魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

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副団長カイン

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翌日。レオニス様はなかなか起きてこない。

今日も魔法師団に出勤するといっていたけれど、もしかして昨日遅くまでお仕事をされていたから、朝遅い勤務なのだろうか?

ああ、時間を聞いておくんだった。

遅刻させてもダメだけれど、遅い勤務なのにレオニス様の眠りを妨げるのはもっとダメな気がする。

キッチンをウロウロとしながら一人悩む。

そもそも、レオニス様を起こすとして、勝手に部屋に入ってもいいのだろうか?

レオニス様は部屋に入られたくないかもしれない。

そう悩んでいる間も時はどんどんすぎていく。

普通の勤務時間ならもう完全に遅刻だ。

よし、覚悟を決めてドアの前からレオニス様に声をかけてみよう。

私は二階に上がり、レオニス様の部屋のドアを叩いた。

「レオニス様、おやすみのところ申し訳ありません。あの…出勤時間はまだよろしいのですか?」

声をかけるが返事がない。

「…どうしよう」

その時、玄関ドアをノックする音がした。

「はーい、今行きます」

私は玄関まで行ってドアを開けた。

「はい?どちら様ですか?」

そこには眩い長めのブロンドの髪を後ろで一つに結び、晴れた空のように明るいブルーの瞳の青年が立っていた。

「こんにちは。団長を迎えにきたよ」

爽やかな笑顔でそう言うと、その人物はそのまま家の中に入ってきて二階に上がり、団長の部屋をノックもなしに開けた。

「あ、あの。いきなり困ります」

私がなんとか押し留めようとするが、彼は大丈夫だからと寝ている団長の布団を持つと、一気にめくった。

「団長! レオニス団長! 一体いつまで寝てるんだ。もう昼だぞ!」

団長に向かって大きな声で叫ぶ。

「ん~。うるさいな。昨日は遅かったんだから、もう少し寝ていてもいいだろ」

団長は寝返りをうって私達に背を向けた。

レオニス様の寝起き……悪いのか。

昨日は朝から爽やかレオニス様だったのに。

私が驚いた顔をしてしまっていたのだろう。

「ほら、ティナちゃんもびっくりして見てるよ。あー、恥ずかしい」

彼はレオニス様に近づいて言った。

「なにっ? ティナが?」

レオニス様はガバリと起き上がると私を見た。

寝癖がすごい。うっすらと髭もある。

「あ、ティナ……おはよう」

「……おはようございます。レオニス様。私はキッチンで朝食の準備をしてきますね」

そそくさと部屋を出て一階に降りる。

顔が赤くなるのを隠すために急いで部屋を出たのだ。

「寝起きのレオニス様かわいい……。でもそんな事言ったら不謹慎よね」

赤くなる顔を引き締めてキッチンへ向かう。

ほどなくレオニス様は着替えて先ほどの男性とキッチンにやってきた。

「ティナ。改めて紹介しよう。こいつは魔法師団副団長のカインだ」

副団長さんだったのか。通りで勝手知ったる家という感じで入ってきたはずだ。

「初めてじゃないけど初めまして。副団長のカイン・アルバンだよ。よろしく、ティナちゃん」

初めてじゃない? とするとあの時か。

「もしかして、私を助けてくれた時ですか?」

「うん、そう……」

カインさんは急に真面目な顔になった。

「ご両親の事は残念だったね。もう少し早くついてたら……」

「レオニス様やカインさんには命を助けていただいて本当に感謝しているんです」

私はキッパリと言った。

助けてくれた人が申し訳なさそうにするなんて間違っている。

「魔法師団のおかげで私は今生きてここにいます。その事を命をかけて私を守ってくれた両親も喜んでくれているでしょう。だから魔法師団の皆さんには感謝してもしきれません」

「ティナちゃん……」

レオナス様はカインさんの肩に手を置いた。

「ティナはこういう子なんだ。いい子だな、ティナちゃん。団長をよろしく頼むな」

「はい、もちろんです!」

レオニス様は少し複雑そうな顔をした。

「ところで団長、大遅刻ですよ。なかなか来ないから迎えにきたんです」

カインさんが時計を指差した。

「なに! もうこんな時間だったのか。悪い、すぐ支度する」

レオニス様は慌てキッチンから飛び出した。

「やっぱり昨日と同じ出勤時間だったのですか? 私が起こせばよかったのに、すいません」

私はカインさんに向かって言った。

「いや、団長はもともと朝に弱くてなかなか起きない。それで遅刻の常習犯。あまりにも遅刻が多くて時々俺が起こしに来てるんだ。昨日は早くきてたからびっくりしたよ」

「昨日はご自分で起きて降りてこられたのでいつもそうなのかと」

「ああ、昨日はティナちゃんが家に来たから張り切ったんだな。いつもは起きないから団長の部屋に勝手に入って起こしてやってくれると助かる。なかなか起きないだろうけど」

自信はあまりないが頑張ろう。

「はい。出来るだけ頑張ります」

「まぁ、どうしても起きない時は放っておいていいからさ」

そんな自由な感じでいいのだろうか。

「カイン、待たせた。行こう。ティナ、悪いが時間がないから朝飯は帰ってから食べる」

私はバスケットを差し出しながら答えた。

「そうだろうと思ってバスケットに朝食と昼食を入れておきました。良ければお持ちください」

「ありがとうティナ、助かる」

パタパタとレオニス様とカインさんは出て行った。

忙しそうだな…。よし、レオニス様が今日は夕食は食べると言っていたから張り切って作ろう。

まずは買い出しだ。
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