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危険と出会い③
「ただいま戻りました……」
レオニス様はもう家に戻っているだろう。
夕食も作らずに申し訳ない気持ちでドアを開けると、心配そうなレオニス様がドアのすぐ内側にいた。
「ティナ! 無事だったか。怪我はないか」
レオニス様は私を見るなり両肩を掴んだ。
「は、はい。助けていただいたので大丈夫です。今日の事をご存知なのですか?」
レオニス様は私に怪我がなさそうなのを確認するとホッとした表情になった。
「ああ。大体はメリンダから聞いた。助けに行けずすまない」
「そんな! 私がうっかり行っては行けない場所に行ってしまって」
私の不注意でレオニス様をそんな悲しそうにさせるなんて申し訳ない。
「老人に手を貸したんだろう? それも聞いている」
メリンダ様はどこまで話したんだろう。
「疲れただろう? 何か食べるか?それとも風呂に入るか?」
「夕飯はメリンダさんの手料理をいただいたので、お風呂に入っても良いですか? そうだ! レオニス様は夕食を召し上がりましたか? まだでしたらお作りしますよ」
「俺のことはいいから、ゆっくり風呂に入ってこい」
「では、お言葉に甘えて」
レオニス様の家のお風呂は最高だ。
いつでもすぐ浴槽にお湯が溜められるし、蛇口からは適温のお湯がどんどん出る。
私は湯船に浸かると長い幸せなため息をついた。
「は~~あ。お風呂最高」
もう攫われかけたのが遠い過去のように感じる。
「それにしてもメリンダさんって何者なんだろう」
レオニス様とかなり親密なようだがもしかして恋人とか。
そう考えると少し心の奥がモヤモヤする。
ただの家政婦がレオニス様の女性関係に口出しするのはもってのほか。
それにメリンダさんはとても美人でさらに優しいいい人だ。
不満なんてあるはずないのに。
いや、今は色々あって神経が過敏になっているんだ。考えるのはよそう。
お風呂から上がるとレオニス様はキッチンに立っていた。
「レオニス様、やっぱりお腹空いてるんじゃないですか? 簡単なものでよかったら何か作りましょうか?」
「しかし、ティナは疲れているだろう。勝手に何か食べるから大丈夫だぞ」
むしろ神経が昂って何かしていないと落ち着かない。
「私も少しお腹が空いて、何か軽く食べたいなと思っていたんです。一緒に作っちゃいますね」
私は簡単に野菜を切るとストックしていたスープでお米と野菜を煮込んでリゾットを作った。
「うまそうだ。ありがとうティナ」
レオニス様は家政婦にもちゃんとありがとうを伝えてくれる。そんな事がとても嬉しいのだ。
向かい合ってリゾットを食べ終わると、レオニス様が私の魔石のネックレスを指さして言った。
「今日のようなことがないように、その魔石のネックレスに防御魔法を付与させてくれないだろうか」
「このネックレスにですか?」
「もちろん大切なご両親のネックレスだというのはわかっているから、嫌なら何か別の魔石を用意するが……」
レオニス様は慌てたように言った。
「付与魔法というのはネックレスの色や形が変わったりしますか?」
「いや、色や形は変わらない。見た目はそのままだが、よく見ると微かに術式が浮かび上がる。ぱっと見は俺でも分からん程度だ」
レオニス様が分からないなら誰もわからないくらいだろう。
「では付与をお願いできますか?」
私はネックレスを首から外してテーブルに置いた。
「ありがとう。あまり目立たないように術をかけるようにする」
レオニス様はそういうと、小さく何かを唱えた。
するとレオニス様の言葉がリボンのように帯状に連なってだんだん細く糸のようになり、空中に漂った。
レオニス様がネックレスを持ち上げ、魔術の糸をネックレスにまとわせると魔術の糸は魔石に吸い込まれていった。
ネックレスの魔石は軽くぼうっと光るとすぐに元の色に落ち着いた。
「よし、完成だ。どうかな? つけてみてくれ」
ネックレスの見た目は全く変わらない。ほんのり温かいような気がするくらいだ。
「これで防御付与がされているんですか?」
「ああ、ちゃんと付与されているぞ」
レオニス様を疑うわけではないが、何がどうなっているんだ。
でもまぁ、レオニス様が嬉しそうだからいいか。
レオニス様はもう家に戻っているだろう。
夕食も作らずに申し訳ない気持ちでドアを開けると、心配そうなレオニス様がドアのすぐ内側にいた。
「ティナ! 無事だったか。怪我はないか」
レオニス様は私を見るなり両肩を掴んだ。
「は、はい。助けていただいたので大丈夫です。今日の事をご存知なのですか?」
レオニス様は私に怪我がなさそうなのを確認するとホッとした表情になった。
「ああ。大体はメリンダから聞いた。助けに行けずすまない」
「そんな! 私がうっかり行っては行けない場所に行ってしまって」
私の不注意でレオニス様をそんな悲しそうにさせるなんて申し訳ない。
「老人に手を貸したんだろう? それも聞いている」
メリンダ様はどこまで話したんだろう。
「疲れただろう? 何か食べるか?それとも風呂に入るか?」
「夕飯はメリンダさんの手料理をいただいたので、お風呂に入っても良いですか? そうだ! レオニス様は夕食を召し上がりましたか? まだでしたらお作りしますよ」
「俺のことはいいから、ゆっくり風呂に入ってこい」
「では、お言葉に甘えて」
レオニス様の家のお風呂は最高だ。
いつでもすぐ浴槽にお湯が溜められるし、蛇口からは適温のお湯がどんどん出る。
私は湯船に浸かると長い幸せなため息をついた。
「は~~あ。お風呂最高」
もう攫われかけたのが遠い過去のように感じる。
「それにしてもメリンダさんって何者なんだろう」
レオニス様とかなり親密なようだがもしかして恋人とか。
そう考えると少し心の奥がモヤモヤする。
ただの家政婦がレオニス様の女性関係に口出しするのはもってのほか。
それにメリンダさんはとても美人でさらに優しいいい人だ。
不満なんてあるはずないのに。
いや、今は色々あって神経が過敏になっているんだ。考えるのはよそう。
お風呂から上がるとレオニス様はキッチンに立っていた。
「レオニス様、やっぱりお腹空いてるんじゃないですか? 簡単なものでよかったら何か作りましょうか?」
「しかし、ティナは疲れているだろう。勝手に何か食べるから大丈夫だぞ」
むしろ神経が昂って何かしていないと落ち着かない。
「私も少しお腹が空いて、何か軽く食べたいなと思っていたんです。一緒に作っちゃいますね」
私は簡単に野菜を切るとストックしていたスープでお米と野菜を煮込んでリゾットを作った。
「うまそうだ。ありがとうティナ」
レオニス様は家政婦にもちゃんとありがとうを伝えてくれる。そんな事がとても嬉しいのだ。
向かい合ってリゾットを食べ終わると、レオニス様が私の魔石のネックレスを指さして言った。
「今日のようなことがないように、その魔石のネックレスに防御魔法を付与させてくれないだろうか」
「このネックレスにですか?」
「もちろん大切なご両親のネックレスだというのはわかっているから、嫌なら何か別の魔石を用意するが……」
レオニス様は慌てたように言った。
「付与魔法というのはネックレスの色や形が変わったりしますか?」
「いや、色や形は変わらない。見た目はそのままだが、よく見ると微かに術式が浮かび上がる。ぱっと見は俺でも分からん程度だ」
レオニス様が分からないなら誰もわからないくらいだろう。
「では付与をお願いできますか?」
私はネックレスを首から外してテーブルに置いた。
「ありがとう。あまり目立たないように術をかけるようにする」
レオニス様はそういうと、小さく何かを唱えた。
するとレオニス様の言葉がリボンのように帯状に連なってだんだん細く糸のようになり、空中に漂った。
レオニス様がネックレスを持ち上げ、魔術の糸をネックレスにまとわせると魔術の糸は魔石に吸い込まれていった。
ネックレスの魔石は軽くぼうっと光るとすぐに元の色に落ち着いた。
「よし、完成だ。どうかな? つけてみてくれ」
ネックレスの見た目は全く変わらない。ほんのり温かいような気がするくらいだ。
「これで防御付与がされているんですか?」
「ああ、ちゃんと付与されているぞ」
レオニス様を疑うわけではないが、何がどうなっているんだ。
でもまぁ、レオニス様が嬉しそうだからいいか。
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