食堂の給仕係は元S級冒険者

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ダンジョン踏破

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「ついにダンジョンボスに挑む時がやってきた。皆、準備はいいか?」

ダンジョンの地下90階、レリーフが彫られた大きな石の扉の前で、パーティのリーダーである大剣使いのハリソンが私達に聞いた。

私達はこのガレリアという国でS級冒険者にまで上り詰めたパーティだ。

パーティ名は白銀の翼。

剣士の私、アニエス。

魔道士のモーリス、ヒーラーのユーリ。

そして私の長年の片思いの相手であるリーダーで大剣使いのハリソンだ。

私達4人の長年の夢であるダンジョンボスにようやく挑む時がやってきた。

準備も万端だ。

ハリソンの言葉に私達は頷く。

「では行こう! 栄光への一歩だ!」

ギイッとボス部屋の大きな扉をハリソンが押し開ける。

「事前の情報通りレッドドラゴンだな」

ボス部屋を開けると、最強種であるレッドドラゴンが部屋の奥に鎮座している。

すごい威圧感だ。

「落ち着いて、いつものようにやればいい。俺たちなら絶対に勝てる」

この為にずっと頑張ってきた。

「ああ、もちろんだ! やってやろうぜ」

モーリスが杖を構える。

「私も、全力でサポートするわ!」

ユーリはヒーラーだが、支援系の魔法もかけてくれる。

「アニエス、お前を信じてる。俺も信じてくれ」

ハリソンはレッドドラゴンから目を離さずに私に言った。

「もちろん信じてる。準備はいいよ」

私は自分に身体強化をかける。

「行くぞ!」

ハリソンの掛け声と共にモーリスが氷結魔法を撃ち込む。

ユーリは支援魔法で炎耐性強化をかける。

私は高くジャンプしレッドドラゴンの両目に向かって斬撃を与える。

「ハリソン! 今!」

レッドドラゴンに隙ができ、ハリソンが大剣を振り下ろす。

…どれくらいの時間が経っただろうか。

ズシーン!!

満身創痍の私達はやっとの思いでレッドドラゴンを倒した。

「やった……の?」

「やった! やったぞ!」

ハリソンが私に抱きつく。

嬉しさに涙が勝手に流れる。

「ついに俺たちはダンジョンを踏破したぞ!」

後衛の2人も走ってきて、4人で喜びを分かち合う。

最高のパーティだ。

このパーティに入れて本当に幸運だ。

そう思っていた……。

この日までは。

「アニエス!俺、ダンジョンボスを倒したらずっとお前に言いたかったことがあるんだ」

えっ……。

ハリソンが私の頭を撫でながら言った。

「明日の昼、カフェで待ち合わせしないか?」

パーティメンバーのモーリスとユーリは付き合っていて、ダンジョンボスを倒したら結婚すると言っている。

私もダンジョンボスを倒したらハリソンに告白するって決めていた。

いつも私を特別扱いしてくれる。

お前は何より大切だって言ってくれたこともある。

何よりいつも私の頭を撫でるこの距離感。

もしかして、ハリソンの方から告白してくれるのかな。

「うん、わかった。明日カフェでね」

「しっかり体を休めてくるんだぞ。無理はしなくていいからな」

うう、優しい。

そういう気遣いができるところも大好きだ。

ハリソンがいたからここまでやってこれた。

「それじゃあ帰還するか」

私達はそうしてダンジョンを踏破した数少ないパーティへとなったのだった。
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