魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

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レオニス視点〜彼女との出会い③

翌朝、普段は寝起きが悪い俺だがティナがいると思うと何故か早く目が覚めた。

着替えて一階に降りると、キッチンからいい匂いが漂ってくる。

「レオニス様、おはようございます」

キッチンに入るとコンロの前に立っているティナが振り向いて挨拶してくれた。

「おはよう、ティナ」

我が家のキッチンにティナがいて、朝の挨拶を交わし合う。

俺が作ったキッチンの魔道具をすごいと言ってくれる。

そんな事が心を穏やかな温かい気持ちにしてくれる。

別々に食事を摂ろうとしていたティナを何とか説得して一緒のテーブルで食事をする。

ああ、俺は今まで寂しかったのかもしれない。

魔導師団に向かうため、家を出ようとした俺にティナはサンドイッチまで作ってくれていた。

朝から負担になっていないか心配だが、はっきり言って嬉しい。

今日は執務が溜まっているから、昼食を取る暇はないだろうと諦めていたからだ。

「レオニス様、行ってらっしゃいませ」

「誰かに見送られるのはいいものだな。行ってくる」

ティナに見送られ、いつもより浮き足だった気持ちで魔法師団についた。

「団長……。どうしたんですか?」

「何がだ?」

途中団員たちから声がかかる。

皆俺を珍しいものでも見るような目で見つめてくるのが気になるが、今日の俺は機嫌がいいので許してやろう。

執務室に入ると、カインがギョッとした様子で俺に言った。

「団長! すごい笑顔で逆に怖い」

え? 俺はいつの間にか微笑んでいたらしい。

「いつも仏頂面の団長が笑顔とか怖い。それで、ティナちゃんとは上手くやれそう?」

俺は机で書類に目を通しながら答えた。

「ああ、今のところ何も問題ない」


昼が近づき、俺はティナに作ってもらったサンドイッチを出した。

「団長! もしかしてそれはティナちゃんの手作り?」

一緒に書類仕事をやっていたカインがサンドイッチを指さして言った。

「ああ、ティナが気を利かせて作ってくれていた」

カインは物欲しそうにサンドイッチを見つめた。

「いいなあ、俺も可愛い子にサンドイッチ作って欲しい」

そんなに羨ましいなら家政婦を雇えばいいと言うと。

「ティナちゃんくらい可愛い家政婦なら雇ってもいいですけどね。実際家を勝手にいじられるのは抵抗あるっすね」

俺もそうだったが、不思議と家をティナに任せるのは嫌じゃない。

「ところでもうティナちゃんに必要なものは買ったんですか? ティナちゃん着の身着のままだったから女の子服とか色々必要ですもんね」

「服……?」

そうだ! ティナは荷物も全部無くしていたじゃないか。

「この様子じゃ気が回らなかったんですね。ティナちゃんも自分からは言い出しにくいし」

「俺とした事が……全く気が付かなかった。きっと困っているだろう。よし、今すぐ帰ってティナと買い物に行こう!」

立ち上がった俺をカインが止める。

「ちょっと待って! 今日はダメですよ! この書類の山、明日までに絶対提出しろって言われてるんですから」

そうだ……昨日も無理やり休みをもぎ取ったんだった。書類を絶対に今日中に仕上げると言って。

「さすがに帰れないか……」

悩む俺にカインが言った。

「そうだ! ノエルに行ってもらうのはどうですか? ノエルは団員の中で一番歳が若いし、おしゃれだし」

「……ノエルか。そうだな、ノエルに頼んでみよう」

ノエルは団員の中で一番若い女性で十七歳だ。

性格も明るいし、人見知りしないのでティナも話しやすいかもしれない。

視界の端でカインが明らかにホッとしていた。

さっそくノエルを呼んで事情を話すと快く引き受けてくれた。

「え? 団長のお金であの美少女を着飾れるんですか? もちろん引き受けます」

目が輝きすぎて少し心配だ。

「ほどほどにな。ただし必要だと思ったものは遠慮なく買ってくれ」

「午後の訓練に参加しなくていいうえに、美少女と買い物。なんていい日だ……。行ってまいります!」

「……ああ、頼む」

こいつに頼んで大丈夫だっただろうか。

「団長。ティナちゃんがびっくりするからノエルが行くことを伝言で伝えた方がいいんじゃないですか?」

カインが言う伝言とは魔術の伝書鳩のようなものだ。

紙に魔術で伝言を込めて鳥のように飛ばす。

「そうだな、ティナにノエルが行くことを伝えておこう」

俺は手近な紙に魔術を込め窓から飛ばした。

紙は白い鳥のような形になりパタパタと家の方角に飛んでいった。
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