魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

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魔法師団長の日常

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一、魔法師団長の日常

 コンコン。

返事がないとはわかっているが、一応ドアをノックする。

「レオニス様、入りますよ」

当然返事はないのでそのままドアを開け私は部屋に入った。

大きなダブルベッドには大きな布団の塊が盛り上がっている。

私はまず、カーテンを開け朝の光を入れる。

「レオニス様、朝ですよ。起きてください」

私が布団を無理やり剥がすと、大きなベッドで大きな体を丸めて、すやすや気持ちよさそうに寝ているイケメンが現れた。

伏せたまつ毛の長さがすごい。

イケメンは寝ていてもイケメンなのだ。

「レオニス様!そろそろ起きないと遅れますよ。今日は新人研修の初日ですよね?師団長が行かないとダメですよ」

レオニス様が少し目を開けて私に微笑みかけた。

青みを帯びた黒髪が額にサラリと額に落ちる。

濃いブルーの瞳が優しげに緩み、それに見惚れていると突然手を引かれてベッドに倒れ込んでしまった。

「ティナ…。もう少し眠ろう…」

そうして私を抱き枕のようにふんわりと抱きしめた。

なんかいい匂い…。

じゃない!

また寝ぼけてこんなことをして!

私じゃなければ勘違いをしてしまうところだ。

「レオニス様。寝ぼけてないで起きてください。もうカイン様が迎えにきていらっしゃいますよ」

そこでレオニス様はハッと目が覚めた様子で、抱き枕にしていた私を離す。

「わ、悪い、ティナ。今準備する」

レオニス様は照れたように髪をかきあげて上半身をおこす。

私も起き上がって一礼する。

「それでは朝食を準備しておきますね」

「ああ、頼む」

レオニス様の部屋を出ると顔に熱が上がってくるのがわかった。

勘違いしちゃダメ。

レオニス様は私のことをただの家政婦、よくても妹代わりとしか思ってないんだから。

深呼吸して顔の熱を冷ます。

なんとか心を落ち着けて、1階に降りるとキッチンで先にお茶を飲んで待っていてもらっていたカイン様に声をかける。

「カイン様、レオニス様は今起きられましたのでもう少しお待ちいただけますか?その間に朝食などいかがですか?」

魔法師団の副団長であるカイン様はブロンドに青い瞳の中世的なイケメンさんだ。

長い後ろ髪を後ろで一つに結んでいる。

見た目とは裏腹に底抜けに明るく人当たりの良い人だ。

団長であるレオニス様は青みを帯びた黒髪に深いブルーの瞳のクールに見えるタイプなので、カイン様にはとても助けられているだろう。

「やった!ティナちゃんの美味しい朝ごはんが食べられるなら朝早くからの勤務も悪くないね」

「そう言っていただけるとありがたいです」

レオニス様がいつもお世話になります。

心の中でそう言って、カインさんの朝食を手早く仕上げ、皿を前に出す。

「お待たせしました。どうぞおめしあがりください」

「わー、今日も美味しそう」

パクリとベーコンエッグを一口食べるとにっこりと笑って言った。

「うん、うまい。団長の家政婦なんか辞めて俺の嫁にこない?」

「またご冗談を」

そうやって話していると、簡単に着替えを終えたレオニス様がキッキンに入ってきた。

「カイン、お前、ティナの朝食が食べたくて早く迎えにきてないか?」

レオニス様はカイン様の隣にどっかりと座ると、朝食を食べてるカイン様の顔を覗き込んだ。

「やだなあ、そんな事あるわけないじゃないですか」

そう言いながらもカイン様は目を逸らしている。

私はレオニス様の前に朝食の皿を置く。

「まあ、いいじゃないですか。わざわざ迎えにきていただいてるんですから」

「ふん、命拾いしたな」

レオニス様はそう言って、朝食を食べ始めた。

「今日もうまい…」

「ありがとうございます」

美味しそうにパンを頬張るレオニス様はいつものキリッとした表情と違い大人の男性なのに可愛いと思ってしまう。

最近特に色んなことにお礼を言ってくれたり、何か欲しいものはないか聞いてくれたりする。

ただの家政婦にも優しいレオニス様はきっと、恋人にはもっともっと優しいのだろう。

チクンと胸が痛む。

今まであえて考えないようにしてきた事が、最近何度も頭をよぎってしまう。

もし、レオニス様が結婚したら私は…。

ダメだ。

今はそんな事考えないようにしよう。

あの日、レオニス様に助けられた日から私はレオナス様を幸せにする為に生きると決めたのだ。
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