ではないかもしれないが、協力を得られて結果的に従えられるような人柄だ。
聖女という単語から受ける印象とミリアリアは合致している。
「私はあぁはなれませんね……」
「まだ気にしてたのか?」
「やっぱり目の前にすると意識しちゃうじゃないですか……」
「ん、どうしたのヨルちゃん? 元気ない?」
「い、いえ! なんでもありません!」
「? そう? ならいいけどね! ねぇ、一緒にあそこ行こう!」
「わわ、待ってくださいー!」
ミリアリアに手を引かれ、連れて行かれるヨル。
ミリアリアのぺぇがふよんふよん揺れているが、なぜかいやらしい感じはしない。
健康的というか、なんだろう。
本人はそれを有効活用していたはずなのに、こうして外ではしゃいでいるのを見ると欲に負けなくて良かったなとも思う。
「で、アン。どう思う?」
「ミリアリアは白ね。もう断定でいいわ。違ったらそれまでよ」
「同意だ。前提として、聖王国が何か仕掛けてくる気があるならという話だけど」
「警戒に越したことは無いわ」
ミリアリアが離れたのをいいことに2人で話す。
「あれ、ヨル先生だ」
聞き覚えのある声が聞こえて、ヨルたちの方を振り返る。
そこにいたのはデラロサ。
向こうからお腹を揺すってマロンが歩いてくるのも見える。
「こちらは……?」
ヨルの手を引くミリアリアに視線を向けるデラロサだが、視線が釘付けになる。
言うまでもなく、ぺぇに。
「こちらは聖王国の聖女様で……」
「失礼しましたぁ!」
流れるような90度の礼。
他国の要人の胸に不躾に視線を向けたのだから当然か。
「なぁに? この子」
「あー、ミリアリア。そいつは俺の生徒だ。少々、視線があれだったかもしれんが、許してやってくれ」
「いいよー。慣れてるしね!」
胸を張るミリアリア。
だからその動きでまた視線を集めるだろって。
いやらしさはなくともでかいんだから。
「あれ……? 生徒……?」
「え、言ってなかったか? 俺先生なんだよ」
「聞いてないよ!?」
「覚えてないではなく?」
「うん! 聞いてない!」
「そうかぁ……」
真偽はともかく、認識したのは今で間違いないようだ。
「あ、でもなんか聞いたこともある気が……」
まぁ、絶対に聞いたことあるだろうけど。
「ほえー、聖女様だぁー」
「2人だけか? ゲイルは?」
「なんか用事があるってー」
ゲイルが来れないので2人で祭りを楽しんでいたようだ。
「先生は何してるのー?」
「俺は聖女の案内役だよ。アンとヨルもだ」
「へぇー、すごいねぇー」
相変わらずのんびりしているマロン。
癒されるな。
「ねぇ、ライヤ!」
「なんだ?」
「私、ライヤが先生してるところ見たいな!」
「今は夏休みだから無理でーす」
「じゃあ、学校始まるまでいる!」
「は!? 1か月以上あるぞ!? 予定とかあるだろ!?」
「お願いする!」
ふんすと胸を張るミリアリア。
根拠のない自信が凄い。
あとその胸張るのやめてって。
デラロサが視線向けちゃってまた自己嫌悪に陥っちゃってるから!
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