魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru

文字の大きさ
1 / 47

魔法師団長の日常

一、魔法師団長の日常

 コンコン。

返事がないとはわかっているが、一応ドアをノックする。

「レオニス様、入りますよ」

当然返事はないのでそのままドアを開け私は部屋に入った。

大きなダブルベッドには大きな布団の塊が盛り上がっている。

私はまず、カーテンを開け朝の光を入れる。

「レオニス様、朝ですよ。起きてください」

私が布団を無理やり剥がすと、大きなベッドで大きな体を丸めて、すやすや気持ちよさそうに寝ているイケメンが現れた。

伏せたまつ毛の長さがすごい。

イケメンは寝ていてもイケメンなのだ。

「レオニス様!そろそろ起きないと遅れますよ。今日は新人研修の初日ですよね?師団長が行かないとダメですよ」

レオニス様が少し目を開けて私に微笑みかけた。

青みを帯びた黒髪が額にサラリと額に落ちる。

濃いブルーの瞳が優しげに緩み、それに見惚れていると突然手を引かれてベッドに倒れ込んでしまった。

「ティナ…。もう少し眠ろう…」

そうして私を抱き枕のようにふんわりと抱きしめた。

なんかいい匂い…。

じゃない!

また寝ぼけてこんなことをして!

私じゃなければ勘違いをしてしまうところだ。

「レオニス様。寝ぼけてないで起きてください。もうカイン様が迎えにきていらっしゃいますよ」

そこでレオニス様はハッと目が覚めた様子で、抱き枕にしていた私を離す。

「わ、悪い、ティナ。今準備する」

レオニス様は照れたように髪をかきあげて上半身をおこす。

私も起き上がって一礼する。

「それでは朝食を準備しておきますね」

「ああ、頼む」

レオニス様の部屋を出ると顔に熱が上がってくるのがわかった。

勘違いしちゃダメ。

レオニス様は私のことをただの家政婦、よくても妹代わりとしか思ってないんだから。

深呼吸して顔の熱を冷ます。

なんとか心を落ち着けて、1階に降りるとキッチンで先にお茶を飲んで待っていてもらっていたカイン様に声をかける。

「カイン様、レオニス様は今起きられましたのでもう少しお待ちいただけますか?その間に朝食などいかがですか?」

魔法師団の副団長であるカイン様はブロンドに青い瞳の中世的なイケメンさんだ。

長い後ろ髪を後ろで一つに結んでいる。

見た目とは裏腹に底抜けに明るく人当たりの良い人だ。

団長であるレオニス様は青みを帯びた黒髪に深いブルーの瞳のクールに見えるタイプなので、カイン様にはとても助けられているだろう。

「やった!ティナちゃんの美味しい朝ごはんが食べられるなら朝早くからの勤務も悪くないね」

「そう言っていただけるとありがたいです」

レオニス様がいつもお世話になります。

心の中でそう言って、カインさんの朝食を手早く仕上げ、皿を前に出す。

「お待たせしました。どうぞおめしあがりください」

「わー、今日も美味しそう」

パクリとベーコンエッグを一口食べるとにっこりと笑って言った。

「うん、うまい。団長の家政婦なんか辞めて俺の嫁にこない?」

「またご冗談を」

そうやって話していると、簡単に着替えを終えたレオニス様がキッキンに入ってきた。

「カイン、お前、ティナの朝食が食べたくて早く迎えにきてないか?」

レオニス様はカイン様の隣にどっかりと座ると、朝食を食べてるカイン様の顔を覗き込んだ。

「やだなあ、そんな事あるわけないじゃないですか」

そう言いながらもカイン様は目を逸らしている。

私はレオニス様の前に朝食の皿を置く。

「まあ、いいじゃないですか。わざわざ迎えにきていただいてるんですから」

「ふん、命拾いしたな」

レオニス様はそう言って、朝食を食べ始めた。

「今日もうまい…」

「ありがとうございます」

美味しそうにパンを頬張るレオニス様はいつものキリッとした表情と違い大人の男性なのに可愛いと思ってしまう。

最近特に色んなことにお礼を言ってくれたり、何か欲しいものはないか聞いてくれたりする。

ただの家政婦にも優しいレオニス様はきっと、恋人にはもっともっと優しいのだろう。

チクンと胸が痛む。

今まであえて考えないようにしてきた事が、最近何度も頭をよぎってしまう。

もし、レオニス様が結婚したら私は…。

ダメだ。

今はそんな事考えないようにしよう。

あの日、レオニス様に助けられた日から私はレオナス様を幸せにする為に生きると決めたのだ。
感想 0

あなたにおすすめの小説

酒飲み聖女は気だるげな騎士団長に秘密を握られています〜完璧じゃなくても愛してるって正気ですか!?〜

鳥花風星
恋愛
太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき、女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりするほどの完璧な聖女。この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。 そんな完璧な聖女であるリリアには誰にも知られてはいけない秘密があった。その秘密は完璧に隠し通され、絶対に誰にも知られないはずだった。だが、そんなある日、騎士団長のセルにその秘密を知られてしまう。 秘密がばれてしまったら、完璧な聖女としての立場が危うく、国民もがっかりさせてしまう。秘密をばらさないようにとセルに懇願するリリアだが、セルは秘密をばらされたくなければ婚約してほしいと言ってきた。 一途な騎士団長といつの間にか逃げられなくなっていた聖女のラブストーリー。 ◇氷雨そら様主催「愛が重いヒーロー企画」参加作品です。

図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました

鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。 素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。 とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。 「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」

【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています

22時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。 誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。 そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。 (殿下は私に興味なんてないはず……) 結婚前はそう思っていたのに―― 「リリア、寒くないか?」 「……え?」 「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」 冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!? それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。 「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」 「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」 (ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?) 結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

行き遅れ令嬢の再婚相手は、ダンディな騎士団長 ~息子イケメンの禁断の守護愛~

柴田はつみ
恋愛
貧乏貴族の行き遅れ令嬢リアナは、28歳で社交を苦手とする大人しい性格ゆえに、結婚を諦めかけていた。 そんな彼女に王宮から政略結婚の命令が下る。再婚相手は、妻を亡くしたダンディな騎士団長ギルバート。 クールで頼れる40代のイケメンだが、リアナは「便利な道具として選ばれただけ」と誤解し、切ない想いを抱く。 さらに、ギルバートの息子で爽やかイケメンのエリオット(21歳)が義理の息子となる。

脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。

石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。 ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。 そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。 真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。

一夜限りの関係だったはずなのに、責任を取れと迫られてます。

甘寧
恋愛
魔女であるシャルロッテは、偉才と呼ばれる魔導師ルイースとひょんなことから身体の関係を持ってしまう。 だがそれはお互いに同意の上で一夜限りという約束だった。 それなのに、ルイースはシャルロッテの元を訪れ「責任を取ってもらう」と言い出した。 後腐れのない関係を好むシャルロッテは、何とかして逃げようと考える。しかし、逃げれば逃げるだけ愛が重くなっていくルイース… 身体から始まる恋愛模様◎ ※タイトル一部変更しました。

婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~

白井
恋愛
「我が伯爵家に貴様は相応しくない! 婚約は解消させてもらう」  枯葉のような地味な容姿が原因で家族から疎まれ、婚約者を姉に奪われたステラ。  土下座を強要され自分が悪いと納得しようとしたその時、謎の美形が跪いて手に口づけをする。  「美しき我が光……。やっと、お会いできましたね」  あなた誰!?  やたら綺麗な怪しい男から逃げようとするが、彼の執着は枯葉令嬢ステラの想像以上だった!  虐げられていた令嬢が男の正体を知り、幸せになる話。