魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

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ノエルと買い物②

ノエルと別れて家に帰ったのは夕方だった。

慌てて食事の支度をしようとしていると、再び伝書鳩ならぬ伝書紙の鳥がやってきて、遅くなりそうだから夕飯はいらない、先に寝ていてくれと連絡がきた。

団長はお忙しいのか……。

一人で簡単に夕食を済ませて、軽く体を拭いた。

お風呂を使っていいと言われたが、さすがに自分だけのためにお風呂を使うのはためらわれる。

一人でソファに座って一息つくと、この数日の目まぐるしい変化を思い出す。

ついこの間までは両親と一緒に旅をしていたのに、まさかこんなことになるとは。

今までいっぱいいっぱいで両親が亡くなったという実感がなかったが、落ち着くと両親にもう会えない寂しさが湧き上がってきた。

「お父さん、お母さん…」

溢れ出る涙を堪えきれず、目を手で覆っていると、いつのまにか帰ってきていたレオニス様がリビングのドアを開けて走り寄ってきた。

「どうした! どこか痛いのか? それともノエルと昼間何かあったのか?」

レオニス様は心配そうに私を覗き込む。

「レオニス様……。私、お帰りも気が付かずに申し訳ありません」

慌てて涙を拭って立ち上がる。

「そんな事はどうでもいい。大丈夫か? 何かあったのか?」

レオニス様に心配をおかけしてはいけない。

「なんでもないです。ノエルさんにはとても良くしていただきました。レオニス様、素敵な服などを買っていただきありがとうございました」

ただの家政婦なのにそこまでしてもらって申し訳ない。

「いや。俺こそ、ティナの身の回りの品がないことに気が付かずすまなかった。ティナ個人に必要な物はこれからも買ってくれ」

「そんな……そこまでしていただいてはバチがあたります」

「そんなことない! 俺は妹を亡くしているから、妹ができたみたいで嬉しいんだ。家政婦も無理しなくてもいい」

レオニス様は妹さんを亡くされているのか……。

何で亡くなったんだろう。

「ありがとうございます。家政婦として、それも住み込みで雇っていただけただけで本当に助かります。できればこれからも家政婦として扱って欲しいです」

レオニス様のお役に立ちたいのだ。

「そうか……。でも何か大変なことや、辛いことがあるならすぐに言ってくれ」

真剣な深いブルーの瞳で見つめられるとドキドキしてしまう。

「はい。ところでレオニス様、スープとパンで良ければありますが、軽く召し上がりますか?」

「ありがとう。少し腹が減っていたんだ。いただこう」

私は鍋を温めるためにキッチンに向かった。

その背中をレオニス様が何か言いたげに見つめていた事に私は気が付かなかった。
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