国の命運を握る星読みの魔女やってます

iru

文字の大きさ
12 / 21

王太子妃②

しおりを挟む
「それはそうと、今日はお姉様に元気になってもらおうと色々持ってきたんです。例えばりんご、それとこれはキウイという南の国のフルーツです」
わたしは魔法袋から次々とフルーツを出した。
「キウイ?初めて聞くけれど、こんな毛むくじゃらな物がフルーツなの?」
私はモナに向かって言った。
「モナ。皮を剥いて食べやすい大きさに切ってもらえる?他のフルーツも一緒に」
「かしこまりました。リリアナ様」
モナがテーブルの上であっという間にりんごや桃と一緒にキウイをカットしてお皿に盛り付けた。
「お待たせしました。どうぞ」
マリアベルお姉様が恐る恐るフォークでキウイを刺す。
「中は鮮やかなみどり色なのね」
口に入れるとお姉様は目を見開いた。
「美味しい。甘いけど酸味があって食べやすいわ」
喜んでもらえて何よりだ。そしてさらに試したいものがある。
「あと、もしかしたらこれも食べられるかもしれません」
私は魔法袋からお皿を出した。
その上には山盛りの揚げたてフライドポテトが乗っている。
「えーと、それはまさか揚げ物では?」
驚愕のお姉様に変わりモナが聞く。
「そうです。ジャガイモを細くカットして揚げて塩を振ったフライドポテトです」
「リリアナ様のお心遣いはありがたいのですが、流石に揚げ物はどうかと……」
そう辞退する姿勢のモナの言葉をマリアベルお姉様が遮った。
「ちょっと待って。なんだか良い匂いだわ。少しだけ頂こうかしら」
「はい、試してみてください」
マリアベルお姉さんはフライドポテトを一本手に取ると口に運んだ。
サクッ。モグモグ……。
「……美味しい。食べられるわ。気持ち悪くならない」
その様子を見ていたモナがたまらずに私に尋ねた。
「リリアナ様。これは何か魔法のような物がかけてあるフライドポテトですか?」
「魔法はかかっていないわよ。ジャガイモも市場に売ってる普通のジャガイモに普通の塩よ」
「まさかつわりの最中に揚げ物とは……。盲点でした」
「皆が食べられるわけじゃないみたいだけど、塩気がいいって人が多いらしいわ。でも食べ過ぎには注意してくださいね」
「ええ。リリィ、本当にありがとう」
お姉様は少し元気になったようで、久しぶりにお茶を飲みながら色んな話をした。
あのジェイドという騎士がロベルト兄様と店に来た時の様子についてもだ。
「ジェイドの勘違いも困るけど、ロベルト兄様も悪いわ。あんな勘違いさせるような言い方をするんだもの」
私がそういうと、マリアベルお姉様は声をあげて笑った。
「ふふっ。ああ、可笑しい。私もその様子を見てみたかったわ。まあ、ロベルトも真面目すぎるところがあるから。それにリリィが私たちにとって家族同然の大切な存在であることは間違いないしね」
そう言ってもらえるのはとても嬉しいが、変な噂が立ったら困る。
「ジェイドは口が軽くないからきっと大丈夫よ。それにしてもやっぱりリリィに来てもらうと元気になれるわ。本当に来てくれてありがとう」
お姉様の言葉にこちらこそ元気をもらえる。
私達はその後もたわいない会話をし、私はまた遠くないうちに訪ねることを約束した。

店の前まで戻ってくると、窓から店内を覗いている人物が見えた。
ジェイドだ。
今日は非番なのか騎士団の制服ではなく、貴族の服装でもない。平民が着るような服装をしている。
「あいつ、ジェイドだな。何か用でもあるのか?」
私の足元にいるレオンが彼の姿に首を傾げた。
「面倒な予感しかしないけど、あそこにいられたら怪しすぎるわ。とりあえず、声をかけてみましょう」
私はレオンに向かってそう言うと、ジェイドに後ろから声をかけた。
「あの……。うちの店に何かご用ですか?」
ジェイドはビクッとすると、ゆっくり振り向いた。
気まずそうにしているが、こっちも同様だ。
少しの沈黙の後、ジェイドは何かを決意したように私に言った。
「いいか? お前の為に言っておく。ロベルト様と王太子妃様は非常に仲の良いご夫婦だ。ロベルト様をたぶらかすなんてお前のやっている事は国の未来を脅かすと言ってもいい重罪だ」
「たっ!? たぶらかす?」
私が? ロベルト兄様を?
「これからお前が私欲の為に王太子ご夫妻の仲を裂こうとするなら俺が黙っていないからな。愛人になろうなんて考えないで、さっさと手を引いた方が身のためだ。忠告はしたからな!」
言いたいことだけ言ってジェイドは走って行ってしまった。
「ちょっと!! たぶらかしてなんかないから!」
私がジェイドが去って行った方に向かって言うが、レオンが足元でため息をついた。
「もう聞こえてないだろうな」
一体なんなんだ!!
確認もせずに失礼にも程がある。
「もうっ! 失礼なヤツ。占った時は妹思いのいい人だと思ったのに!」
店のドアを開けて中に入りながら私はレオンに言った。
「アハハハ! リリィがロベルトの愛人とか、本当に面白い事言うやつだな」
店に入ったレオンは、仰向けに転がると肉球の可愛い両手をお腹に当てると笑い出した。
「笑い事じゃないんだけど」
誤解を解きたいけど、自分から会いに行くのも何か悔しい気がした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

【完結】辺境伯の溺愛が重すぎます~追放された薬師見習いは、領主様に囲われています~

深山きらら
恋愛
王都の薬師ギルドで見習いとして働いていたアディは、先輩の陰謀により濡れ衣を着せられ追放される。絶望の中、辺境の森で魔獣に襲われた彼女を救ったのは、「氷の辺境伯」と呼ばれるルーファスだった。彼女の才能を見抜いたルーファスは、アディを専属薬師として雇用する。

皇帝とおばちゃん姫の恋物語

ひとみん
恋愛
二階堂有里は52歳の主婦。ある日事故に巻き込まれ死んじゃったけど、女神様に拾われある人のお世話係を頼まれ第二の人生を送る事に。 そこは異世界で、年若いアルフォンス皇帝陛下が治めるユリアナ帝国へと降り立つ。 てっきり子供のお世話だと思っていたら、なんとその皇帝陛下のお世話をすることに。 まぁ、異世界での息子と思えば・・・と生活し始めるけれど、周りはただのお世話係とは見てくれない。 女神様に若返らせてもらったけれど、これといって何の能力もない中身はただのおばちゃんの、ほんわか恋愛物語です。

剣士に扮した男爵令嬢は、幽居の公子の自由を願う

石月 和花
恋愛
 両親が亡くなって男爵家を叔父に乗っ取られた令嬢のアンナは、騎士だった父から受けた手解きのお陰で、剣を手に取り冒険者として日銭を稼ぎながら弟を育てていた。  そんなある日、ひょんな事から訳ありそうな冒険者ルーフェスと知り合ったのだった。  アンナは、いつも自分の事を助けてくれるルーフェスに、段々と心が惹かれていったが、彼女にはその想いを素直に認められなかった。  何故ならアンナの目標は、叔父に乗っ取られた男爵位を取り返して身分を回復し、弟に爵位を継がせる事だったから。この願いが叶うと、冒険者のルーフェスとは会えなくなるのだ。  貴族の身分を取り戻したい気持ちと、冒険者としてルーフェスの隣に居たい気持ちの間で悩み葛藤するそんな中で、アンナはルーフェスの重大な秘密を知ってしまうのであった…… ## ファンタジー小説大賞にエントリーしています。気に入って頂けましたら、応援よろしくお願いします! ## この話は、別タイトルで小説家になろうでも掲載しています。

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

離婚するはずの旦那様を、なぜか看病しています

鍛高譚
恋愛
「結婚とは、貴族の義務。そこに愛など不要――」 そう割り切っていた公爵令嬢アルタイは、王命により辺境伯ベガと契約結婚することに。 お互い深入りしない仮面夫婦として過ごすはずが、ある日ベガが戦地へ赴くことになり、彼はアルタイにこう告げる。 「俺は生きて帰れる自信がない。……だから、お前を自由にしてやりたい」 あっさりと“離婚”を申し出る彼に、アルタイは皮肉めいた笑みを浮かべる。 「では、戦争が終わり、貴方が帰るまで離婚は待ちましょう。   戦地で女でも作ってきてください。そうすれば、心置きなく別れられます」 ――しかし、戦争は長引き、何年も経ったのちにようやく帰還したベガは、深い傷を負っていた。 彼を看病しながら、アルタイは自分の心が変化していることに気づく。 「早く元気になってもらわないと、離婚できませんね?」 「……本当に、離婚したいのか?」 最初は“義務”だったはずの結婚。しかし、夫婦として過ごすうちに、仮面は次第に剥がれていく。 やがて、二人の離婚を巡る噂が王宮を騒がせる中、ベガは決意を固める――。

聖女じゃなかったので、カフェで働きます

風音悠鈴
恋愛
光魔法が使えず「聖女失格」と追放された大学生・藍里。 聖女じゃないと城を追い出されたけど、実は闇属性+女神の加護持ちのチートだった⁉︎ 望みはカフェでのスローライフだけ。 乙女ゲーム世界の歪みから大切な日常を守ります! 全30話予定

皇帝陛下の愛娘は今日も無邪気に笑う

下菊みこと
恋愛
愛娘にしか興味ない冷血の皇帝のお話。 小説家になろう様でも掲載しております。

処理中です...