11 / 47
副団長カイン
翌日。レオニス様はなかなか起きてこない。
今日も魔法師団に出勤するといっていたけれど、もしかして昨日遅くまでお仕事をされていたから、朝遅い勤務なのだろうか?
ああ、時間を聞いておくんだった。
遅刻させてもダメだけれど、遅い勤務なのにレオニス様の眠りを妨げるのはもっとダメな気がする。
キッチンをウロウロとしながら一人悩む。
そもそも、レオニス様を起こすとして、勝手に部屋に入ってもいいのだろうか?
レオニス様は部屋に入られたくないかもしれない。
そう悩んでいる間も時はどんどんすぎていく。
普通の勤務時間ならもう完全に遅刻だ。
よし、覚悟を決めてドアの前からレオニス様に声をかけてみよう。
私は二階に上がり、レオニス様の部屋のドアを叩いた。
「レオニス様、おやすみのところ申し訳ありません。あの…出勤時間はまだよろしいのですか?」
声をかけるが返事がない。
「…どうしよう」
その時、玄関ドアをノックする音がした。
「はーい、今行きます」
私は玄関まで行ってドアを開けた。
「はい?どちら様ですか?」
そこには眩い長めのブロンドの髪を後ろで一つに結び、晴れた空のように明るいブルーの瞳の青年が立っていた。
「こんにちは。団長を迎えにきたよ」
爽やかな笑顔でそう言うと、その人物はそのまま家の中に入ってきて二階に上がり、団長の部屋をノックもなしに開けた。
「あ、あの。いきなり困ります」
私がなんとか押し留めようとするが、彼は大丈夫だからと寝ている団長の布団を持つと、一気にめくった。
「団長! レオニス団長! 一体いつまで寝てるんだ。もう昼だぞ!」
団長に向かって大きな声で叫ぶ。
「ん~。うるさいな。昨日は遅かったんだから、もう少し寝ていてもいいだろ」
団長は寝返りをうって私達に背を向けた。
レオニス様の寝起き……悪いのか。
昨日は朝から爽やかレオニス様だったのに。
私が驚いた顔をしてしまっていたのだろう。
「ほら、ティナちゃんもびっくりして見てるよ。あー、恥ずかしい」
彼はレオニス様に近づいて言った。
「なにっ? ティナが?」
レオニス様はガバリと起き上がると私を見た。
寝癖がすごい。うっすらと髭もある。
「あ、ティナ……おはよう」
「……おはようございます。レオニス様。私はキッチンで朝食の準備をしてきますね」
そそくさと部屋を出て一階に降りる。
顔が赤くなるのを隠すために急いで部屋を出たのだ。
「寝起きのレオニス様かわいい……。でもそんな事言ったら不謹慎よね」
赤くなる顔を引き締めてキッチンへ向かう。
ほどなくレオニス様は着替えて先ほどの男性とキッチンにやってきた。
「ティナ。改めて紹介しよう。こいつは魔法師団副団長のカインだ」
副団長さんだったのか。通りで勝手知ったる家という感じで入ってきたはずだ。
「初めてじゃないけど初めまして。副団長のカイン・アルバンだよ。よろしく、ティナちゃん」
初めてじゃない? とするとあの時か。
「もしかして、私を助けてくれた時ですか?」
「うん、そう……」
カインさんは急に真面目な顔になった。
「ご両親の事は残念だったね。もう少し早くついてたら……」
「レオニス様やカインさんには命を助けていただいて本当に感謝しているんです」
私はキッパリと言った。
助けてくれた人が申し訳なさそうにするなんて間違っている。
「魔法師団のおかげで私は今生きてここにいます。その事を命をかけて私を守ってくれた両親も喜んでくれているでしょう。だから魔法師団の皆さんには感謝してもしきれません」
「ティナちゃん……」
レオナス様はカインさんの肩に手を置いた。
「ティナはこういう子なんだ。いい子だな、ティナちゃん。団長をよろしく頼むな」
「はい、もちろんです!」
レオニス様は少し複雑そうな顔をした。
「ところで団長、大遅刻ですよ。なかなか来ないから迎えにきたんです」
カインさんが時計を指差した。
「なに! もうこんな時間だったのか。悪い、すぐ支度する」
レオニス様は慌てキッチンから飛び出した。
「やっぱり昨日と同じ出勤時間だったのですか? 私が起こせばよかったのに、すいません」
私はカインさんに向かって言った。
「いや、団長はもともと朝に弱くてなかなか起きない。それで遅刻の常習犯。あまりにも遅刻が多くて時々俺が起こしに来てるんだ。昨日は早くきてたからびっくりしたよ」
「昨日はご自分で起きて降りてこられたのでいつもそうなのかと」
「ああ、昨日はティナちゃんが家に来たから張り切ったんだな。いつもは起きないから団長の部屋に勝手に入って起こしてやってくれると助かる。なかなか起きないだろうけど」
自信はあまりないが頑張ろう。
「はい。出来るだけ頑張ります」
「まぁ、どうしても起きない時は放っておいていいからさ」
そんな自由な感じでいいのだろうか。
「カイン、待たせた。行こう。ティナ、悪いが時間がないから朝飯は帰ってから食べる」
私はバスケットを差し出しながら答えた。
「そうだろうと思ってバスケットに朝食と昼食を入れておきました。良ければお持ちください」
「ありがとうティナ、助かる」
パタパタとレオニス様とカインさんは出て行った。
忙しそうだな…。よし、レオニス様が今日は夕食は食べると言っていたから張り切って作ろう。
まずは買い出しだ。
今日も魔法師団に出勤するといっていたけれど、もしかして昨日遅くまでお仕事をされていたから、朝遅い勤務なのだろうか?
ああ、時間を聞いておくんだった。
遅刻させてもダメだけれど、遅い勤務なのにレオニス様の眠りを妨げるのはもっとダメな気がする。
キッチンをウロウロとしながら一人悩む。
そもそも、レオニス様を起こすとして、勝手に部屋に入ってもいいのだろうか?
レオニス様は部屋に入られたくないかもしれない。
そう悩んでいる間も時はどんどんすぎていく。
普通の勤務時間ならもう完全に遅刻だ。
よし、覚悟を決めてドアの前からレオニス様に声をかけてみよう。
私は二階に上がり、レオニス様の部屋のドアを叩いた。
「レオニス様、おやすみのところ申し訳ありません。あの…出勤時間はまだよろしいのですか?」
声をかけるが返事がない。
「…どうしよう」
その時、玄関ドアをノックする音がした。
「はーい、今行きます」
私は玄関まで行ってドアを開けた。
「はい?どちら様ですか?」
そこには眩い長めのブロンドの髪を後ろで一つに結び、晴れた空のように明るいブルーの瞳の青年が立っていた。
「こんにちは。団長を迎えにきたよ」
爽やかな笑顔でそう言うと、その人物はそのまま家の中に入ってきて二階に上がり、団長の部屋をノックもなしに開けた。
「あ、あの。いきなり困ります」
私がなんとか押し留めようとするが、彼は大丈夫だからと寝ている団長の布団を持つと、一気にめくった。
「団長! レオニス団長! 一体いつまで寝てるんだ。もう昼だぞ!」
団長に向かって大きな声で叫ぶ。
「ん~。うるさいな。昨日は遅かったんだから、もう少し寝ていてもいいだろ」
団長は寝返りをうって私達に背を向けた。
レオニス様の寝起き……悪いのか。
昨日は朝から爽やかレオニス様だったのに。
私が驚いた顔をしてしまっていたのだろう。
「ほら、ティナちゃんもびっくりして見てるよ。あー、恥ずかしい」
彼はレオニス様に近づいて言った。
「なにっ? ティナが?」
レオニス様はガバリと起き上がると私を見た。
寝癖がすごい。うっすらと髭もある。
「あ、ティナ……おはよう」
「……おはようございます。レオニス様。私はキッチンで朝食の準備をしてきますね」
そそくさと部屋を出て一階に降りる。
顔が赤くなるのを隠すために急いで部屋を出たのだ。
「寝起きのレオニス様かわいい……。でもそんな事言ったら不謹慎よね」
赤くなる顔を引き締めてキッチンへ向かう。
ほどなくレオニス様は着替えて先ほどの男性とキッチンにやってきた。
「ティナ。改めて紹介しよう。こいつは魔法師団副団長のカインだ」
副団長さんだったのか。通りで勝手知ったる家という感じで入ってきたはずだ。
「初めてじゃないけど初めまして。副団長のカイン・アルバンだよ。よろしく、ティナちゃん」
初めてじゃない? とするとあの時か。
「もしかして、私を助けてくれた時ですか?」
「うん、そう……」
カインさんは急に真面目な顔になった。
「ご両親の事は残念だったね。もう少し早くついてたら……」
「レオニス様やカインさんには命を助けていただいて本当に感謝しているんです」
私はキッパリと言った。
助けてくれた人が申し訳なさそうにするなんて間違っている。
「魔法師団のおかげで私は今生きてここにいます。その事を命をかけて私を守ってくれた両親も喜んでくれているでしょう。だから魔法師団の皆さんには感謝してもしきれません」
「ティナちゃん……」
レオナス様はカインさんの肩に手を置いた。
「ティナはこういう子なんだ。いい子だな、ティナちゃん。団長をよろしく頼むな」
「はい、もちろんです!」
レオニス様は少し複雑そうな顔をした。
「ところで団長、大遅刻ですよ。なかなか来ないから迎えにきたんです」
カインさんが時計を指差した。
「なに! もうこんな時間だったのか。悪い、すぐ支度する」
レオニス様は慌てキッチンから飛び出した。
「やっぱり昨日と同じ出勤時間だったのですか? 私が起こせばよかったのに、すいません」
私はカインさんに向かって言った。
「いや、団長はもともと朝に弱くてなかなか起きない。それで遅刻の常習犯。あまりにも遅刻が多くて時々俺が起こしに来てるんだ。昨日は早くきてたからびっくりしたよ」
「昨日はご自分で起きて降りてこられたのでいつもそうなのかと」
「ああ、昨日はティナちゃんが家に来たから張り切ったんだな。いつもは起きないから団長の部屋に勝手に入って起こしてやってくれると助かる。なかなか起きないだろうけど」
自信はあまりないが頑張ろう。
「はい。出来るだけ頑張ります」
「まぁ、どうしても起きない時は放っておいていいからさ」
そんな自由な感じでいいのだろうか。
「カイン、待たせた。行こう。ティナ、悪いが時間がないから朝飯は帰ってから食べる」
私はバスケットを差し出しながら答えた。
「そうだろうと思ってバスケットに朝食と昼食を入れておきました。良ければお持ちください」
「ありがとうティナ、助かる」
パタパタとレオニス様とカインさんは出て行った。
忙しそうだな…。よし、レオニス様が今日は夕食は食べると言っていたから張り切って作ろう。
まずは買い出しだ。
あなたにおすすめの小説
酒飲み聖女は気だるげな騎士団長に秘密を握られています〜完璧じゃなくても愛してるって正気ですか!?〜
鳥花風星
恋愛
太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき、女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりするほどの完璧な聖女。この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。
そんな完璧な聖女であるリリアには誰にも知られてはいけない秘密があった。その秘密は完璧に隠し通され、絶対に誰にも知られないはずだった。だが、そんなある日、騎士団長のセルにその秘密を知られてしまう。
秘密がばれてしまったら、完璧な聖女としての立場が危うく、国民もがっかりさせてしまう。秘密をばらさないようにとセルに懇願するリリアだが、セルは秘密をばらされたくなければ婚約してほしいと言ってきた。
一途な騎士団長といつの間にか逃げられなくなっていた聖女のラブストーリー。
◇氷雨そら様主催「愛が重いヒーロー企画」参加作品です。
図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました
鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。
素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。
とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。
「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」
【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています
22時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。
誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。
そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。
(殿下は私に興味なんてないはず……)
結婚前はそう思っていたのに――
「リリア、寒くないか?」
「……え?」
「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」
冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!?
それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。
「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」
「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」
(ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?)
結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
行き遅れ令嬢の再婚相手は、ダンディな騎士団長 ~息子イケメンの禁断の守護愛~
柴田はつみ
恋愛
貧乏貴族の行き遅れ令嬢リアナは、28歳で社交を苦手とする大人しい性格ゆえに、結婚を諦めかけていた。
そんな彼女に王宮から政略結婚の命令が下る。再婚相手は、妻を亡くしたダンディな騎士団長ギルバート。
クールで頼れる40代のイケメンだが、リアナは「便利な道具として選ばれただけ」と誤解し、切ない想いを抱く。
さらに、ギルバートの息子で爽やかイケメンのエリオット(21歳)が義理の息子となる。
脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。
石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。
ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。
そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。
真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。
一夜限りの関係だったはずなのに、責任を取れと迫られてます。
甘寧
恋愛
魔女であるシャルロッテは、偉才と呼ばれる魔導師ルイースとひょんなことから身体の関係を持ってしまう。
だがそれはお互いに同意の上で一夜限りという約束だった。
それなのに、ルイースはシャルロッテの元を訪れ「責任を取ってもらう」と言い出した。
後腐れのない関係を好むシャルロッテは、何とかして逃げようと考える。しかし、逃げれば逃げるだけ愛が重くなっていくルイース…
身体から始まる恋愛模様◎
※タイトル一部変更しました。
婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~
白井
恋愛
「我が伯爵家に貴様は相応しくない! 婚約は解消させてもらう」
枯葉のような地味な容姿が原因で家族から疎まれ、婚約者を姉に奪われたステラ。
土下座を強要され自分が悪いと納得しようとしたその時、謎の美形が跪いて手に口づけをする。
「美しき我が光……。やっと、お会いできましたね」
あなた誰!?
やたら綺麗な怪しい男から逃げようとするが、彼の執着は枯葉令嬢ステラの想像以上だった!
虐げられていた令嬢が男の正体を知り、幸せになる話。