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冒険者やめます
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次の日、私は街のカフェでハリソンを待っていた。
こんなことならもっとマシな服を買っておくんだった。
母の顔をしらない私は、幼い頃から冒険者の父にくっついて各地を旅してきた。
身体強化を使えるようになった私に、父は自身がなれなかった冒険者の高みを夢見て、くる日もくる日も剣の練習をさせた。
父は残念ながらニ年前に帰らぬ人となったが、その頃には今のパーティに入っており、メンバーが私を支えてくれたおかげで父を失った悲しみから抜け出すことができた。
私は同じ年代の女の子がオシャレや恋の話をしている間にひたすら魔物を倒して、ダンジョンに挑み、ここまできたのだ。
ようやく私も女の子として楽しんでもいいのではないか。
自分の姿がカフェのガラスに映る。
少し冷たい印象を与えがちだが、顔立ちは整っているとよく言われる。
ミルクティーブラウンの髪に明るいブルーの瞳。
スタイルだっていい方だ。
年齢もハリソンの三つ下の十七歳。
ハリソンの恋人になったら、もっと服装にも気を配ろう。
機能性重視の白のTシャツに体にピッタリした黒のパンツのスタイルを見下ろす。
「アニエスお待たせ!」
「ハリソン! ここよ」
カランとカフェのドアベルを鳴らして入ってきたハリソンの後ろに隠れるように女性がいた。
「待たせたか?」
ハリソンの陰から出てきた女性は私の知っている顔だった。
「こんにちは、アニエスさん。突然すいません」
鈴を転がすような声で挨拶した彼女はギルドの受付嬢だった。
「アニエス。彼女のことは知ってるよな」
「ええ。ギルドの受付嬢の……」
私は戸惑いながら答えた。
「ああ、ギルドで受付をしているモナだ。俺は、モナと結婚を前提に付き合うことにしたんだ」
へ?今なんて……。
「え?」
受付嬢は甘えた様子でハリソンの腕を引っ張った。
「もうっ、ハリソンったら。いきなりすぎてアリエスさんがびっくりしちゃったじゃない」
彼女の甘ったるい声が頭に響く。
「そうだな。突然でびっくりしただろうが、お前に一番に伝えたいと思って」
「一番に……」
受付嬢は私に勝ち誇ったような笑みを向けた。
「ハリソンの妹分なら私にとっても妹のようなものだわ。姉と思ってなんでも相談してね」
妹だって…。
「お前パーティメンバー以外の友達いないだろ? モナは可愛くて女らしくて最高の女性だ。アニエスも頼れる姉ができたと思ってモナになんでも話すといいぞ。少しは女らしくなれるんじゃないか」
なんて無神経なんだ。
受付嬢のあの顔、絶対私がハリソンを好きだって知っててやってるんだ。
私は張り詰めていた何かがプッツリと切れたのを感じた。
「ちょうどよかった。私もハリソンに話があったの」
「ん? アニエスも話があるのか? なんだ?」
ハリソンの顔を見てハッキリと告げた。
「私、パーティ抜けるから。冒険者も辞める」
ハリソンが固まったのがわかった。
「じゃあ元気でね。お幸せに」
振り向くもんか。
私は涙を堪えて、カフェを出た。
まだだ。
まだ泣くもんか。
顔に力を入れて、ユーリとモーリスが暮らしている家に着くと、ドアベルを鳴らす。
「はーい」
ユーリの声が聞こえた途端、涙腺が崩壊する。
「どなた? ってアニエス!何があったの?」
「っく。ひっく。ユ……リ……」
私はユーリの胸に泣きながら飛び込んだ。
「アニエス! 何があったんだ!」
モーリスも玄関にくるなり驚いて叫ぶ。
「ともかく話は中で聞くわ。さあ、入って」
私は居間に通されると、まず落ち着くようにとユーリはミルクたっぷりの甘いコーヒーを入れてくれた。
一口飲むと少し落ち着く気がする。
「さあ、何があったの?」
私は今日の出来事をゆっくり2人に話し出した。
こんなことならもっとマシな服を買っておくんだった。
母の顔をしらない私は、幼い頃から冒険者の父にくっついて各地を旅してきた。
身体強化を使えるようになった私に、父は自身がなれなかった冒険者の高みを夢見て、くる日もくる日も剣の練習をさせた。
父は残念ながらニ年前に帰らぬ人となったが、その頃には今のパーティに入っており、メンバーが私を支えてくれたおかげで父を失った悲しみから抜け出すことができた。
私は同じ年代の女の子がオシャレや恋の話をしている間にひたすら魔物を倒して、ダンジョンに挑み、ここまできたのだ。
ようやく私も女の子として楽しんでもいいのではないか。
自分の姿がカフェのガラスに映る。
少し冷たい印象を与えがちだが、顔立ちは整っているとよく言われる。
ミルクティーブラウンの髪に明るいブルーの瞳。
スタイルだっていい方だ。
年齢もハリソンの三つ下の十七歳。
ハリソンの恋人になったら、もっと服装にも気を配ろう。
機能性重視の白のTシャツに体にピッタリした黒のパンツのスタイルを見下ろす。
「アニエスお待たせ!」
「ハリソン! ここよ」
カランとカフェのドアベルを鳴らして入ってきたハリソンの後ろに隠れるように女性がいた。
「待たせたか?」
ハリソンの陰から出てきた女性は私の知っている顔だった。
「こんにちは、アニエスさん。突然すいません」
鈴を転がすような声で挨拶した彼女はギルドの受付嬢だった。
「アニエス。彼女のことは知ってるよな」
「ええ。ギルドの受付嬢の……」
私は戸惑いながら答えた。
「ああ、ギルドで受付をしているモナだ。俺は、モナと結婚を前提に付き合うことにしたんだ」
へ?今なんて……。
「え?」
受付嬢は甘えた様子でハリソンの腕を引っ張った。
「もうっ、ハリソンったら。いきなりすぎてアリエスさんがびっくりしちゃったじゃない」
彼女の甘ったるい声が頭に響く。
「そうだな。突然でびっくりしただろうが、お前に一番に伝えたいと思って」
「一番に……」
受付嬢は私に勝ち誇ったような笑みを向けた。
「ハリソンの妹分なら私にとっても妹のようなものだわ。姉と思ってなんでも相談してね」
妹だって…。
「お前パーティメンバー以外の友達いないだろ? モナは可愛くて女らしくて最高の女性だ。アニエスも頼れる姉ができたと思ってモナになんでも話すといいぞ。少しは女らしくなれるんじゃないか」
なんて無神経なんだ。
受付嬢のあの顔、絶対私がハリソンを好きだって知っててやってるんだ。
私は張り詰めていた何かがプッツリと切れたのを感じた。
「ちょうどよかった。私もハリソンに話があったの」
「ん? アニエスも話があるのか? なんだ?」
ハリソンの顔を見てハッキリと告げた。
「私、パーティ抜けるから。冒険者も辞める」
ハリソンが固まったのがわかった。
「じゃあ元気でね。お幸せに」
振り向くもんか。
私は涙を堪えて、カフェを出た。
まだだ。
まだ泣くもんか。
顔に力を入れて、ユーリとモーリスが暮らしている家に着くと、ドアベルを鳴らす。
「はーい」
ユーリの声が聞こえた途端、涙腺が崩壊する。
「どなた? ってアニエス!何があったの?」
「っく。ひっく。ユ……リ……」
私はユーリの胸に泣きながら飛び込んだ。
「アニエス! 何があったんだ!」
モーリスも玄関にくるなり驚いて叫ぶ。
「ともかく話は中で聞くわ。さあ、入って」
私は居間に通されると、まず落ち着くようにとユーリはミルクたっぷりの甘いコーヒーを入れてくれた。
一口飲むと少し落ち着く気がする。
「さあ、何があったの?」
私は今日の出来事をゆっくり2人に話し出した。
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