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王太子妃②
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「それはそうと、今日はお姉様に元気になってもらおうと色々持ってきたんです。例えばりんご、それとこれはキウイという南の国のフルーツです」
わたしは魔法袋から次々とフルーツを出した。
「キウイ?初めて聞くけれど、こんな毛むくじゃらな物がフルーツなの?」
私はモナに向かって言った。
「モナ。皮を剥いて食べやすい大きさに切ってもらえる?他のフルーツも一緒に」
「かしこまりました。リリアナ様」
モナがテーブルの上であっという間にりんごや桃と一緒にキウイをカットしてお皿に盛り付けた。
「お待たせしました。どうぞ」
マリアベルお姉様が恐る恐るフォークでキウイを刺す。
「中は鮮やかなみどり色なのね」
口に入れるとお姉様は目を見開いた。
「美味しい。甘いけど酸味があって食べやすいわ」
喜んでもらえて何よりだ。そしてさらに試したいものがある。
「あと、もしかしたらこれも食べられるかもしれません」
私は魔法袋からお皿を出した。
その上には山盛りの揚げたてフライドポテトが乗っている。
「えーと、それはまさか揚げ物では?」
驚愕のお姉様に変わりモナが聞く。
「そうです。ジャガイモを細くカットして揚げて塩を振ったフライドポテトです」
「リリアナ様のお心遣いはありがたいのですが、流石に揚げ物はどうかと……」
そう辞退する姿勢のモナの言葉をマリアベルお姉様が遮った。
「ちょっと待って。なんだか良い匂いだわ。少しだけ頂こうかしら」
「はい、試してみてください」
マリアベルお姉さんはフライドポテトを一本手に取ると口に運んだ。
サクッ。モグモグ……。
「……美味しい。食べられるわ。気持ち悪くならない」
その様子を見ていたモナがたまらずに私に尋ねた。
「リリアナ様。これは何か魔法のような物がかけてあるフライドポテトですか?」
「魔法はかかっていないわよ。ジャガイモも市場に売ってる普通のジャガイモに普通の塩よ」
「まさかつわりの最中に揚げ物とは……。盲点でした」
「皆が食べられるわけじゃないみたいだけど、塩気がいいって人が多いらしいわ。でも食べ過ぎには注意してくださいね」
「ええ。リリィ、本当にありがとう」
お姉様は少し元気になったようで、久しぶりにお茶を飲みながら色んな話をした。
あのジェイドという騎士がロベルト兄様と店に来た時の様子についてもだ。
「ジェイドの勘違いも困るけど、ロベルト兄様も悪いわ。あんな勘違いさせるような言い方をするんだもの」
私がそういうと、マリアベルお姉様は声をあげて笑った。
「ふふっ。ああ、可笑しい。私もその様子を見てみたかったわ。まあ、ロベルトも真面目すぎるところがあるから。それにリリィが私たちにとって家族同然の大切な存在であることは間違いないしね」
そう言ってもらえるのはとても嬉しいが、変な噂が立ったら困る。
「ジェイドは口が軽くないからきっと大丈夫よ。それにしてもやっぱりリリィに来てもらうと元気になれるわ。本当に来てくれてありがとう」
お姉様の言葉にこちらこそ元気をもらえる。
私達はその後もたわいない会話をし、私はまた遠くないうちに訪ねることを約束した。
店の前まで戻ってくると、窓から店内を覗いている人物が見えた。
ジェイドだ。
今日は非番なのか騎士団の制服ではなく、貴族の服装でもない。平民が着るような服装をしている。
「あいつ、ジェイドだな。何か用でもあるのか?」
私の足元にいるレオンが彼の姿に首を傾げた。
「面倒な予感しかしないけど、あそこにいられたら怪しすぎるわ。とりあえず、声をかけてみましょう」
私はレオンに向かってそう言うと、ジェイドに後ろから声をかけた。
「あの……。うちの店に何かご用ですか?」
ジェイドはビクッとすると、ゆっくり振り向いた。
気まずそうにしているが、こっちも同様だ。
少しの沈黙の後、ジェイドは何かを決意したように私に言った。
「いいか? お前の為に言っておく。ロベルト様と王太子妃様は非常に仲の良いご夫婦だ。ロベルト様をたぶらかすなんてお前のやっている事は国の未来を脅かすと言ってもいい重罪だ」
「たっ!? たぶらかす?」
私が? ロベルト兄様を?
「これからお前が私欲の為に王太子ご夫妻の仲を裂こうとするなら俺が黙っていないからな。愛人になろうなんて考えないで、さっさと手を引いた方が身のためだ。忠告はしたからな!」
言いたいことだけ言ってジェイドは走って行ってしまった。
「ちょっと!! たぶらかしてなんかないから!」
私がジェイドが去って行った方に向かって言うが、レオンが足元でため息をついた。
「もう聞こえてないだろうな」
一体なんなんだ!!
確認もせずに失礼にも程がある。
「もうっ! 失礼なヤツ。占った時は妹思いのいい人だと思ったのに!」
店のドアを開けて中に入りながら私はレオンに言った。
「アハハハ! リリィがロベルトの愛人とか、本当に面白い事言うやつだな」
店に入ったレオンは、仰向けに転がると肉球の可愛い両手をお腹に当てると笑い出した。
「笑い事じゃないんだけど」
誤解を解きたいけど、自分から会いに行くのも何か悔しい気がした。
わたしは魔法袋から次々とフルーツを出した。
「キウイ?初めて聞くけれど、こんな毛むくじゃらな物がフルーツなの?」
私はモナに向かって言った。
「モナ。皮を剥いて食べやすい大きさに切ってもらえる?他のフルーツも一緒に」
「かしこまりました。リリアナ様」
モナがテーブルの上であっという間にりんごや桃と一緒にキウイをカットしてお皿に盛り付けた。
「お待たせしました。どうぞ」
マリアベルお姉様が恐る恐るフォークでキウイを刺す。
「中は鮮やかなみどり色なのね」
口に入れるとお姉様は目を見開いた。
「美味しい。甘いけど酸味があって食べやすいわ」
喜んでもらえて何よりだ。そしてさらに試したいものがある。
「あと、もしかしたらこれも食べられるかもしれません」
私は魔法袋からお皿を出した。
その上には山盛りの揚げたてフライドポテトが乗っている。
「えーと、それはまさか揚げ物では?」
驚愕のお姉様に変わりモナが聞く。
「そうです。ジャガイモを細くカットして揚げて塩を振ったフライドポテトです」
「リリアナ様のお心遣いはありがたいのですが、流石に揚げ物はどうかと……」
そう辞退する姿勢のモナの言葉をマリアベルお姉様が遮った。
「ちょっと待って。なんだか良い匂いだわ。少しだけ頂こうかしら」
「はい、試してみてください」
マリアベルお姉さんはフライドポテトを一本手に取ると口に運んだ。
サクッ。モグモグ……。
「……美味しい。食べられるわ。気持ち悪くならない」
その様子を見ていたモナがたまらずに私に尋ねた。
「リリアナ様。これは何か魔法のような物がかけてあるフライドポテトですか?」
「魔法はかかっていないわよ。ジャガイモも市場に売ってる普通のジャガイモに普通の塩よ」
「まさかつわりの最中に揚げ物とは……。盲点でした」
「皆が食べられるわけじゃないみたいだけど、塩気がいいって人が多いらしいわ。でも食べ過ぎには注意してくださいね」
「ええ。リリィ、本当にありがとう」
お姉様は少し元気になったようで、久しぶりにお茶を飲みながら色んな話をした。
あのジェイドという騎士がロベルト兄様と店に来た時の様子についてもだ。
「ジェイドの勘違いも困るけど、ロベルト兄様も悪いわ。あんな勘違いさせるような言い方をするんだもの」
私がそういうと、マリアベルお姉様は声をあげて笑った。
「ふふっ。ああ、可笑しい。私もその様子を見てみたかったわ。まあ、ロベルトも真面目すぎるところがあるから。それにリリィが私たちにとって家族同然の大切な存在であることは間違いないしね」
そう言ってもらえるのはとても嬉しいが、変な噂が立ったら困る。
「ジェイドは口が軽くないからきっと大丈夫よ。それにしてもやっぱりリリィに来てもらうと元気になれるわ。本当に来てくれてありがとう」
お姉様の言葉にこちらこそ元気をもらえる。
私達はその後もたわいない会話をし、私はまた遠くないうちに訪ねることを約束した。
店の前まで戻ってくると、窓から店内を覗いている人物が見えた。
ジェイドだ。
今日は非番なのか騎士団の制服ではなく、貴族の服装でもない。平民が着るような服装をしている。
「あいつ、ジェイドだな。何か用でもあるのか?」
私の足元にいるレオンが彼の姿に首を傾げた。
「面倒な予感しかしないけど、あそこにいられたら怪しすぎるわ。とりあえず、声をかけてみましょう」
私はレオンに向かってそう言うと、ジェイドに後ろから声をかけた。
「あの……。うちの店に何かご用ですか?」
ジェイドはビクッとすると、ゆっくり振り向いた。
気まずそうにしているが、こっちも同様だ。
少しの沈黙の後、ジェイドは何かを決意したように私に言った。
「いいか? お前の為に言っておく。ロベルト様と王太子妃様は非常に仲の良いご夫婦だ。ロベルト様をたぶらかすなんてお前のやっている事は国の未来を脅かすと言ってもいい重罪だ」
「たっ!? たぶらかす?」
私が? ロベルト兄様を?
「これからお前が私欲の為に王太子ご夫妻の仲を裂こうとするなら俺が黙っていないからな。愛人になろうなんて考えないで、さっさと手を引いた方が身のためだ。忠告はしたからな!」
言いたいことだけ言ってジェイドは走って行ってしまった。
「ちょっと!! たぶらかしてなんかないから!」
私がジェイドが去って行った方に向かって言うが、レオンが足元でため息をついた。
「もう聞こえてないだろうな」
一体なんなんだ!!
確認もせずに失礼にも程がある。
「もうっ! 失礼なヤツ。占った時は妹思いのいい人だと思ったのに!」
店のドアを開けて中に入りながら私はレオンに言った。
「アハハハ! リリィがロベルトの愛人とか、本当に面白い事言うやつだな」
店に入ったレオンは、仰向けに転がると肉球の可愛い両手をお腹に当てると笑い出した。
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