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魔界迷走
混浴は男の夢だよね
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数日後、なんやかんやあったが無事に温泉自体は完成し、アンリさんもヘスティアさんに対する恐怖を乗り越えたようだ。土のかまくらから出てきている。一度出てしまえばそこは神。除去自体は一瞬だった。
よっぽどヘスティアさんが怖かったんだな…。
そして、俺は今アンリさんと対面している。ヘスティアさんとリオンには「一対一で話したいからちょっと離れていてくれ」と言っておいた。多少不審がってはいたが、「男にはこういう時が必要なんだ」とかいうわけのわからない理論で遠ざけることに成功した。
さて、本来なら命の危険があるので是非とも二人には同席していただきたいのだが、俺は敢えて席を外してもらった。それはなぜか。
ずばり、聞かれたくないことを話すからである。
「…悪かったな。ちょっと昔からヘスティアには苦手意識があってな…」
「うん、わかります」
あの問答無用って圧はやばかった。その圧を向けられていない俺たちもビビってたんだからな。
「で、お前がここに残せるものっていうのはあれでいいのか?」
視線の先にあるのはもちろん俺が(というよりリオンが)掘った温泉。
「あれが通行量になるほど、他の世界と繋げるのは安かねぇとは思うが?」
やっぱだめか…。
しかし、俺には最終兵器がある。
「あれは俺がもといた世界で故郷の名物だった温泉というものだ。その名の通り、温かいお湯が湧き出ている泉だな。で、俺たちはあれを風呂として昔から利用してきたわけなんだが…」
ここで俺は切り札をきる。
「そこには『混浴』という文化があってですね…」
「ほう?」
「男女が一緒の浴槽に入るという文化なんですが…」
「で、そのどこが俺に得があるんだ?」
「よく考えてみて下さい。今、アンリさんはリオンが親離れしていくことを寂しがっていますね?」
「あぁ、そりゃ親なら当然だろ?」
やや過剰な気はしなくもないが…。
「しかし、こちらから無理に近づいてもより遠ざかっていくだけです」
現状それだし。
「ここで思い出してみて下さい…。昔、もっとリオンが小さかった頃は一緒にお風呂に入ったりしてたんじゃないですか?」
「…してたな。あの頃は『パパと結婚する!』って言ってくれてたのに…」
こういうタイプの親に一番言っちゃダメなやつやん。
「この『混浴』は合法的にリオンとの入浴を実現する手段なのです」
そこまで言った瞬間、アンリさんの顔が輝く。
「さらに!」
畳みかけていく俺。
「小さかった頃にはなかった女性としての魅力を得たリオンをその目に焼き付けることができます!」
「おぉ!」
ガタッ!
興奮のあまり椅子から立ち上がってガッツポーズをする魔王。
自分で提案しててなんだが、こいつまじか。普通自分の娘の裸が気になる奴いるか?ヤバいとは思ってたけど、ここまでとは…。
「契約成立だ。俺たちは最早同士。もちろん、ヘスティアの世界へ戻るのを許可しよう」
「ありがとうございます」
がっちりと握手を交わす俺たち。
まぁ、元の世界に戻ることはできないんだな。あんまり、ってかまじで未練はないからもういいか。敢えて言えばHUNT○R×HU○TERとワン〇ースを最後まで見たかったが、仕方がない。あれら終わる気配ないし。
熱い友情を交わした俺たちが意気揚々と温泉を振り返ると、そこにはしきりで区切られ、明確に男湯と女湯に分かれた湯船があった。
「「なんで…」」
よっぽどヘスティアさんが怖かったんだな…。
そして、俺は今アンリさんと対面している。ヘスティアさんとリオンには「一対一で話したいからちょっと離れていてくれ」と言っておいた。多少不審がってはいたが、「男にはこういう時が必要なんだ」とかいうわけのわからない理論で遠ざけることに成功した。
さて、本来なら命の危険があるので是非とも二人には同席していただきたいのだが、俺は敢えて席を外してもらった。それはなぜか。
ずばり、聞かれたくないことを話すからである。
「…悪かったな。ちょっと昔からヘスティアには苦手意識があってな…」
「うん、わかります」
あの問答無用って圧はやばかった。その圧を向けられていない俺たちもビビってたんだからな。
「で、お前がここに残せるものっていうのはあれでいいのか?」
視線の先にあるのはもちろん俺が(というよりリオンが)掘った温泉。
「あれが通行量になるほど、他の世界と繋げるのは安かねぇとは思うが?」
やっぱだめか…。
しかし、俺には最終兵器がある。
「あれは俺がもといた世界で故郷の名物だった温泉というものだ。その名の通り、温かいお湯が湧き出ている泉だな。で、俺たちはあれを風呂として昔から利用してきたわけなんだが…」
ここで俺は切り札をきる。
「そこには『混浴』という文化があってですね…」
「ほう?」
「男女が一緒の浴槽に入るという文化なんですが…」
「で、そのどこが俺に得があるんだ?」
「よく考えてみて下さい。今、アンリさんはリオンが親離れしていくことを寂しがっていますね?」
「あぁ、そりゃ親なら当然だろ?」
やや過剰な気はしなくもないが…。
「しかし、こちらから無理に近づいてもより遠ざかっていくだけです」
現状それだし。
「ここで思い出してみて下さい…。昔、もっとリオンが小さかった頃は一緒にお風呂に入ったりしてたんじゃないですか?」
「…してたな。あの頃は『パパと結婚する!』って言ってくれてたのに…」
こういうタイプの親に一番言っちゃダメなやつやん。
「この『混浴』は合法的にリオンとの入浴を実現する手段なのです」
そこまで言った瞬間、アンリさんの顔が輝く。
「さらに!」
畳みかけていく俺。
「小さかった頃にはなかった女性としての魅力を得たリオンをその目に焼き付けることができます!」
「おぉ!」
ガタッ!
興奮のあまり椅子から立ち上がってガッツポーズをする魔王。
自分で提案しててなんだが、こいつまじか。普通自分の娘の裸が気になる奴いるか?ヤバいとは思ってたけど、ここまでとは…。
「契約成立だ。俺たちは最早同士。もちろん、ヘスティアの世界へ戻るのを許可しよう」
「ありがとうございます」
がっちりと握手を交わす俺たち。
まぁ、元の世界に戻ることはできないんだな。あんまり、ってかまじで未練はないからもういいか。敢えて言えばHUNT○R×HU○TERとワン〇ースを最後まで見たかったが、仕方がない。あれら終わる気配ないし。
熱い友情を交わした俺たちが意気揚々と温泉を振り返ると、そこにはしきりで区切られ、明確に男湯と女湯に分かれた湯船があった。
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