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教師2年目
聖女は天才
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「えー、大きなお友達がいますが、あまり気にしないように……」
「ふふーん♪」
ライヤの先生姿を見に来ると言っていたミリアリア。
聖女として学園にお願いして来るのだろうと予想はしていた。
今までも大抵のお願いは通っているからだ。
聖王国の人間としても王国の学習状況を観察できる機会であるので願ったり叶ったりである。
で、聖王国のお偉い方は高学年の授業を見学に行った。
低学年の授業なんて勉強科目は聖王国でも変わらないし、魔法科目も基礎的な部分のみだ。
当然だろう。
だが、ミリアリアはなぜか机と椅子を持ってきていた。
現状9人の2年S級にもう1つ席が増えたのだ。
「じゃあ、とりあえず魔力球がどこまで上達したか見てみようか」
「「はーい」」
各々手の平に魔力球を1つずつ作っていく。
苦戦していたウィルとゲイルも1つ壁を超えたようで、安定したサイズの魔力球を作れるようになっている。
学期が始まる前にゲイルが立ち直ってくれて良かった。
「何してるの~?」
「え、えと、これはですねっ! ライヤ先生考案の魔力制御を鍛える訓練でしてっ!」
ミリアリアの隣の席、説明の役割は本人たっての希望によりデラロサになっている。
普段よりも早口で、声も上ずっている。
ついでに視線が泳ぎまくりだ。
ミリアリアが気にしていないようなので何も言わないが、傍から見ていても視線が一か所に向いては別の場所へ、また戻ってきては別の場所へ。
「へぇ~、そんな効果があるんだね!」
ミリアリア本人は視線にも慣れているし、気にしない性格である。
デラロサもちゃんと説明は行っているため素直に聞いている。
「こうかな?」
んー、と唸りながらミリアリアがポッと白い魔力球を手の平に灯す。
「……上手いな」
「! ライヤが褒めてくれた!?」
そんなに驚愕することじゃないだろ……。
「そういえば、ミリアリアって聖女だったな」
「忘れてたの!?」
「同じく回復魔法が得意なヨルも魔力球を作るのは上手かったな。独学でも魔力制御がかなりの水準だった。回復魔法の使い手は魔力制御が向上する傾向にあるのか……」
確かに人体に作用を及ぼす魔法だし、ただ火を出すのとかは違って魔法の工程の中でより難易度が高いことが行われているだろう。
つまり、適性がある者は魔力制御を伸ばしたい場合は回復魔法の訓練をした方がいいのか……?
「? あれ、ライヤ~?」
「あ、あの、大丈夫です。ちょっとすれば戻ってくるので」
「戻ってくる?」
「その言い方ではわからないでしょうデラロサ君。ミリアリア様、王国第三王女のウィルです」
「うん、知ってるよ~」
「覚えていただき光栄です」
「やだな~、クラスメイトだよ? もっと気楽にね~」
パタパタと手を振ってウィルに楽にするように促すミリアリア。
「では、ちょっと楽にいきましょうか。敬語は常なのでお気になさらず。先生のことですが」
「うん、どうしちゃったの? ぶつぶつ言ってるけど……」
「先生は何か思いつくとこうして思考の世界に飛んでしまう事があるのです。私たちも最初は焦りましたが、大抵は10分から20分ほどで戻ってきますし、どれだけ長くても授業終わりのチャイムで我に返りますから、放っておいても大丈夫です」
「それ、先生としていいの~?」
正論である。
「まぁ、多少は特殊ではあるでしょう。ですが、先生はそもそもが特殊です。一介の教師ではありませんから。そんな先生の思考の妨げをするなんて、私たちにはとてもできません」
ミクも含め、それぞれ頷く生徒たち。
キリトは何の反応もせず、窓の外を見ながら手の平の魔力球を指に沿わせている。
なんだかんだ授業自体には積極的に参加するようになってきていた。
「へぇ~、やっぱりライヤは凄いんだねぇ~」
「そこでといってはなんですけど。アドバイスをいただいても?」
「え、わたし?」
「はい。恥ずかしながら、私は魔力制御が苦手でして、最近やっとこれが作れるようになったものの、かなりの集中を要しますし、2つ目などとてもではありません」
「2つ目? うーん……」
少しミリアリアが自らの手を見やり集中すると、また1つ同じサイズの魔力球が生まれる。
「そのようにできるようなコツなどあれば是非とも教えていただきたいです」
「んー、勝手にやってもいいのかなぁ」
「そこは問題ありません。ライヤ先生があぁなった時はヨル先生が代わりにやっていたりしますし」
「ん、じゃあ、ちょっとやってみる?」
「なんだこれ」
ライヤが思考の世界から戻ってくると、ミリアリアが教壇に立っていた。
「ギューッとやって、そこからポンって感じ! 外側にポンって!」
聞くに堪えない超感覚的な説明をしているミリアリアと、それを聞いて困っている生徒たち。
「あー、また俺ボーっとしてたか、悪かった。ミリアリア、悪いことは言わんから席に戻れ」
「えー!?」
「お前のやり方じゃ無理だ。お前がちゃんと聖女だってのがわかる光景だったわ」
回復魔法を信奉する聖王国においてろくに魔法の勉強もせずに聖女になっているミリアリア。
そりゃ天才に決まっている。
そしてアンよりも更に感覚的なタイプだったようだ。
「ふふーん♪」
ライヤの先生姿を見に来ると言っていたミリアリア。
聖女として学園にお願いして来るのだろうと予想はしていた。
今までも大抵のお願いは通っているからだ。
聖王国の人間としても王国の学習状況を観察できる機会であるので願ったり叶ったりである。
で、聖王国のお偉い方は高学年の授業を見学に行った。
低学年の授業なんて勉強科目は聖王国でも変わらないし、魔法科目も基礎的な部分のみだ。
当然だろう。
だが、ミリアリアはなぜか机と椅子を持ってきていた。
現状9人の2年S級にもう1つ席が増えたのだ。
「じゃあ、とりあえず魔力球がどこまで上達したか見てみようか」
「「はーい」」
各々手の平に魔力球を1つずつ作っていく。
苦戦していたウィルとゲイルも1つ壁を超えたようで、安定したサイズの魔力球を作れるようになっている。
学期が始まる前にゲイルが立ち直ってくれて良かった。
「何してるの~?」
「え、えと、これはですねっ! ライヤ先生考案の魔力制御を鍛える訓練でしてっ!」
ミリアリアの隣の席、説明の役割は本人たっての希望によりデラロサになっている。
普段よりも早口で、声も上ずっている。
ついでに視線が泳ぎまくりだ。
ミリアリアが気にしていないようなので何も言わないが、傍から見ていても視線が一か所に向いては別の場所へ、また戻ってきては別の場所へ。
「へぇ~、そんな効果があるんだね!」
ミリアリア本人は視線にも慣れているし、気にしない性格である。
デラロサもちゃんと説明は行っているため素直に聞いている。
「こうかな?」
んー、と唸りながらミリアリアがポッと白い魔力球を手の平に灯す。
「……上手いな」
「! ライヤが褒めてくれた!?」
そんなに驚愕することじゃないだろ……。
「そういえば、ミリアリアって聖女だったな」
「忘れてたの!?」
「同じく回復魔法が得意なヨルも魔力球を作るのは上手かったな。独学でも魔力制御がかなりの水準だった。回復魔法の使い手は魔力制御が向上する傾向にあるのか……」
確かに人体に作用を及ぼす魔法だし、ただ火を出すのとかは違って魔法の工程の中でより難易度が高いことが行われているだろう。
つまり、適性がある者は魔力制御を伸ばしたい場合は回復魔法の訓練をした方がいいのか……?
「? あれ、ライヤ~?」
「あ、あの、大丈夫です。ちょっとすれば戻ってくるので」
「戻ってくる?」
「その言い方ではわからないでしょうデラロサ君。ミリアリア様、王国第三王女のウィルです」
「うん、知ってるよ~」
「覚えていただき光栄です」
「やだな~、クラスメイトだよ? もっと気楽にね~」
パタパタと手を振ってウィルに楽にするように促すミリアリア。
「では、ちょっと楽にいきましょうか。敬語は常なのでお気になさらず。先生のことですが」
「うん、どうしちゃったの? ぶつぶつ言ってるけど……」
「先生は何か思いつくとこうして思考の世界に飛んでしまう事があるのです。私たちも最初は焦りましたが、大抵は10分から20分ほどで戻ってきますし、どれだけ長くても授業終わりのチャイムで我に返りますから、放っておいても大丈夫です」
「それ、先生としていいの~?」
正論である。
「まぁ、多少は特殊ではあるでしょう。ですが、先生はそもそもが特殊です。一介の教師ではありませんから。そんな先生の思考の妨げをするなんて、私たちにはとてもできません」
ミクも含め、それぞれ頷く生徒たち。
キリトは何の反応もせず、窓の外を見ながら手の平の魔力球を指に沿わせている。
なんだかんだ授業自体には積極的に参加するようになってきていた。
「へぇ~、やっぱりライヤは凄いんだねぇ~」
「そこでといってはなんですけど。アドバイスをいただいても?」
「え、わたし?」
「はい。恥ずかしながら、私は魔力制御が苦手でして、最近やっとこれが作れるようになったものの、かなりの集中を要しますし、2つ目などとてもではありません」
「2つ目? うーん……」
少しミリアリアが自らの手を見やり集中すると、また1つ同じサイズの魔力球が生まれる。
「そのようにできるようなコツなどあれば是非とも教えていただきたいです」
「んー、勝手にやってもいいのかなぁ」
「そこは問題ありません。ライヤ先生があぁなった時はヨル先生が代わりにやっていたりしますし」
「ん、じゃあ、ちょっとやってみる?」
「なんだこれ」
ライヤが思考の世界から戻ってくると、ミリアリアが教壇に立っていた。
「ギューッとやって、そこからポンって感じ! 外側にポンって!」
聞くに堪えない超感覚的な説明をしているミリアリアと、それを聞いて困っている生徒たち。
「あー、また俺ボーっとしてたか、悪かった。ミリアリア、悪いことは言わんから席に戻れ」
「えー!?」
「お前のやり方じゃ無理だ。お前がちゃんと聖女だってのがわかる光景だったわ」
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そりゃ天才に決まっている。
そしてアンよりも更に感覚的なタイプだったようだ。
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